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よりぬき産婦人科トピックス

2022年3月15日公開(2022年10月25日変更)

子宮腺筋症の診断 UPDATE

太田 郁子先生

太田郁子ウィメンズクリニック 院長

本コンテンツは、OG SCOPE Vol.9 No.2 臨床最前線(2018年10月発行)の記事を一部再編集しております。

はじめに

子宮腺筋症は生殖年齢女性に認められる、子宮筋層の肥大、過多月経、月経困難症を伴う疾患である。病理学的には子宮内膜症と同じく、子宮内膜腺細胞、子宮内膜間質細胞から構成される。子宮内膜症が子宮外の異所性の子宮内膜増殖であれば、子宮腺筋症は子宮筋層における異所性子宮内膜増殖と捉えられてきた。しかし近年の研究から、子宮腺筋症は新たな視点によってさらに解明されつつある。今回はこの新たな視点から子宮腺筋症の早期診断について提案したい。

子宮腺筋症の病態とMRI画像診断

子宮腺筋症の病態を捉える上で、子宮筋層の肥大は特徴的な症候である。しかし子宮腺筋症の診断はあくまで病理学的に子宮筋層内に子宮内膜細胞の浸潤・増殖像を確認することである。近年MRI検査の発達により、子宮筋層は内層と外層が描出されることが指摘されている。特に内層はMRI画像上Junctional Zone:JZと呼ばれる。JZは子宮内膜と合わせてミュラー管由来であり、Archimetraと呼称される。
現在の放射線科におけるMRI検査の子宮腺筋症の診断基準を示す(図1)1)
Archimetraの構成成分は、病理組織学上、子宮内膜腺細胞、子宮内膜間質細胞、子宮平滑筋細胞からなり、子宮腺筋症はこのArchimetraの増殖性疾患と考えられ、上記の診断基準が定められている2~5)。子宮は子宮内膜と子宮平滑筋内層はミュラー管由来、子宮平滑筋外層は非ミュラー管由来であり、外層は分娩時の娩出力を補強するために新たに獲得された系統学的に新しい構造とNoeらは報告している(図2)2)
したがって、子宮腺筋症を診断する際は、MRI検査によって、JZを描出することが望ましい。さらに骨盤MRI検査の撮像条件は子宮筋層のみならず、卵巣、リンパ節等も含め最適に調節されているため、JZを描出するためにはさらにコントラストや明度を調整して診断すると良いと思われる。筆者は子宮腺筋症が疑われる場合、増殖期、非投薬下のT2強調画像においてcontrast; 500~600、lightness; 200~400に調節してJZを強調して診断している(図3)
筆者はMRI検査によって上記診断基準を満たす子宮腺筋症を4つのタイプに分類した(図4)。このようにMRI画像を加工して、JZを強調して描出することで、子宮腺筋症の診断と病変の特徴を捉えることができる。特に子宮外の子宮内膜症が子宮筋層に浸潤する外源性子宮腺筋症(extrinsic adenomyosis)は子宮筋層の肥厚の程度は弱いが、DIEなどの子宮内膜症を合併していることが多く、早期の診断が求められると思われる。

子宮腺筋症の早期診断

子宮腺筋症は慢性進行性疾患であり、子宮筋層に高度な肥大を来す前に早期診断をすることが望ましい。早期診断時にすべてMRI検査をすることは困難であり、実際は経腟超音波検査を用いて早期診断することが理想である。しかしながら、経腟超音波検査(2D-TVUS)によるJZの描出は超音波の性能や施行する周期による。そこで子宮腺筋症の経腟超音波検査の診断基準はthe Morphological Uterus Sonographic Assessment(MUSA) groupのアセスメントに従うと良い6)。MUSAによるJZを描出するための超音波診断プロトコールを示す(図5)。MUSAプロトコールでは図中の特徴のうち、二つを満たす場合は子宮腺筋症と診断するという“The 2-sign rule”を提唱している。また排卵期と月経直前にはJZが消失し、不明瞭になることにも留意する。近年においては経腟プローベを用いた3D超音波検査(3D-TVUS)も可能となり、3Dプローベを用いてJZを描出することも可能である。3D-TVUSは2D-TVUSに比較して、JZを鮮明に描出できるが、特異度は上昇しても、感度は変わらないと報告されている7)。注意しなくてはならないのは、JZの肥厚の基準がMRI検査と超音波検査では異なることである。2D-TVUS 、3D-TVUSともにJZの肥厚の基準を示す(表1)6)。筆者は8mmをJZのカットオフ値として採用している。

他の検査結果や症候を合わせて、さらに簡便に子宮腺筋症を診断する試み

MUSAプロトコールによる子宮腺筋症の超音波診断は有用であるが、外来で簡便に行うには熟練を要する。そこで筆者は他の検査や症候を合わせて、さらに簡便に子宮腺筋症を診断することを試みたので報告する。MRI検査上の成人女性の子宮筋層の厚さは25㎜以内と報告され、放射線科ではコンセンサスが得られている2~5)。したがって、最大子宮筋層厚が25㎜を上回る場合は、子宮筋層の肥厚と考えてよい。さらに子宮腺筋症の症候は過多月経と月経困難症である。したがって、過多月経による鉄欠乏性貧血で血清ヘモグロビン濃度が10g/dL以下である、または前号で記載したダグラス窩癒着やDIEを疑わせる所見が認められ、月経困難症を認める場合は子宮腺筋症と診断し、MRI検査および外科手術後の病理組織学検査によってその検証を行った(表2)。①経腟超音波検査にて子宮筋層が25mm以上かつHb10.0g/dL以下と、②経腟超音波検査にて子宮が後傾後屈(DIEが疑われ)で、かつ子宮後壁筋層が25mm以上の二つのカテゴリーについて検討した。
「経腟超音波検査にて子宮筋層が25mm以上かつHb10.0g/dL以下」を満たす310例のうち、MRI検査で子宮腺筋症と診断できたのは97.4%(302例/310例)であり、さらに手術療法に至った136例のうち、病理組織診断にて子宮腺筋症と確定診断されたのは97.8%(133例/136例)であった。また「経腟超音波検査にて子宮が後傾後屈(DIEが疑われ)で、かつ子宮後壁筋層が25mm以上」を満たす254例のうちMRI検査で子宮腺筋症と診断できたのは95.7%(243例/254例)であり、さらに手術療法に至った198例のうち、病理組織診断にて子宮腺筋症と確定診断されたのは99.0%(196例/198例)であった。したがって、経腟超音波検査結果に他の検査や症候を合わせるとさらに簡便に子宮腺筋症を診断することができると考えられた。

最後に

子宮腺筋症は「子宮筋層の肥大」という形態学的特徴をもって、従来診断が行われてきたが、早期診断が求められる現在、さらに詳細な検討が必要となっている。子宮腺筋症は子宮内膜症と異なる疾患として扱われてきたが、近年再び原疾患は同一とみなされる傾向にあり、子宮腺筋症自体にも分類をする試みが始まっている。少なくとも子宮内膜症と共通する進行性の慢性疾患であることは間違いなく、子宮全摘手術を回避するために早期診断、早期介入が求められる。

参考文献

  • 1)Levy G et al.: An update on adenomyosis. Diagn Interv Imaging 2013;94:3-25
  • 2)Noe M et al.: The cyclic pattern of the immunocytochemical expression of oestrogen and progesterone receptors in human myometrial and endometrial layers: characterization of the endometrial-subendometrial unit. Hum Reprod 1999;14:190-7
  • 3)Werth R (Grusdew) W.: Arch Gynecol 1898;55:325-409(Wetzstein R.: Arch Gynecol 1965;202:1-13)
  • 4)Padykula HA et al.: The Basalis of Primate Endometrium: A Bifunctional Germinal Compartment. Biol Reprod 1989;40:681-90
  • 5)Okulicz WC et al.: Progesterone Regulation of Endometrial Estrogen Receptor and Cell Proliferation during the Late Proliferative and Secretory Phase in Artificial Menstrual Cycles in the Rhesus Monkey. Biol Reprod 1993;49:24-32
  • 6)T Van den bosch.: Terms,definitions and measurements to describe sonographic features of myometrium and uterine masses: a consensus opinion from the Morphological Uterus Sonographic Assessment(MUSA) group. Ultrasound Obstet Gynecol 2015;46:284-98
  • 7)Andres MP et al.: Transvaginal Ultrasound for the Diagnosis of Adenomyosis: Systematic Review and Meta-Analysis. J Minim Invasive Gynecol 2018;25:257-64