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- テリパラチドBS「モチダ」
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Information
開発の経緯
骨粗鬆症の治療の目的は骨折の予防であり、中でも臨床的に重要な椎体及び大腿骨近位部の脆弱性骨折の予防が中心となります1)。現在、国内で承認されている主な骨粗鬆症の治療薬としては骨吸収抑制剤及び骨形成促進剤があり、いずれも骨量を増加させ、骨折を抑制します2)。患者の骨粗鬆症の成因が骨吸収亢進型と骨形成低下型のどちらが主体であるかということや、骨密度の低下部位を考慮して治療を選択することが可能となっています1)。
テリパラチドBS皮下注キット600μg「モチダ」(以下、本剤)はテリパラチド(遺伝子組換え)〔テリパラチド後続1〕を有効成分とする製剤であり、本邦を含む世界各国で既に承認販売されているテリパラチド(遺伝子組換え)製剤(本邦での販売名:フォルテオ®[以下、フォルテオ]、欧州での販売名:FORSTEO®[以下、FORSTEO])を先行バイオ医薬品としたバイオ後続品です。テリパラチド(遺伝子組換え)は内因性ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)の活性部分である1〜34番目のアミノ酸からなるポリペプチドであり、大腸菌を用いた遺伝子組換え技術により産生されます。
テリパラチド(遺伝子組換え)は、国内の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」1)において、他の骨粗鬆症治療薬による治療を行ったにもかかわらず骨折を生じた患者、高齢で複数の椎体骨折や大腿骨近位部の骨折を生じた患者及び骨密度低下が著しい患者などに使用が奨められており、骨密度の上昇効果、椎体骨折及び非椎体骨折の抑制効果は、いずれも有効性の評価の基準A(「上昇効果がある」又は「抑制する」)とされています※。
本剤は、ハンガリーのGedeon Richter社により、欧州においてFORSTEOのバイオ後続品として開発され、2017年1月に欧州医薬品庁(European Medicines Agency)より承認を取得しました。持田製薬株式会社は、2011年にGedeon Richter社から本剤を導入し、開発を開始しました。
本剤は、「バイオ後続品の承認申請について」、「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」及び「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」を参考にして、本邦の承認申請に必要な品質試験、非臨床試験及び臨床試験を実施しました。品質、非臨床、臨床のそれぞれの試験において、本剤とFORSTEO又はフォルテオの同等性/同質性が示されたことから3)、フォルテオで承認されている効能・効果、用法・用量が本剤に外挿可能と考え、本剤をテリパラチド(遺伝子組換え)のバイオ後続品として、2018年9月に医薬品製造販売承認申請を行い、2019年9月に承認を取得しました。
- ※大腿骨近位部骨折に対する有効性の評価は基準C(抑制するとの報告はない)とされている。
骨密度上昇効果
- 以下のいずれかの条件をみたす場合
- ①プラセボを対照にしたRCTで有意な上昇効果を示す論文がある。
- ②プラセボを対照として有意な上昇効果がすでに示されている薬剤を対照としたRCTで非劣性または優越性を示す論文がある。
- 以下のいずれかの条件をみたす場合
- ①プラセボを対照にしたRCTで上昇効果を示す論文があるが、結果の普遍性が確立されていない*。
- ②有意な上昇効果がすでに示されている薬剤を対照としたRCTで非劣性または優越性を示す論文があるが、結果の普遍性が確立されていない*。
- 以下のいずれかの条件をみたす場合(post-hoc subgroup analysisは除く)
- ①プラセボを対照にしたRCTで有意な抑制効果を示す論文がある。
- ②プラセボを対照として有意な抑制効果がすでに示されている薬剤を対照としたRCTで非劣性または優越性を示す論文がある。
- 以下のいずれかの条件をみたす場合(post-hoc subgroup analysisを含む)
- ①プラセボを対照にしたRCTで抑制効果を示す論文があるが、結果の普遍性が確立されていない*。
- ②有意な抑制効果がすでに示されている薬剤を対照としたRCTで非劣性または優越性を示す論文があるが、結果の普遍性が確立されていない*。
- *「結果の普遍性が確立されていない」とは、RCTの症例数が少ない場合や有効性が示されない報告もある場合などを指す。
- 1)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会(日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団)
委員長 折茂肇 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版:ライフサイエンス出版 - 2)池田恭治:医学のあゆみ. 2007; 221(1): 124-127
- 3)渡邉 学 他. 診療と新薬 2019; 56: 674-685
本論文の著者は全て持田製薬株式会社の社員です。