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- 産婦人科医によるCSE:Comprehensive Sexuality Education 第2回( Vol.13 No.2 Interview )
2024年7月23日公開
Interview “女性のかかりつけ医” として抵抗感少なく継続的に婦人科受診を促す取り組み
産婦人科医によるCSE:Comprehensive Sexuality Education 第2回
メディアで性教育を発信する“サッコ先生”が
おなじ産婦人科医の先生方に伝えたいこと
高橋 幸子先生
埼玉医科大学 医療人育成支援センター
地域医学推進センター 助教
本コンテンツは、OG SCOPE Vol.13 No.2 Interview(2023年12月発行)の記事を一部再編集しております。
CSE(包括的性教育)はジェンダー平等と性の多様性を含む人権尊重を基盤とした性教育を指します。2009年、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)がその理念に基づいて作成した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」(2018年改訂)は、各国の教育現場で採用されています。
欧米の先進国と比較し、性教育の偏りと遅れが指摘されていた日本でも、近年、ようやく体系的な性教育導入に向けた動きがでてきました。今、産婦人科医には何が期待されているのでしょうか。「性教育を行う産婦人科医」を志し、学校での講演やマスメディア、YouTubeなどのSNSを通じて若い世代に情報を発信し続けている高橋幸子先生にうかがいました。
性教育バッシングにより 教育資源や人材が失われた
日本の性教育の歴史を振り返ると、1980年代後半から90年代はHIVへの誤解や偏見が社会問題となる中、性教育促進の状況にありました。しかし2000年代に入ると、性器の名称を使ったり人形で説明したりという性教育授業の表面的な部分に対して批判が起こるようになり、教育現場は萎縮していきました。「やはり学校での性教育を再開して欲しい」と、保護者を中心に世論が巻き起こったのは2010年代後半です。この約15年の間に、教育現場からは性教育に関する知見や経験の蓄積が失われるという事態になりました。声を上げた保護者たちにも性教育を受けた経験がなく、自身の子どもにどう応えてよいか分からないのです。
産婦人科医に求められる役割 地域のCSEにどう関わるか
こうした混乱のなかで産婦人科医として何ができるのでしょうか。一つは自治体が各校に派遣する外部講師としての役割があります。
2018年12月に成立した「成育基本法」に基づく「成育医療等基本方針」では、性教育について、教育課程外の講演には産婦人科医や助産師などの専門家を外部講師として活用するほか、個別指導など地域の実情に応じた普及啓発に取り組むよう明記されました。
これを受けて各地域の医師会や日本産婦人科医会など関連学会では、性教育をサポートする委員会を立ち上げ、教材の作成や外部講師の派遣などを行っています。
私は患者として当院に通院していた中学校の理科教師とのご縁で、10年ほど前から埼玉県川越市の性教育に関わっています。4校から始めた講演も、年々、公的な予算が増え、結果的に川越市の全22中学校で講演できるようになりました。
現在は成育基本法に基づいた予算が確保されている自治体もあるので、学校関係者や保護者に「性教育をサポートできる産婦人科医がいる」という情報が伝われば、関われる可能性は高いと思います。性教育に関心がある先生方は地域の産婦人科医会に問い合わせてみてはどうでしょうか。
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2024年7月作成
17702-1 B3 GT