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2019年10月23日公開
(2023年03月20日デザイン改訂)

産婦人科医の視点から

産婦人科医

産婦人科病院における
「女性のための便秘外来」設置の試み

医療法人至誠会
梅田病院 院長

北川 博之先生

本記事の内容は2019年8月時点の情報に基づく

産科領域で多い便秘の専門外来設置の経緯

 当院は、年間およそ700~800件の分娩を扱っている産婦人科と小児科に特化した病院です。

 産婦人科では便秘の訴えは妊婦において2人に1人ともいえる頻度であり、マイナートラブルではもっとも頻度の高い訴えのひとつといえるでしょう。妊娠中はホルモンバランスの変化や大腸への圧迫、いきむことへの躊躇等から便秘になりやすく、分娩前後は程度の差こそあれ痔を発症しやすく、排便時の痛みへの恐怖心から、便秘を重症化させていることも少なくありません。また、妊娠前から市販の便秘薬を使用していた患者さんで妊娠中も継続して良いかを不安に思う方や、産後の会陰裂傷部や痔の痛みでいきむことができず便秘治療薬を希望する患者さんも多くいます。

 日常診療で数多くこのような相談を受けており専門外来の必要性を感じていた中で、以前より産後の肛門疾患・外痔核などの外科治療で連携していた肛門科医が、週に1回外来を担当してくれるという巡りあわせもあり、2019年1月に「女性のための便秘外来・失禁外来」を開設するに至りました(図1)。

図1

院内に掲示している案内

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 現在、便秘外来は木曜日の午前に診療を行っています。診察では婦人科の内診台ではなく、肛門科スタイルの昇降式診察台を使用しています(図2)。また、専門外来の開設日以外に患者さんから便秘について相談されても産婦人科医が診療できるよう、肛門科医から技術と知識を習得しています。以前から便秘への対応はしていましたが、限られた便秘治療薬の処方などにとどまっていました。肛門科医を迎えて改めて便秘治療薬についても勉強をし、現在はそれぞれの患者さんに応じて適切なものを出さなければいけない、例えば、妊婦さんだったら、妊娠していなかったら、高齢者で腸管の運動機能が低かったらと考えながら適宜対応しています。また、分娩前後はまったく便秘も痔もない女性は少ないと思いますが、この痔を発症・再発させないためには、原因となる便秘を予防して解消すること、日ごろから便通を整えることが重要であるということにも改めて気づかされました。

図2

肛門科スタイルの昇降式診察台

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