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押さえておきたいロコモティブシンドローム・フレイル・
サルコペニアのポイント

2020年05月19日公開

ロコモティブシンドロームと
フレイル、サルコペニアの有病率

吉村 典子先生

東京大学医学部附属病院
22世紀医療センター
ロコモ予防学講座 特任教授

はじめに

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、移動機能の低下をきたし、進行すると介護が必要になるリスクが高い状態のことを言う1フレイルとは筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念である2サルコペニアは筋肉量の低下を主体とし、握力や歩行速度の低下など機能的低下をも含む概念である3ロコモとフレイルやサルコペニアは全く別々の立場から生まれてきた疾患概念であるが、サルコペニアはフレイルの身体的要素であると同時に、筋肉という運動器の障害であることから、ロコモとフレイルは完全に独立した疾病概念ではなく、いずれもサルコペニアという疾患を内包しており、お互いに深く関連し合っている。ここでは、ロコモとフレイル、サルコペニアの関連を知る上でもっとも基礎となる疫学指標である有病率について解説する。

1. ロコモティブシンドロームの有病率

日本整形外科学会では現在の移動機能を確認するための指標として2013年にロコモ度テストを発表し、続いて2015年にはロコモ度を判定する臨床判断値を発表した4ロコモ度テストは立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25からなる。まず立ち上がりテストは、10cm、20cm、30cm、40cmの4つの高さの台を準備し、着座位から片脚または両脚で立ち上がれるかどうかで脚力を測るテストである。2ステップテストは、できるかぎり大股で2歩歩き、2歩分の歩幅を測定し、身長で除して2ステップ値を算出する。2ステップ値により、下肢の筋力、バランス能力、柔軟性などを含めた歩行能力を評価する。ロコモ25(問診票)は、過去1ヶ月の間に体の痛みや日常生活の困難がなかったかどうかについての25項目の質問からなる。ひとつひとつの問診項目について、ひどく痛い・ひどく困難など(4点)~痛くない・困難でないなど(0点)の評価値が与えられ、それらの単純加算により、0(最もよい状況)~100点(最も悪い状況)の得点がつけられる。
ロコモ度テストにより、ロコモ度1、ロコモ度2の二つのステージの判断が可能である。その臨床判断値は以下の通りである4

1)ロコモ度14

① 立ち上がりテスト:片脚で40cmの高さから立つことができない
② 2ステップテスト:1.3に達しない
③ ロコモ25:7点以上

①~③のうちひとつでも該当すれば、その対象者はロコモ度1該当と判定され、移動機能の低下が始まっている状態と判断される。

2)ロコモ度24

① 立ち上がりテスト:両脚で20cmの高さから立つことができない
② 2ステップテスト:1.1に達しない
③ ロコモ25:16点以上

①~③のうちひとつでも該当すれば、その対象者はロコモ度2該当と判定され、移動機能の低下が進行している状態と判断される。

山村、漁村在住の一般住民にロコモ度テストを実施し、1,575人(男性513人、女性1,062人)を解析対象として、ロコモ度1、2それぞれの該当者の有病率を推定した。ロコモ度1該当の有病率は全体の69.8%(男性68.4%、女性70.5%)(図1)、ロコモ度2該当の有病率は全体の25.1%(男性22.7%、女性26.3%)(図2)であり、いずれも年齢とともに高くなるが、男女差はなかった5この性・年代別分布を平成22年の国勢調査人口統計に当てはめてロコモ度1、ロコモ度2の該当者数を推定したところ、40歳以上におけるロコモ度1該当者数は総数4,590万人(男性2,020万人、女性2,570万人)、ロコモ度2は総数1,380万人(男性460万人、女性920万人)となり、極めて多数の人口がロコモ度1、2に該当していることがわかった。特にロコモ度1は40歳以上の68%が該当することから、極めて多くの中高年男女が自覚のないまま移動機能の低下が始まっていることがわかった。

図1. ロコモ度1該当者の割合

図2. ロコモ度2該当者の割合

2. フレイルの有病率

フレイルの診断基準はまだ世界的に統一されていないが、Friedらの5項目(①意図しない体重減少、②疲れやすさの自覚、③活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤握力の低下)を用いられることが多い6そこで、これらの基準のうち、3つ以上が当てはまるものを「フレイルあり」とし、山村、漁村在住の60歳以上の男女1,083人(男性372人、女性711人)を解析対象として、フレイルの有病率を求めたところ、5.6%(男性3.8%、女性6.6%)であると推定された(図3)。フレイルの有病率は年齢とともに高くなるが、男女差はなかった7この性・年代別分布を平成22年の国勢調査人口統計に当てはめてフレイルの有病者数(60歳以上)を推定したところ、総数220万人(男性56万人、女性164万人)となった。

図3. フレイルの有病率(≥60歳)

3. サルコペニアの有病率

山村、漁村在住の60歳以上の男女1,099人(男性377人、女性722人、平均72.1歳)を対象として、サルコペニアの有病率を推定した。サルコペニアの有無は、Asian Working Group for Sarcopeniaの勧告に従い、①年齢:≥60歳、②筋量:インピーダンス法により男性<7.0kg/m2、女性<5.7kg/m2、③握力:男性<26kg、女性<18kg、④歩行速度:<0.8m/sのうち、①、②に加えて、③か④のいずれかを認めるものをサルコペニアとした8
その結果、サルコペニアの有病率は8.2%(男性8.5%、女性8.0%)であると推定された。性・年代別分布を図4に示す。サルコペニアの有病率は70歳以上で年齢とともに高くなるが、男女差はなかった9この性・年代別分布を平成22年の国勢調査人口統計に当てはめてサルコペニアの有病者数(60歳以上)を推定したところ、総数370万人(男性120万人、女性250万人)となった。

図4. サルコペニアの有病率(≥60歳)

  • 1中村耕三:日整会誌. 82(1):1-2, 2008
  • 2日本老年医学会 :フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント.平成26年5月
  • 3Cruz-Jentoft AJ, et al. Age Ageing 39(4):412-423, 2010
  • 4ロコモチャレンジ!推進協議会 :日本整形外科学会 ロコモパンフレット2015年度版
  • 5Yoshimura N, et al : Mod Rheumatol 27(1): 1-7, 2017
  • 6Fried LP, et al.: J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 56(3):M146-M156, 2001
  • 7Yoshimura N, et al.Osteoporos Int 29(10):2181-2190, 2018
  • 8Chen LK, et al.: J Am Med Dir Assoc. 15(2):95-101, 2014
  • 9Yoshimura N, et al. Osteoporos Int 28(1):189-199, 2017