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- 産婦人科医によるCSE:Comprehensive Sexuality Education 第3回( Vol.13 No.3 Interview )
2024年12月17日公開
Interview “女性のかかりつけ医” として抵抗感少なく継続的に婦人科受診を促す取り組み
産婦人科医によるCSE:Comprehensive Sexuality Education 第3回
修学旅行や部活のように、
楽しかった思い出になる「性教育」を
金子 法子先生
医療法人いぶき会 針間産婦人科
院長
本コンテンツは、OG SCOPE Vol.13 No.3 Interview(2024年3月発行)の記事を一部再編集しております。
CSE(包括的性教育)はジェンダー平等と性の多様性を含む人権尊重を基盤とした性教育を指します。2009年、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)がその理念に基づいて作成した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」(18年改訂)は、各国の教育現場で採用されています。
産婦人科医として10代の妊娠出産を支えてきた経験から、複雑な家庭環境で育ってきた思春期の子どもたちや、LGBTQ*の子どもたちなど、「個々の生きづらさ」に寄り添い続けている金子法子先生にお話をうかがいました。
* LGBTQ:レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)、クィア/クエスチョニング(Q)の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称として使われる。
若年妊娠の現実に向き合い
子どもたちへ届く言葉を探す
山口県宇部市をはじめ県内の性教育に関わるようになり20数年が過ぎました。校外講師を始めた頃は妊娠、出産の仕組みを中心に「大切に育てられた、かけがえのない命」という話を中心にしていたのですが、活動を続けるうちに、「果たしてこの内容で良いのか」という疑問が湧いてきました。10代の妊娠(以下、若年妊娠)の現実を目の当たりにしていたからです(図)。
当院は分娩を停止した2021年まで、月間20〜30件くらいの分娩を扱ってきました。出産をされた妊婦さんのなかには、産む選択しかなかった22週以降の若年妊娠が少なからず存在していました。その背景には、両親の不和や虐待、貧困などいわゆる機能不全家庭で育ったり、学校に居場所がなかったりといった要因があり、苦しさや寂しさから性行動に至り妊娠するケースが少なくなかったのです。
それを「負の連鎖」の一言で片付けて良いのか。さまざまな家庭環境のなかで愛着形成ができず、「大切にされてきた自分」という自己肯定感が低いまま放置されてきた子どもたちが、「自分も頑張って生きていけば、良いことがあるんだ」と思える「言葉」はあるのだろうか――。そんな思いで自己肯定感を高めるための試行錯誤が続きました。
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2024年12月作成
17819-1 B3 GT