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よりぬき産婦人科トピックス

2023年4月4日公開

婦人科医が知っておきたい慢性便秘症の知識

三輪 洋人先生

川西市立総合医療センター
総長

本コンテンツは、OG SCOPE Vol.8 No.3 最新医学レポート(2018年2月発行)の記事を一部再編集しております。

便秘感と便秘の頻度

快適な排便は質のよい生活に不可欠である。便秘は困る。しかし、改めて「便秘って何?」と聞かれると返答に困る。適当な回答がないからである。機能性消化管疾患の分類では世界的に権威のあるローマ委員会が表1の基準によって便秘を定義しているが、複雑すぎて日常診療ではとても使えない1)。このように「便秘って何?」という問いに答えるのはそれほど容易なことではない。これまで我が国の一般住民への調査では、その多くが便秘を便回数が少ないこと(83.0%)、排便困難感があること(76.8%)、便が硬いこと(71.4%)ととらえていることが明らかとなった2)。実際に臨床で便秘を訴える患者を診察する場合、患者がこの3つの要素の中で何をもって便秘を訴えているかを正しく認識することが肝要である。
図1に示すように、我が国のインターネット調査によれば便秘の自覚を持つ人は全回答者の28.4%と多く、特に20~30歳代の比較的若年者が多い2)。とりわけ圧倒的に女性に多いのが特徴で、20歳代の女性の約半数は便秘の自覚がある。婦人科領域では便秘患者に遭遇する機会が多いかもしれない。

便秘の診断と分類

便秘の原因として、大腸癌や大腸の閉塞性障害などによる器質的便秘、糖尿病やうつ病など全身性の疾患の部分症として生じる症候性便秘、抗コリン薬、麻薬系鎮痛薬(麻薬拮抗性鎮痛薬)などの薬剤が原因の薬剤性便秘等は、まず鑑別が必要である。この他に機能性便秘や便秘型過敏性腸症候群(IBS)があるが、これらはいわゆる原因がはっきりしない便秘として分類される。
この中で機能性便秘は原因不明の“いわゆる便秘”といわれる疾患である。この機能性便秘は大腸通過時間から3つのタイプに大別される。
第1のタイプは大腸通過時間遅延型便秘である。一般的に便の硬さは大腸の通過時間と相関するとされる3)。便は小腸から大腸に移行するときには液状で、その水分が大腸で吸収されて固形便となる。つまり大腸通過時間が長くなると便が硬くなって便秘になる。この大腸通過時間が遅延する原因に関しては、大腸粘膜・筋層内の神経線維の脱落によるものとの報告が多く4、5)、高齢者の便秘に多いとされる。
第2のタイプは大腸通過時間正常型であり、特に若い人の便秘の多くはこのタイプと思われる。通過時間が正常であるため硬便になることはあまりないが、実際には硬便ではなくとも自分が便秘と思い込む場合や、意識的に排便を我慢するために直腸伸展刺激に対する直腸閾値の低下により便意が減少する場合などがある。
第3のタイプは排出障害型便秘である6)。排便時に恥骨直腸筋および内・外肛門括約筋が弛緩しないため、直腸内圧と肛門圧の協調がうまくいかないことによって生じる便秘である。直腸内に便が充満していて強い便意があるにもかかわらず排便できない。このタイプの便秘は非常に重篤感があり、自己摘便を行ったり、長時間トイレにこもったりするなど著しくQOLに影響する便秘である。治療には基本的に薬物療法は無効でbiofeedback療法を行う必要があるため専門施設へ紹介して治療する必要がある6、7)。頻度の多いタイプの便秘ではないが、非専門医が頑固な便秘に遭遇したときにはこの疾患を疑うことも必要であろう。
図2に簡単な便秘のタイプの見分け方を記したが、これらのタイプを頭に思い浮かべながら診療を行うことも必要であろう。

便秘の治療

便秘のタイプによって治療は異なってくるが、一般的にまず行うべきは生活習慣改善指導であろう。多めに水分摂取を行うことや、食物繊維の摂取に努めること(特にこんにゃくや昆布などの水溶性繊維の効果が実証されている)、適度な運動を行なうことなどは、積極的に患者に勧めていただきたい。このような日常生活指導でも改善しない便秘の場合には、薬物治療を行うことになる。
表2に便秘に用いられる薬物の種類を示した。さまざまな種類の便秘薬があることがわかる8)。緩下剤は便中の水分量を増加させ便を軟らかくし腸管内通過時間を短くする薬剤であり、最も頻用される。この代表選手が酸化マグネシウムである。効果が高く用量を調整しやすく、安価、そして作用は穏やかで習慣性はない。ただ、特に高齢者や腎機能低下者では高マグネシウム血症を発症する可能性があり注意を要する9)。最近、浸透圧によらず腸上皮に直接作用して腸管内の水分分泌を促す上皮機能変容薬であるルビプロストンやリナクロチドが使用可能となったが、ルビプロストンは妊婦や妊娠している可能性のある婦人への投与は禁忌である10)
緩下剤の他に膨張性下剤、大腸刺激性下剤、消化管運動機能改善薬*などがあるが、我が国の特徴として大腸刺激性下剤が頻用されていることが挙げられる。この薬剤は大腸筋層間神経叢に作用し腸管収縮を起こすものであり、即効性で効果が高い。しかし反面、精神的依存性や習慣性があり、また連用で腸内神経叢の障害、さらには腸管運動の低下を来すため基本的には短期使用または頓用で使用すべき薬剤とされている。ただ実際には連用されている場合も多く注意が必要である。
表3に本邦で使用可能な刺激性下剤を記載した11)。センノシド、センナやそれを含む大黄、ピコスルファートナトリウム、ビサコジルなどは、頻用されておられる先生も多いのではないかと思われる。特に大腸刺激性下剤である大黄には、子宮収縮作用および骨盤内臓器の充血作用により早期流産の危険性があるとされるため、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましいとされている。また市販の便秘薬のほとんどは大腸刺激性下剤の成分を有しているため、過剰な内服を避けるように患者への適正な指導も行っていただきたい。
また便秘に対して漢方薬を処方している医師も少なくないと思われる。一般に漢方薬は効き目がマイルドで副作用もあまりないと信じられている向きもあるが、便秘に対する漢方はその限りでないので注意を要する10)。ほとんどの漢方は刺激性下剤である大黄の成分を含み、また連用で偽アルドステロン症を招来する危険のある甘草を含んでいる。したがって原則、便秘に対する漢方薬の連用は好ましくない。加えて、上述したように大黄は婦人に対しては十分注意する必要があるので、その使用にはくれぐれも注意していただきたいと思う。
日本消化器病学会の附置研究会である慢性便秘の診断・治療研究会は、2017年10月に『慢性便秘症診療ガイドライン2017』を刊行した。便秘に関する我が国初のガイドラインで非常に注目されている。治療に関しては薬剤のエビデンスレベルを調べ(A~D)、それに基づいて推奨レベル(推奨、提案)を決定する(表4)10)。このうちエビデンスレベルがAで、しかも行うように推奨される薬剤は浸透圧性下剤および上皮機能変容薬の2つであったが、この両者とも緩下剤に分類される薬剤である。この意味でも、我が国での便秘に対する第一選択薬は緩下剤であろうと考えられる。
*慢性便秘症の適応は無い。

参考文献

  • 1)Lacy B, et al.: Bowel Disorders. Gastroenterology 2016; 150: 1393-1407
  • 2)Tamura A, et al.: Prevalence and Self-recognition of Chronic Constipation: Results of an Internet Survey. J Neurogastroenterol Motil 2016; 22(4): 677-684
  • 3)Degen LP, et al.: How well does stool form reflect colonic transit? Gut 1996; 39(1): 109-113
  • 4)He CL, et al.: Decreased Interstitial Cell of Cajal Volume in Patients with Slow-Transit Constipation. Gastroenterology 2000; 118(1): 14-21
  • 5)Wedel T, et al.: Enteric Nerves and Interstitial Cells of Cajal Are Altered in Patients with Slow-Transit Constipation and Megacolon. Gastroenterology 2002; 123: 1459-1467
  • 6)Rao SSC.: Dyssynergic Defecation & Biofeedback Therapy. Gastroenterol Clin North Am 2008; 37(3): 569-586
  • 7)Rao SSC, et al.: ANMS-ESNM Position Paper and Consensus Guidelines on Biofeedback Therapy for Anorectal Disorders. Neurogastroenterol Motil 2015; 27(5): 594-609
  • 8)木下芳一他:便秘治療薬の使い方と使い分け. medicina 2016; 53(9): 1364-1368
  • 9)三原弘:緩下剤 酸化マグネシウム、ルビプロストンなど. medicina 2016; 53(9): 1369-1372
  • 10)日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会編:慢性便秘症診療ガイドライン2017, p57-92, 南江堂, 2017
  • 11)富田寿彦他:刺激性下剤 アントラキノン系、ジフェノール誘導体. medicina 2016; 53(9):1374-1376

2023年4月作成

17126-1/N13 60 PI