日光角化症の治療におけるイミキモド5%クリームの位置付け
五十嵐 従来,AKはSCCの前駆症あるいは前がん病変と考えられてきましたが,現在ではSCCの早期段階として位置付けられています(表1)。わが国の疫学調査ではAKからSCCへの進展率は約8%程度と見積もられていますが,いつ,どのAK病変がSCCに進展するかを予測することは不可能です。竹之内先生,SCCに進展すると予後はどうなるのでしょうか。
(提供:五十嵐敦之氏)
竹之内 SCCは浸潤がんであり,進行すれば転移する可能性があります。SCCの予後を示すデータは少ないのですが,海外の論文で,210例のSCC患者の3年全生存率は70%,疾患特異生存率は85%と報告されており※,悪性黒色腫や血管肉腫よりは生存率が高いとはいえ,進行すれば高い確率で死に至る疾患といえます。
五十嵐 SCCに進展する前のAKの段階で,的確に診断,適切に治療することが重要だということですね。
現在,AKの治療法には「凍結療法」,「外科的切除」,「5-FU軟膏」,そして2年前に適用となった「イミキモド5%クリーム」の4つがあります。安元先生,治療選択のポイントについてお話ください。
安元 まず,病変の数や大きさ,角化の程度,部位を見て,さらに合併症の有無など全身状態を考慮した上で,角化傾向の強い病変や真皮内浸潤が疑われる場合は外科的切除を選択します(表2)。外科的切除の場合は基幹病院に紹介することが多いので,当院のようなクリニックで治療を行う場合は,イミキモド5%クリームが第一選択になります。特に多発性病変例や,手術の瘢痕や疼痛を伴う治療を拒否する患者,合併症があるため手術が困難な患者の場合にはイミキモド5%クリームを選択しています。
(提供:安元慎一郎氏)
※ Clayman GL, et al. J Clin Oncol 2005; 23: 759-765.