持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

ご利用の注意

・このサイトに掲載している情報は、弊社医療用医薬品を適正にご使用いただくためのものであり、広告を目的とするものではありません。

・日本国内の医療関係者(医師、薬剤師等)を対象としております。
 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

・このサイトで提供している以外の弊社医療用医薬品の情報をお求めの方は、弊社MR、またはくすり相談窓口までお問い合わせください。

会員限定コンテンツのご利用について

会員の方

会員限定コンテンツのご利用には
medパスIDが必要となります。

会員登録されていない方

対象の職種をお選びください。
会員限定コンテンツ以外を
ご利用いただけます。

会員限定コンテンツのご利用には
medパスIDが必要となります。

新規会員登録はこちら

※外部サイトへ移動します
medパスのご紹介はこちら

医療関係者ではない方(コーポレートサイトへ

持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

ご利用の注意

・このサイトに掲載している情報は、弊社医療用医薬品を適正にご使用いただくためのものであり、広告を目的とするものではありません。

・日本国内の医療関係者(医師、薬剤師等)を対象としております。
 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

・このサイトで提供している以外の弊社医療用医薬品の情報をお求めの方は、弊社MR、またはくすり相談窓口までお問い合わせください。

対象の職種をお選びください。

医療関係者ではない方(コーポレートサイトへ

2024年11月19日公開
(2024年12月17日一部改訂)

1

プログラミング

イムス富士見総合病院 院長 鈴木 義隆 先生

第1回目の今回は、プログラミングのリスキリングを通じ、病院のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進や意識改革に取り組まれている埼玉県富士見市のイムス富士見総合病院院長の鈴木義隆先生にお話しを伺いました。

鈴木 義隆 先生 ご略歴

1990年旭川医科大学卒業
埼⽟医科⼤学病院 第1外科入局、
帝京大学医学部附属病院などを経て

2005年IMSグループ板橋中央総合病院

2013年イムス富士見総合病院院長

専⾨は⾎管外科、現在は訪問診療を担当
日本外科学会認定外科専門医、日本脈管学会認定脈管専門医・指導医

リスキリングのきっかけ

 私が2013年から院長を務めるイムス富士見総合病院は、1都6県1道に約1万2千床のベッドと約2万人の職員を有するIMSグループに所属しています。当院は、地域に密着した急性期総合病院として、専門的で質の高い医療を提供しており、小児医療や周産期医療、24時間体制の救急・小児救急医療も行っています。また、医療と介護の連携を重視し、在宅支援にも積極的に取り組んでいます。
 私がプログラミングを学ぼうと思ったきっかけは、日報の作成に担当者が非常に多くの労力を費やしていると知ったことです。担当者は各部署から台帳やメモを集め、手作業で日報を作成していました。その後も部署とのやり取りが続き、修正を重ねて確定するまでに数日かかる状況でした。これを改善できないかと考えるようになりました。
 そこで、エクセルの入門書を購入し、見よう見まねでアプリを作成してみました。各部署が必要なデータをシートに入力し、そのデータを集計して日報を自動で作成できる仕組みです。
 しかし、この仕組みは使ってもらえませんでした。担当者にとっては、これまでの業務のやり方を変えることへの抵抗感や、素人の私が作った仕組みへの懐疑的な気持ちがあったのだと思います。仕方がないと感じました。
 それから、業務改善はあまり進まないまま数年が経過しました。そんな中、Google Workspace※1のアプリであるスプレッドシートやGメールに、機能拡張や自動化を実現できるJavaScriptベースのプログラミング言語(Google Apps Script)があることを知りました。今度こそ、きちんと知識を身につけて、皆が使いやすい仕組みを作り、業務改善に取り組もうと考えました。
 2019年5月、Google Apps Scriptの学習※2を出版されている方が主催する『ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会』(ノンプロ研)という学習コミュニティに参加することにしました。

※1Gmail、Googleドライブ、カレンダー、ドキュメント、スプレッドシート、翻訳など、Google社が提供するサービスの総称

※2高橋宣成著「詳解!Google Apps Script完全入門[第3版]」(株式会社秀和システム) 2021

リスキリングでの体験

 ノンプロ研は、ITを専門としない人々がプログラミングやITスキルを学び合う場で、学習意欲の高いメンバーが集まり、心理的安全性のある環境でスキルを磨き、課題を克服することを目指しています。メンバーは主に若者で、異業種の方ばかりでした。自分の職位や経験は全く通用せず、入会当初は何をどこから始めればよいのかすらわからない状態でした。
 まず、目的だったGoogle Apps Scriptの講座を受講し、同時に勉強会や発表会にも参加しました。常にアウトプットが求められる環境で、学んだことをすぐに実践に移す機会が多くありました。私が年齢もかなり上の病院長ということで、メンバーの皆さんに興味を持っていただき、率直に交流することができました。周囲のメンバーを見ていると、皆が問題意識を共有し、コミュニティ内で解決に向けて協力する姿勢が非常に印象的でした。中には、その成果をすぐに自分の事業に取り入れてしまう方もおり、そうした迅速な取り組みは、医療の現場ではあまり見られないと感じました。

リスキリングの医療現場での活用

 ノンプロ研での経験が大変貴重だったため、当院の職員数名にノンプロ研に入会し、プログラミングを学びながら業務改善に取り組んでみないかと勧めてみました。それぞれが自身のなかで何らかの変革を起こし、少しずつではありますが、現場で業務改善の取り組みが始まりました。
 2020年になると、病院もコロナ禍に突入しましたが、ノンプロ研で経験を積んだメンバーがGoogle Workspaceを活用した情報共有の仕組みを開発していきました。毎朝開催される災害対策会議では、患者・職員の感染状況、大量のウイルス検査結果、日々更新される感染対策マニュアルやアクションカード、保健所・法人本部への報告など、新たな業務が増えました。これに対応するため、紙から電子媒体への移行や、電話・対面からテキストベースのコミュニケーションへの転換が必要でした。Google Workspace上でのデータ入力と共有、ドキュメントの共同編集、最新情報の参照が可能になり、業務効率を大幅に向上させることができました。職員感染台帳は現在も運用が続けられており、そのほかにも救急台帳や手術室台帳の整備が進められています。これにより、必要な情報が各部署で円滑に共有されることを期待しています。
 現在、国を挙げて医療DXが推進されています。マイナンバー保険証や電子処方箋の活用により効率化を図ることは重要ですが、病院では病院DXとして、業務の変革を進めながらデジタル化を推進する必要があります。単にベンダー任せにするだけでは、各施設に最適化されたシステムを構築することは難しいでしょう。そのため、院内でシステム導入の意思決定を行う人間には、適切な知識が求められると考えています。
 リスキリング対象にプログラミングを取り入れましたが、ホーム(慣れた環境)を越え、アウェイ(異なる環境)で学ぶことの重要性を感じています。アウェイで葛藤を経験しながら、プログラミングの習得だけでなく、人を巻き込む力や頼る力、さらには課題を抽出して改革していく力が身につくと考えています。このように、活性化された状態で自らの知識を持ち帰り、業務改善に取り組む意欲を持ってホームに戻ってきますが、なかなか成果が上げられない状況です。ホームには変化を嫌う抵抗があるためです。これはプログラミングに限ったことではなく、看護師の特定行為研修でも同様で、本人のスキルアップに留まり、現場で活かされないことが課題となっています。
 プログラミングに限らず、これから越境学※3に参加する方については、院内で積極的に宣伝し、応援する体制を整えるべきだと考えています。『こういった分野を勉強してきますので応援しましょう』『帰院後には新しい試みを始めますので、ぜひ関心を持ってください』といった形で、学んだことが現場で展開されるよう、病院全体で後押しする仕組みが必要だと感じています。

※3普段慣れ親しむ環境(ホーム)と、それとは異なる環境(アウェイ)を行き来しながら学習すること。異なる環境では、自身がリセットされ新たな学びが促される。新しい環境で活動するためには、今までの自分の枠組みでは通用しないことがわかる。頼る力、巻き込む力が必要とされ、その力が養われる。そこで得た体験・知識を持ち帰り、新しい視点で業務改善することが期待される。

参考:石山恒貴・伊達洋駆著 「越境学習入門」(日本能率協会マネジメントセンター)2022

リスキリングを検討している方へ

 医療職の方々は、学校で学んだ専門知識を入職後にOJTでさらに深めていくのは得意ですが、外部から新しい知識を探索し、横に広げていくことにはあまり慣れていないように感じます。新しいことを学ぶと仕事が増えると考えがちですが、学びを活かすことで仕事を効率化できる可能性にも目を向けてほしいと思います。課題が生じたとき、同じ枠組みの中で解決しようとすると根性論に陥り、また同じ課題に直面しがちです。深堀りするだけでなく、リスキリングによって自身のやり方を客観的に見直し、別の視点から課題を俯瞰することで、解決の糸口が見えてくるのではないでしょうか。

 人生100年時代と言われる中、多くの医療者が60歳でキャリアの一区切りを迎えるのが現状です。しかし、現在の医学教育は十数年前と大きく変わり、若い医師の診療技術は非常に高いレベルにあります。こうした環境の中で、60歳を迎えた医師が今後も活躍するためには、リスキリングを通じて知識の幅を広げるだけでなく、医療にアートのような創造性や柔軟性を取り入れ、技術を更新・再構築することが必要ではないでしょうか。

2024年12月作成

17778-2 B3 GT