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よりぬき産婦人科トピックス

2022年4月26日公開

女性の骨粗鬆症(原発性骨粗鬆症を中心に)

萩野 浩先生

鳥取大学医学部保健学科 教授
附属病院リハビリテーション部 部長

本コンテンツは、OG SCOPE Vol.10 No.2 最新医学レポート(2019年12月発行)の記事を一部再編集しております。

はじめに

骨粗鬆症は骨脆弱化の進行により骨折のリスクが高くなった状態と定義される。すなわち、骨折や腰背部痛などの臨床症状がなくても、「骨折しやすい」状態にあれば、骨粗鬆症と診断される。これは高血圧症や糖尿病と同様に、加齢に伴って骨粗鬆症化は進行するが、骨折を発生する以前に診断され、治療されるべきであるという考えに基づくものである。高齢者人口の増加にともなって骨粗鬆症患者と骨粗鬆症が原因で発症する骨折(脆弱性骨折)数も急増している。

1.骨粗鬆症の疫学

1)骨粗鬆症の骨密度による患者数 骨粗鬆化、すなわち骨強度の低下は加齢にともなって進行する。したがって高齢者ほど、また女性の方が男性よりも有病率が高い。一般人口の骨密度値の分布に基づいて、骨粗鬆症と診断される有病率が算出されている(図1)1)。腰椎か大腿骨頸部かどちらかの骨密度から平成17年国勢調査人口に基づいて推計すると、わが国の骨粗鬆症患者数は1,280万人で、男性が300万人に対して女性が980万人と、男性に比べて女性の患者数は3倍以上である1)2)脆弱性骨折の発生率の疫学 大腿骨近位部骨折は、ほとんどの例(わが国では95%)が入院・手術治療を要することから把握が比較的容易であるために国内外で疫学調査が実施されている。大腿骨近位部骨折の性・年齢別発生率(人口10万人・年あたり)は50歳以下では男性で25.9件、女性で10.5件と低く、60歳以上で男性41.7件、女性63.7件と増加し、70歳以上で指数関数的に上昇する2)。大腿骨近位部骨折の性・年齢別発生率は2000年代前半までは上昇傾向が観察されていたが、2010年以降は一部の年齢群を除いて経年的な低下が観察されている3〜5)。全国サンプリング調査結果では90歳未満の女性の発生率は2007年に比べて2012年は低下傾向にあった3)。また、新潟県での全数調査結果でも2010年をピークに発生率の減少が観察されている5)

2.骨粗鬆症の病態

骨粗鬆症が発症する原因は、①20歳代までに獲得する最大骨量が少ないことと、②成人後の骨形成と骨吸収のインバランスによって骨量が減少すること、である(図2)
①には遺伝的要因、成長期の栄養・運動、内分泌ホルモンなどが関与する。
②は様々な原因による骨形成と骨吸収の不均衡が原因となる。骨は生涯にわたって骨リモデリングと呼ばれる新陳代謝を繰り返している。リモデリングとは既存の古い骨が破骨細胞によって吸収され(骨吸収)、その部位に骨芽細胞によって新しい骨が添加される変化(骨形成)を指す。閉経、加齢、不動などが原因で骨吸収が亢進し、骨形成がそれに追いつかず、骨量減少をきたす。
骨強度の低下によって脆弱性骨折が惹起されると様々な合併症を生じると同時に、骨折連鎖を生じ、日常生活動作(ADL)、生活の質(QOL)の低下をもたらすのみでなく、生命予後も悪化させる(図3)

3.骨粗鬆症の診断

骨折のリスクは骨密度が大きく関わるので、その測定が重要となる。しかしながら骨密度以外の要因が関与することも知られている。たとえば副腎皮質ホルモン(以下、ステロイド)が投与されると、骨密度が正常でも骨折しやすくなる。これは骨折発生には骨密度以外の骨質が関与するためと考えられている。しかしながら骨質は保険診療の範囲で評価することが困難である。そこで、骨粗鬆症は脆弱性骨折(軽微な外力〔立った姿勢からの転倒か、それ以下の外力〕によって発生した骨折)の有無と骨密度により、以下の診断基準にしたがって診断する6)1)脆弱性骨折のうち椎体または大腿骨近位部骨折がある場合 骨密度にかかわらず骨粗鬆症と診断される。 2)椎体または大腿骨近位部骨折以外の脆弱性骨折がある場合(その他の脆弱性骨折) 骨密度がYAM(若年成人平均値)の80%未満の例を骨粗鬆症と診断する(「その他の脆弱性骨折」:肋骨、骨盤(恥骨、坐骨、仙骨を含む)、上腕骨近位部、橈骨遠位端、下腿骨)。 3)脆弱性骨折の既往がない場合 骨密度がYAMの70%以下(または-2.5SD以下)の例を骨粗鬆症と診断する。
X線を用いる二重エネルギーX線吸収測定法(dual-energy X-ray absorptiometry,DXA)が骨密度測定の主流である。測定装置には全身骨用の機器の他、前腕骨用の機器がある。また手部X線撮影写真を用いた中手骨骨密度測定法であれば特殊な測定機器が不要である。定量的超音波骨量測定法による骨密度評価は骨折リスクを反映するが、骨粗鬆症診断のための基準値は設定されていない。
原発性骨粗鬆症の診断では続発性骨粗鬆症の鑑別が重要である。すなわち骨密度が低値を呈する疾患を除外する必要がある。血液検査では血算、生化学検査(血中カルシウム、血中リン、肝機能、腎機能、血糖、CRP、尿中カルシウム、尿中クレアチニン)、一般尿検査を実施する。骨軟化症との鑑別が必要な場合にはビタミンD(25水酸化ビタミンD)の測定を行う。

4.骨粗鬆症の予防と治療

骨粗鬆症の治療には食事療法、運動療法、薬物療法がある。発症予防には食事療法や運動療法が重要である。しかしながら食事療法や運動療法では骨折予防のエビデンスが示されていないのに対し、薬物療法では大規模臨床試験によって骨折抑制効果が証明されている。したがって骨粗鬆症と診断される例は薬物療法が必要で、食事療法や運動療法を併用する。
食事指導では、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの摂取を勧める1)。高齢者ではタンパク質の摂取不足の例があるため、良質なタンパク質摂取も指導する。一方、リンを多く含む加工食品、食塩、カフェイン、アルコールの過剰摂取を避けるようにする。
予防を目的とした骨密度の維持・改善には荷重をともなう有酸素運動、レジスタンス運動が有効である。骨粗鬆症を発症した高齢者での運動療法は、主として転倒予防を目的に実施する。転倒予防にはバランス訓練を取り入れた運動が有効である7)。開眼片足立ち運動、スクワット(ロコモーショントレーニング)はバランス改善と筋力増強が得られる運動として推奨される8)
骨粗鬆症治療薬の作用は、破骨細胞性骨吸収の抑制と骨芽細胞性骨形成の促進に分けることができ、それぞれ骨吸収抑制剤、骨形成促進剤と称される。表1に骨粗鬆症治療薬の骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン1)での評価を示す。

5.骨粗鬆症リエゾンサービス

骨粗鬆症リエゾンサービス(Osteoporosis Liaison Service, OLS)は骨粗鬆症治療における課題を解決するために始められた新しい試みである9)。OLSでは最初の骨折予防(1次骨折予防)と、脆弱性骨折例に生じる次の骨折の予防(2次骨折予防)の両者を目的とする。
2次骨折予防はFracture Liaison Service (FLS)と呼ばれ、1990年代に英国で始められたシステムである。脆弱性骨折の加療を受けた全ての患者を対象として、医師以外のメディカルスタッフがコーディネータ(リエゾン)となって、骨折リスクの評価、骨折予防のための介入、医療連携による治療継続を実施する。FLSは二次骨折の予防効率が高いため費用対効果に優れることから、骨粗鬆症治療の新たな戦略として世界中に広まっている。
OLSはわが国独自の「医師および多職種のメディカルスタッフが相互に連携しながら実施する、骨粗鬆症の予防と改善および骨折防止の取り組み」である。OLSの役割を担う骨粗鬆症に関する知識を有するメディカルスタッフ(コーディネータ)を「骨粗鬆症マネージャー」と呼び、2015年から日本骨粗鬆症学会でその認定制度が開始されている。2020年4月までに3,600人の骨粗鬆症マネージャーが認定され、その51%が看護師、19%が理学療法士、16%が薬剤師である。その活動は病院、クリニック、地域と広く、内容は骨粗鬆症による骨折の防止、治療継続率の向上、骨粗鬆症の啓発、医療資源の有機的連携など多岐にわたる(図4)

おわりに

近年の骨粗鬆症治療薬の進歩は著しく、異なる作用機序を有する種々の薬剤が使用可能となっている。また骨粗鬆症治療を効率よく実施するためのOLSが進められている。骨折抑制効果の高い新しい治療薬の臨床応用とOLSの全国的な広がりは、今後のわが国における骨粗鬆症治療改善のブレークスルーになると期待されている。

文献

  • 1)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版. 第1版第1刷 ed. 東京: ライフサイエンス出版株式会社; 2015
  • 2)Hagino H et al. Recent trends in the incidence and lifetime risk of hip fracture in Tottori, Japan. Osteoporos Int. 20(4): 543-548, 2009
  • 3)Orimo H et al. Hip fracture incidence in Japan: Estimates of new patients in 2012 and 25-year trends. Osteoporos Int. 27(5): 1777-1784, 2016
  • 4)Tamaki J et al. Estimates of hip fracture incidence in Japan using the National Health Insurance Claim Database in 2012-2015. Osteoporos Int 30(5): 975-983, 2019
  • 5)Imai N et al. A decrease in the number and incidence of osteoporotic hip fractures among elderly individuals in Niigata, Japan, from 2010 to 2015. J Bone Miner Metab 36(5): 573-579, 2018
  • 6)宗圓聰 ほか. 原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版). Osteoporosis Japan. 21(1): 9-21, 2013
  • 7)Sherrington C et al. Exercise for preventing falls in older people living in the community. Cochrane Database Syst Rev. 2019; 1: CD012424
  • 8)日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト. https://locomo-joa.jp/check/locotre/
  • 9)萩野浩. リエゾンサービス世界の動向-FLSとOLS. THE BONE. 31(1): 31-36, 2017