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多領域、多職種からのアプローチ 慢性便秘

2020年4月7日公開(2021年10月1日デザイン改訂)

小児外科医の視点から 小児外科医からみた慢性便秘

久留米大学病院長
久留米大学外科学講座
小児外科部門主任教授

八木 実先生

八木 実 先生

本記事の内容は2020年2月時点の情報に基づく

小児の慢性便秘の特徴や治療について

小児の慢性便秘は小児科の先生方も多く診療されておられますが、小児外科医が意外と多くの症例を診療しているのが実際です。私は小児慢性機能性便秘症のガイドライン1(2013年発行。以下、GL)作成にかかわった経験から、今回、小児の慢性便秘の特徴や治療について概説したいと思います。

正常な排便

健常児の排便回数は年齢、授乳法、食事、社会的習慣、利便性、家族の文化的信条、家族内の関係、日常の活動時間などの影響を受けますが、通常1日あたり0~3ヵ月の乳児では母乳栄養児で平均2.9回、人工乳栄養児で2.0回、6~12ヵ月児で1.8回、1~3歳児で1.4回、3歳以上で1回と報告されています1正常な排便とは姿勢やいきみ方、消化管生理機能や大脳機能、肛門括約筋機能、食事内容など、さまざまな要素が関連し遂行される活動であり、便秘はこれらの幾つかの要素の不調和が複雑に絡み合って発症することが多いようです。特に排便習慣が未確立な乳幼児期では、不十分な便排泄に伴う直腸内での過度の便塊貯留[fecal impaction(便塞栓)]が便意を鈍化させ、排便時の痛みも加わり、排便回避(排便我慢)につながり便秘が悪化する悪循環に陥りがちとなります(図11正常な排便のメカニズムとは、随意的な腹圧亢進の元に、恥骨直腸筋と内外肛門括約筋の弛緩と協調した適度な便排出力を有することと言えます。慢性便秘の病態としては便の結腸通過時間が長い、骨盤底筋の奇異収縮または不十分な弛緩(排便協調障害)が認められたり、これらが組み合わさることもあります。便秘の原因となる排便回避は、乳幼児では習慣化しやすいのも特徴的です。その原因として、痛みを伴う排泄、肛門裂傷、肛門周囲の炎症、性的虐待、痔、環境の変化、家族のストレス、不適切なトイレットトレーニング、情緒障害などが挙げられます1

図1
便秘の悪循環
便秘の悪循環
+
文献1より
診断

症状・病歴、身体所見、必要に応じて画像診断によって行います。即ち、便秘症であるか否かの判断に加えて、基礎疾患・便塞栓・増悪因子の有無、難治化の可能性を判断することが、適切な治療方針を決定する上で必要となり、GLでのフローチャートが参考になります(図21GLでの便秘症を来す基礎疾患を示唆する徴候(red flags)は、基礎疾患除外のため精査の適応で重要となります。red flagsとして、具体的には胎便排泄遅延(生後24時間以降)の既往、成長障害・体重減少、繰り返す嘔吐、血便、腹部膨満、腹部腫瘤、肛門の形態・位置異常、直腸肛門指診の異常、脊髄疾患を示唆する神経所見や仙骨部皮膚所見などが挙げられます。便秘症診断での画像診断は、腹部単純X線検査をイレウスや便秘症を来す基礎疾患を除外する必要がある時、難治傾向のため腹部全体の便貯留を評価する必要がある時、直腸指診が不可能な症例で便塞栓が疑われる場合に行います。腹部超音波検査でも便塞栓の診断が可能であり、非侵襲的なのでお勧めです。

図2
便秘診断と治療のフローチャート
便秘診断と治療のフローチャート
+
文献1より
治療

慢性便秘症で最初から薬物治療を併用する、または治療経験の豊富な医師への紹介を考慮すべき徴候(yellow flags)とは、排便自立後にも拘らず便失禁や漏便を伴ったり、便意がある時に足を交叉させるなど我慢の姿勢を取ったり、排便時に肛門を痛がったり、軟便でも排便回数が少なかったり(週に2回以下)、排便時に出血したり、直腸脱など肛門部病変を併発していたり、画像検査で結腸直腸の拡張が認められたり、病悩期間や経過が長かったり、他院での通常の便秘治療で速やかに改善しなかったりするケースです。yellow flagsの徴候を認める場合には、治療に難渋することが予想され、積極的な治療の対象と考えるべきで、治療開始後2~3ヵ月以内に治療が軌道に乗らない例では治療経験の豊富な施設への紹介が推奨されます。
治療の手順として便塞栓の有無により、便塞栓のある児では便塊除去後に維持療法を開始し、便塞栓のない児では維持療法から開始するのが一般的です。維持療法として生活・排便習慣の指導、食事療法、薬物療法が挙げられます。生活・排便習慣の改善には食事摂取量や水分摂取量の不足、不規則な日常生活や食習慣があればそれを是正し、便意を感じた時は排便を我慢せずにトイレに行くよう指導したり、食後ゆとりある時間帯にトイレに座る習慣をつけさせたりします。ただ、トイレットトレーニングは便秘を悪化させたり、便秘の誘因になることがあるので要注意で、適切な便秘治療により規則的な排便習慣が確立してから開始すべきです。この他、排便回数や服薬状況を排便日誌に記録させると、治療管理がうまくいくことが多いようです。

食事療法として臨床的に脱水を認めなければ、水分摂取増加の有効性は明らかでなく、プロバイオティクスは症例によって有効であり、食物繊維の有効性の報告もあるので摂取量を増やすことを試みることが推奨されます。また、牛乳アレルギーの関与する症例もあり、通常の治療に反応しない場合、期間限定で牛乳摂取制限をしてみることが推奨されます。
維持療法に用いられる薬剤として、浸透圧性下剤、刺激性下剤、消化管運動賦活薬、漢方製剤などがありますが、最近では上皮機能変容薬や、浸透圧性下剤としてポリエチレングリコール製剤があります。前者は小児では保険適用がなく、後者は2歳以上の小児において使用が可能で浸透圧効果により、腸管内の水分量を増加させ、その結果、便中水分量が増加、便が軟化、便容積が増大することで、生理的に大腸の蠕動運動が活発化し、排便が促されることを期待した薬剤です。薬物による維持療法は原則として、浸透圧性下剤から治療を開始し、浸透圧性下剤による治療が無効な例に対して、刺激性下剤、消化管運動賦活薬、漢方製剤を用います。治療薬の減量・中止が早すぎると再発しやすく、薬物維持療法には通常6~24ヵ月必要で排便困難がなく規則的な排便が習得できても、数週間は服薬をそのまま継続し、その後数ヵ月をかけて徐々に治療薬の減量、中止を検討すべきで、幼児では排便自立ができるまでは治療を継続するのが一般的です。薬物の副作用は、下痢、腹痛であり、薬剤耐性や習慣性に関する十分なエビデンスはないのが現状です。漢方製剤は刺激性下剤による便意低下を回避したい患児、家族ないし本人が漢方治療を望む場合に用います。

  • 小児慢性便秘を治療するにあたって正常な排便の生理を理解し、GLにおけるred flagsやyellow flagsを見落とさないように注意する
  • 便塞栓の有無で便塊除去か維持療法から開始し、後者では生活・排便習慣の指導、食事療法、薬物療法を行う
  • 薬物療法は先ず浸透圧性下剤からスタートし、無効例には他の薬物療法を行う

文献

  • 1日本小児栄養消化器肝臓学会, 日本小児消化管機能研究会: 小児慢性機能性便秘症ガイドライン. 診断と治療社, 2013
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