便秘は小児から高齢者まで幅広い年代によくみられる症状で、有訴率は加齢とともに増加傾向にあります。なかでも、療養中の患者においては便秘症状を訴える頻度は高く、高齢患者では排便の訴えが困難なこともあり、数日間の自力排便がみられない時には下剤や浣腸を使用する対処もしばしば行われます。しかし、看護の役割として、下剤や浣腸を使用する前に自然排便ができるように支援したいという思いがあり、看護介入の必要性が高い症状といえます。看護職が便秘症状に介入するには、その症状のアセスメントを行い、便秘の有無や程度を見極める必要があります。
現在、便秘症状を客観的に評価する指標として使用されている尺度の一つに「日本語版便秘評価尺度(Constipation Assessment Scale;CAS)」1があります。この尺度は1989年にMcMillan & Williamsがモルヒネを使用するがん患者の便秘ケアのために開発した尺度2の日本語版です。
その後、深井らは、この尺度の信頼性・妥当性を検証し、「日本語版便秘評価尺度」として報告しました。国内では広く使用され、CASによる便秘評価の妥当性は多数報告されています。一方、この尺度はモルヒネ使用患者のための尺度であり、慢性便秘症を評価することに対し、「その妥当性に疑問を呈する意見」3、「その有用性は限定的である」4、「主観的データが得られない状態にある患者の便秘症状を評価する場合に、8項目中4項目の主観的評価は判定できない限界がある」5という指摘もあります。そこで、対象者の排便状況を客観的にとらえ、臨床で簡便に分類・判断する基準あるいは評価指標を開発する必要性があると痛感しました。