持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

ご利用の注意

・このサイトに掲載している情報は、弊社医療用医薬品を適正にご使用いただくためのものであり、広告を目的とするものではありません。

・日本国内の医療関係者(医師、薬剤師等)を対象としております。
 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

・このサイトで提供している以外の弊社医療用医薬品の情報をお求めの方は、弊社MR、またはくすり相談窓口までお問い合わせください。

会員限定コンテンツのご利用について

会員限定コンテンツのご利用には
medパスIDが必要となります。

会員登録されていない方

対象の職種をお選びください。
会員限定コンテンツ以外を
ご利用いただけます。

医療関係者ではない方(コーポレートサイトへ

WEB講演会移行についてのご案内

平素より持田製薬ネットフォーラムをご利用いただき誠にありがとうございます。

この度、ログインシステムとして新たに「medパス」を導入いたしました。
2022年4月1日以降、現アカウントではご利用いただけなくなります。

※medパス未登録の方は、「medパスに新規登録」のうえ、ご視聴をお願いいたします。
※medパス登録済の方は、「medパスでログイン」のうえ、ご視聴をお願いいたします。

多領域、多職種からのアプローチ 慢性便秘

2019年09月17日公開(2021年10月1日デザイン改訂)

精神科医の視点から 長期予後を意識した精神科病院での排便コントロール

岐阜大学保健管理センター
准教授

西尾 彰泰先生

西尾 彰泰 先生

本記事の内容は2019年7月時点の情報に基づく

精神科病棟に入院中の患者における慢性便秘の原因

精神科病棟に入院中の患者、特に長期入院中の統合失調症患者には、慢性便秘の症状を有する方が少なくありません。慢性便秘は、患者のQOLを下げるだけでなく看護スタッフにも大きな負担をかけており、本来精神科病棟で行うべき業務に支障をきたすことがあります。精神科患者の便秘の原因は、様々な要因が複雑に絡み合っています(図1)。
まず、ほとんどの抗精神病薬や、抗パーキンソン薬、抗うつ薬などは抗コリン作用を持つため、腸管運動が阻害され便秘が起こることが知られています。これら向精神薬が長期的に腸管にもたらす影響についての報告は少ないのですが、統合失調症の慢性便秘の原因は腸管筋肉を動かしているアウエルバッハ神経叢の萎縮によるものであり(図2)、抗コリン薬の関与が大きく、抗精神病薬の関与はそれほど大きくないと推測されています1
また、精神科病棟に入院中の患者では極端に運動量が少ないことも便秘の一因となっています。食物繊維は便量を増加させ、それによる機械的刺激が腸管通過時間を短縮させるといわれていますが、病院の給食で十分な食物繊維が供給されているとは限りません。また、習慣的な下剤の投与も原因となります。慢性便秘症診療ガイドラインでも刺激性下剤は有効で、頓用または短期間の投与を提案していますが2特に刺激性下剤の長期投与は、腸管内の神経叢を変性させるという報告もあり3,4下剤の処方のしかたが便秘を悪化させていることに、もっと注意を払うべきだと思われます。

図1 精神科入院患者における慢性便秘の主な原因
精神科入院患者における慢性便秘の主な原因
+
図2消化管の構造
消化管の構造
+
著者作図

精神科病棟に入院中の患者の慢性便秘をどう改善するか?

慢性便秘への対策は、大きく分けると処方されている薬剤の調整と、その他のケアの組み合わせになります。
薬剤の調整においては、抗コリン薬を減らすことができるような抗精神病薬の調整を考える必要があります。また、刺激性下剤の代わりに、膨張性下剤や塩類下剤のような消化機能そのものに働きかける薬剤を使用することも効果があります。塩類下剤や膨張性下剤は腸管内の水分を保持し、腸内容の体積を増加させるため、腸管粘膜が刺激され蠕動運動が亢進します。腸管運動亢進作用のある薬剤を選択するのも効果があります。どうしても刺激性下剤が必要な場合は、坐薬が良いと考えられます。
規則正しい排便習慣や食習慣をつけることも肝心です。朝食は胃・結腸反射を誘導し、大腸の蠕動運動を促進させます。たとえ便意を催さなくても、朝食後は一定の時間にトイレに行くことを習慣づけると良いでしょう。食事内容については、コーヒーは大腸運動を亢進しますし、善玉の腸内細菌の繁殖を助けるためにヨーグルトなどの乳酸菌、オリゴ糖、カテキンなどを含む食品を摂ると良いといわれています5継続しやすいこととして、早朝の冷水摂取や、水溶性食物繊維を多く含む食事の摂取などがあります。

食物繊維が豊富な小麦ふすまの摂取が推奨されていたこともありますが、近年、非水溶性食物繊維だけでは便秘改善作用はなく、むしろ悪化させるとの報告もあり6果物や根菜類などに多く含まれる水溶性食物繊維と一緒に摂取することが推奨されています。経腸栄養を摂取している患者の場合、食物繊維入りの経腸栄養剤を用いることも考えられます。しかし、現状では医薬品扱いの経腸栄養剤で食物繊維が入っている製品はないため、食品扱いの経腸栄養を経済的な理由で使えない場合、食物繊維を20-30mL程度の水で溶解し、シリンジでチューブから投与する方法が用いられます。
運動と便通に関するエビデンスレベルの高い研究はありませんが、一般的に食後30分以内のウォーキングが排便を促すといわれており、腹筋運動などは排便に関与する筋力低下を防ぐともいわれています。
そして、最も肝心なのは、スタッフ全員で問題意識を共有することです。主治医や特定の看護師が刺激性下剤の処方を中断しても、いつの間にか再開されているというのはよくあることです。精神科病棟で慢性便秘の対策を行う場合、病棟全体で便秘に対する勉強会などを行い、下剤の適切な使用について医療スタッフ全員と認識することが重要です。

  • 腸管運動を阻害し、便秘を悪化させる薬剤を変更することが第一
  • 規則正しい排便習慣および運動習慣をつけてもらう
  • 便意を催させるような食事を摂取してもらう
  • 病棟のスタッフ全員が、慢性便秘を改善しようという意識を持つことが必要

文献

  • 1羽生丕ほか.: 精神医学 1997; 39: 23-29
  • 2慢性便秘症診療ガイドライン2017; 69
  • 3松生恒夫ほか.: 漢方医学 1997; 21: 335-339
  • 4松生恒夫ほか.: 漢方と最新治療 2001; 10: 351-355
  • 5小橋恵津.: medicina 2006; 43: 2035-2037
  • 6CJ Bijkerk.: BMJ 2009; 339: b3154
  • 前のコンテンツを見る

  • 次のコンテンツを見る

×

×