持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

ご利用の注意

・このサイトに掲載している情報は、弊社医療用医薬品を適正にご使用いただくためのものであり、広告を目的とするものではありません。

・日本国内の医療関係者(医師、薬剤師等)を対象としております。
 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

・このサイトで提供している以外の弊社医療用医薬品の情報をお求めの方は、弊社MR、またはくすり相談窓口までお問い合わせください。

会員限定コンテンツのご利用について

会員の方

会員限定コンテンツのご利用には
medパスIDが必要となります。

会員登録されていない方

対象の職種をお選びください。
会員限定コンテンツ以外を
ご利用いただけます。

会員限定コンテンツのご利用には
medパスIDが必要となります。

新規会員登録はこちら

※外部サイトへ移動します
medパスのご紹介はこちら

医療関係者ではない方(コーポレートサイトへ

持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

ご利用の注意

・このサイトに掲載している情報は、弊社医療用医薬品を適正にご使用いただくためのものであり、広告を目的とするものではありません。

・日本国内の医療関係者(医師、薬剤師等)を対象としております。
 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

・このサイトで提供している以外の弊社医療用医薬品の情報をお求めの方は、弊社MR、またはくすり相談窓口までお問い合わせください。

対象の職種をお選びください。

医療関係者ではない方(コーポレートサイトへ

よりぬき産婦人科トピックス

2022年9月27日公開

産婦人科における内視鏡手術の現状・課題・未来

楠木 泉先生

京都府立医科大学大学院 保健看護学研究科
教授

本コンテンツは、OG SCOPE Vol.11 No.1 臨床最前線(2022年2月発行)の記事を一部再編集しております。

はじめに

産婦人科領域で行われる内視鏡手術には、腹腔鏡手術、子宮鏡手術、卵管鏡手術、胎児鏡手術がある。
腹腔鏡手術には、気腹下にすべての手技を行う腹腔鏡手術(図1.a)、小切開手術と組み合わせる腹腔鏡補助下手術(図1.b)、気腹法を用いず鋼線などで腹壁を持ち上げて行う吊り上げ式手術、内視鏡手術支援ロボットを用いるロボット支援下手術(図1.c)がある。
子宮鏡には、硬性鏡に電気デバイスを装着したレゼクトスコープと主に子宮腔内の診断に用いる軟性鏡があり、子宮鏡手術は主としてレゼクトスコープにより施行される(図1.d)。近年は細径のため頸管拡張が不要で電気デバイスを用いないため無麻酔で行える細径硬性子宮鏡の普及により、症例によっては外来子宮鏡手術が可能となってきている(図1.e)。また、子宮鏡モルセレーション手術がわが国でも取り扱えるようになった。
卵管鏡は子宮口より卵管口を経て挿入し、卵管拡張、卵管閉塞の解除に用いる。
胎児鏡は妊娠子宮の子宮腔内に経皮的に内視鏡を挿入して手術操作を行う産科手術で、胎盤血管吻合部レーザー焼灼(凝固)術が行われる。

婦人科内視鏡手術の歴史

腹腔鏡手術の歴史をたどれば、婦人科領域で発展した腹腔鏡検査に行き着く。光学視管を腹壁より腹腔内に挿入する腹腔鏡(ラパロスコープ)、あるいは腟壁より腹腔内に挿入する骨盤腔鏡(クルドスコープ)を用いて骨盤内病変を観察する検査が婦人科領域で主として不妊症検査を目的に発展した。併行して整容性を目的のひとつとした小切開手術(ミニラパロトミー)が行われており、この両者の長所を融合させて短所を補う手術が腹腔鏡手術である。1930年代には婦人科領域で腹腔鏡を用いた腹腔内や骨盤内の病変の観察が行われるようになり、1960年代にPalmerにより不妊症診断のための腹腔鏡検査が試験開腹術に代わり確立され、電気凝固を用いた子宮内膜症組織の切除・生検なども行われた1)。1964年頃Semmによる自動気腹装置が開発、1984年頃よりCCD(charge coupled device)カメラを搭載したスコープが臨床応用されるようになり2)、医療機器と技術革新により、腹腔鏡は診断中心から治療中心へと発展した。1987年にMouretがCCDカメラを用いた腹腔鏡下胆囊摘出術を行い、近代的な腹腔鏡手術の幕開けとなった3)。婦人科領域では、1989年にReichが腹腔鏡下子宮全摘術を初めて報告した4)。1992年にはChildersらにより腹腔鏡下子宮体癌手術5)が、同年Nezhatらにより腹腔鏡下広汎子宮全摘術6)が初めて報告された。光学視管を子宮口より挿入して子宮腔内を観察する子宮鏡検査も1908年より行われている7)。泌尿器科領域ではレゼクトスコープが開発され、前立腺肥大症などに対して経尿道的切除術(TUR)が行われるようになった。近代的な子宮鏡手術は1978年NeuwirthらによりTURに使用するレゼクトスコープを用いた子宮粘膜下筋腫切除術を報告したことにはじまった8)
わが国では、CCDカメラを搭載したスコープが1986年頃より臨床導入され9)、1989年頃に卵巣囊腫に対する腹腔鏡手術が行われるようになり10)、1992年には久布白らにより日本で初めての腹腔鏡下子宮全摘術が報告された11)。1994年には婦人科領域で良性付属器、子宮内膜症、子宮外妊娠(異所性妊娠)手術に保険適用が認められ、1996年に子宮全摘術にも認められるようになり、社会のニーズの高まりもあって腹腔鏡手術件数が全国的に増加した。婦人科領域では永らく腹腔鏡手術の保険適用は良性疾患に限定されていたが、2014年に子宮体癌に対して、2018年に子宮頸癌に対して腹腔鏡手術が保険適用となった。また、ロボット支援下手術の保険適用が2018年には良性子宮腫瘍に対する子宮全摘術と子宮体癌に対する子宮悪性腫瘍手術に、2020年に仙骨腟固定術に認められるようになった。2020年10月現在、保険適用が認められている産婦人科内視鏡手術を示す(表1)

内視鏡手術を取り巻く環境の課題

1973年に産婦人科内視鏡研究会(1984年に日本産科婦人科内視鏡学会(以下、内視鏡学会)と改称)が発足し、産婦人科内視鏡手術の発展に寄与している。内視鏡学会は、産婦人科内視鏡手術に携わる医師の技術と知識を評価して認定することにより、内視鏡手術の発展と普及、そして国民の健康維持に寄与することを目的として日本産科婦人科内視鏡学会技術認定制度規則を定め12)、技術認定申請者から提出された申請書および動画の審査と技術認定を行っている。技術認定制度が発足した背景には、腹腔鏡手術が急速に発展を遂げた一方で腹腔鏡特有の手術合併症が大きな問題となり、安全性の評価と知見の共有が必要となったことがある。2002年に技術認定制度が他科領域に先駆けて発足し、2003年に技術認定医の第1回合格者発表(2002年度)が行われた。
2007年度からは腹腔鏡とは別に子宮鏡技術認定医の審査が開始された。2014年度には認定研修施設に関する規則が制定された。
内視鏡学会員数、技術認定医数は年々増加傾向にあり、2019年度末現在で内視鏡学会員数は4000人を超え、技術認定医数も900人を超えている(図2)。今後、さらなる内視鏡手術の増加と共に、技術認定制度の重要性はさらに深まるものと考えられる。しかし、産婦人科内視鏡手術において地域間格差が大きい現状があることが否めないことは、技術認定医数の偏在からも示唆される。産婦人科腹腔鏡技術認定医数が10人未満の都道府県は約半数の23におよび、技術認定医が存在しない「空白県」も存在する(図3.a)
人口比に換算すると日本全国の人口100万人あたりの産婦人科腹腔鏡技術認定医数は7.0人であるが、都道府県別では人口100万人あたり7.0人以上いるのは16都道府県に過ぎない(図3.b)。また、腹腔鏡手術の修練の場である認定研修施設数も都道府県別に偏りが見られる(図3.c)。子宮鏡技術認定医に関しては「空白県」はさらに多く存在する(図3.d)。地域によっては、内視鏡手術を受けること、あるいは技術認定医を志す者が修練を行うことが難しいという状況の存在が推察される。居住する地域にかかわらず、医療を必要とする者に対して等しく安全で高い技術が提供されるべきである。この産婦人科内視鏡手術の地域間格差に対する方策の検討が産婦人科内視鏡手術を取り巻く今後への大きな課題のひとつといえる。

文献

  • 1)淡路正則,武内裕之,高瀬幸子,他.当科における子宮内膜症性嚢胞に対する腹腔鏡下治療法について.日産婦内視鏡学会誌1993; 9: 53-56
  • 2)Classen M, Phillip J. Electronic endoscopy of the gastrointestinal tract. Initial experience with a new type of endoscope that has no fiberoptic bundle for imaging. Endoscopy 1984; 16: 16-19
  • 3)Mouret P. How I developed laparoscopic cholecystectomy. Ann Acad Med 1996; 25: 744-7
  • 4)Reich H, DeCaprio J, McGlynn F. Laparoscopic hysterectomy. J Gynecol Surg 1989; 5: 213-6
  • 5)Childers JM, Surwit EA. Combined laparoscopic and vaginal surgery for the management of two cases of stage I endometrial cancer. Gynecol Oncol 1992; 45: 46-51
  • 6)Nezhat CR, Burrell MO, Nezhat FR, et al. Laparoscopic radical hysterectomy with paraaortic and pelvic node dissection. Am J Obstet Gynecol 1992; 166: 864-5
  • 7)Seymour HF. Endoscopy of the uterus: With a description of a hysteroscope. Br Med J 1925; 2: 1220
  • 8)Robert S. Neuwirth: A new technique for and additional experience with hysteroscopic resection of submucous fibroids. Am. J. Obstet. Gynecol 1978; 131: 91-94
  • 9)油田啓一,小島栄吉,武井成夫,他.電子内視鏡の使用経験.日本産科婦人科内視鏡学会誌1987; 2・3,123
  • 10)藤原葉一郎,広瀬敏行,松島有里,他.子宮付属器疾患に対する腹腔鏡下手術.日本産科婦人科内視鏡学会誌1991; 7: 46-52
  • 11)久布白兼行,関賢一,林保良,他.腹腔鏡下子宮全摘出術―Auto Suture ENDO GIATM30による腹腔鏡下手術を併用した新たな子宮全摘出術の試み―.日本産科婦人科内視鏡学会誌1992; 8: 83-87
  • 12)一般社団法人日本産科婦人科内視鏡学会:一般社団法人日本産科婦人科内視鏡学会技術認定制度規則.日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2017; 33: 63-120