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Information
開発の経緯
顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF)は、好中球前駆細胞から成熟好中球への分化・増殖の促進、骨髄からの成熟好中球の放出促進による末梢血中の好中球数増加および好中球機能の亢進、造血幹細胞の末梢血への動員等の作用を有し、がん化学療法による好中球減少症の治療等に利用される生理活性タンパク質です。
フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「モチダ」/150μgシリンジ「モチダ」/300μgシリンジ「モチダ」〔一般名:フィルグラスチム(遺伝子組換え)[フィルグラスチム後続1]〕は、遺伝子組換え技術を応用し、宿主として大腸菌を用いて製造される組換えヒトG-CSFを有効成分とした製剤で、グラン®を先行品としたバイオ後続品です。
フィルグラスチムは、米国において1991年2月にFDAより承認を取得して以来、世界各国で販売され、本邦においては1991年10月に製造承認を受けています。富士製薬工業株式会社は2007年にフィルグラスチムバイオ後続品(本剤)の開発を開始し、2010年に持田製薬株式会社と共同開発を開始しました。
本剤の非臨床試験は、「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」および「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」を参考にして薬理試験と毒性試験を実施し、薬理試験では、in vitro における生物活性、ならびに正常動物における骨髄からの成熟好中球の放出作用を先行医薬品(グラン®:標準製剤)と比較検討し、さらに好中球減少症モデルにおける本剤の末梢血好中球数に対する作用も検討しました。毒性試験では、単回および反復投与毒性試験を実施し、毒性学的性質を標準製剤と比較検討しました。
また、臨床試験では、健康成人を対象とした臨床薬理試験において、本剤と標準製剤の好中球数増加作用、末梢血中への造血幹細胞の動員作用、薬物動態のそれぞれについて同等性を比較検討し、さらに安全性についても両製剤を比較検討しました。がん患者における本剤の有効性および安全性については、乳癌患者を対象とした臨床試験を実施しました。
持田製薬株式会社は、品質、非臨床、臨床のそれぞれの試験において、本剤と標準製剤の同等性/同質性が示されたことから、標準製剤で承認されている効能・効果、用法・用量が本剤に外挿可能と考え、本剤をフィルグラスチムのバイオ後続品として、2011年12月に医薬品製造販売承認申請を行い、2012年11月に承認を取得しました。2015年10月に、持田製薬株式会社より持田製薬販売株式会社に製造販売承認の承継が行われました。