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よりぬき産婦人科トピックス

2021年10月1日公開(2022年10月25日変更)

子宮内膜症の早期診断

太田 郁子先生

太田郁子ウィメンズクリニック 院長

本コンテンツは、OG SCOPE Vol.9 No.1 臨床最前線(2018年6月発行)の記事を一部再編集しております。

はじめに

子宮内膜症は生殖年齢女性の10人に1人という高頻度に認められる病態である。Geneticおよびepigeneticな疾患であり、母親が罹患している場合、遺伝的に本症の発症リスクも懸念される。また、子宮内膜症は慢性疾患とされ、リウマチや糖尿病などに準じた治療戦略が求められる。近年では慢性疾患へのアプローチ法として、T2Tアプローチ(treatment to target approach)1)が提唱され、これら慢性疾患は、確定診断前の発症リスク群から、個々に治療・定期観察をすることが勧められている2)。したがって、子宮内膜症の治療戦略は、「いかに未症候の状態で、リスク対象を見極めるか?」が重要である。本稿では子宮内膜症の早期診断について述べたい。

子宮内膜症の早期診断

① 問診

子宮内膜症の症候として、月経時の子宮内膜症関連性疼痛、慢性骨盤痛、過多月経、うつ症状など多岐に渡る。思春期子宮内膜症として知られるように、初潮直後から本症は発症する可能性がある。初潮から「月経困難症」がある場合、異常疼痛として自覚されにくく、患者の主訴として訴えられないことがある。したがって、若年から、月経困難症の有無について、こちらから問診をすることが重要である。一般に子宮内膜症性疼痛は、疾患の増悪とともに増強されると考えられているが、子宮内膜症性疼痛は若年の発症期に強く、その後は反復する疼痛に寛容が起こり、病態は増悪しているのに、疼痛は軽減するという現象も珍しくない。
また内診が不可能な若年者への対応であるが、筆者は痛み止めが奏効しない月経随伴性疼痛や不正出血が伴う場合などは早期にまず内分泌学的検査およびMRI検査を施行している。これは、初潮により初めて顕性化する子宮奇形、PCOSなどの内分泌異常、子宮内膜症など若年から発症する慢性疾患を早期に詳細にあらかじめ検査しておくことが重要であると考えるからである。今後妊娠・出産などを控える若年こそ、最も過保護に慎重に検査を行うべきであり、詳細な検査の結果から治療を選択することが望ましい。もし手術等で病変を直接視認ができない場合は、確定診断はせずに、月経困難症の症状から保険適応に基づいて1st lineに位置する治療を早期に導入すると良いと考えられる。

② 経腟超音波検査

子宮内膜症の超音波検査はDIE(Deeply infiltrating endometriosis)を含めた子宮内膜症の病態を体系的に網羅する必要がある。International Deep Endometriosis Analysis(IDEA)groupが提唱する4つのステップを紹介する3)。ステップ1は子宮腺筋症や卵巣チョコレート嚢胞の有無を確認する。卵巣チョコレート嚢胞はisoechoic patternもしくはスリガラス状の陰影を呈す。ステップ2はdynamic ultrasonographyで子宮の可動性を調査する。ステップ3は同様にdynamic ultrasonographyでsliding sign techniqueを使用する。本法は経腟超音波検査時に、腹側から子宮を動かし、子宮頸部後面と直腸間にスライドが認められるか調べる方法である。排便するように患者にいきんでもらうと子宮を手で動揺させなくても調べることができる(strain sign)。この方法によってダグラス窩の癒着を診断する。ステップ4は膀胱子宮窩、ダグラス窩それぞれのコンパートメントに癒着もしくは隆起性膀胱・腸病変がないか検査する。特にダグラス窩に強固なDIEがあり、かつ子宮後壁に浸潤して後壁の限局型子宮腺筋症を呈している場合はQuestion mark signと呼ばれ、重要な所見である(図1)4)
さらに子宮内膜症は仙骨子宮靭帯に沿って発展し、広間膜を肥厚させ、この靭帯および腹膜の肥厚は子宮頸部後壁の高エコー領域として経腟超音波検査で描出される(図2)。仙骨子宮靭帯は子宮の両側に位置するため、経腟超音波プローベを左右に動かし、描出すると良い。
近年では硬度を描出するエラストグラフィーも使用できる。エラストグラフィーは硬いと青、柔らかいと赤で描出するモードである。液体は青(最も硬い)で表示されるため、肥厚部は赤く描出され、仙骨子宮靭帯の肥厚の診断の一助となる(図3)

③ MRI画像検査

MRI画像検査でDIEを診断することは困難である。しかし子宮の形状から推察することは可能である。DIEの発展により、仙骨子宮靭帯が肥厚短縮し、子宮は後傾する。この状態は嵌頓(Incarceration)と呼ぶ(図4)。さらに発展し、子宮体部後壁が直腸および子宮頸部と癒着すると後傾後屈子宮となる。子宮の後傾は癒着のない正常子宮でも認められるが、後傾後屈子宮で、かつ10代に強い月経困難症を呈すれば、DIEが疑われる。

まとめ

子宮内膜症の早期診断はDIEの診断といっても過言ではない。そしてDIEは前述のT2Tアプローチに従うと、確定診断前から、定期的な経過観察と早期の治療導入が望ましいと考えられる。DIEの診断はMRIよりダイナミック超音波検査が優れており、外来で簡易に行うことができる。

参考文献

  • 1)Bouguen G et al.: Perspectives in clinical gastroenterology and hepatology. Clin Gastroenterol Hepatol 2015;13:1042-50
  • 2)McCloskey EV et al.: Can we treat to target in osteoporosis? Int J Clin Rheumatol 2015;10:1-4
  • 3)Guerriero S et al.: Systematic approach to sonographic evaluation of the pelvis in women with suspected endometriosis, including terms, definitions and measurements: a consensus opinion from the International Deep Endometriosis Analysis (IDEA) group. Ultrasound Obstet Gynecol 2016;48:318-32
  • 4)Di Donato N et al.: Question mark form of uterus: a simple sonographic sign associated with the presence of adenomyosis. Ultrasound Obstet Gynecol 2015;46:126-7