月経困難症診療におけるSDMの重要性
痛みを取り除く治療のみで終わらせないために
月経困難症の女性は、その痛みについて周囲の理解をなかなか得られないという悩みを抱えています。痛みを訴えても、例えば家族には「大げさではないか」、相手が医師の場合でも「気にし過ぎではないか」などと言われてしまうことがあるようです。これは、月経そのものは女性としての身体機能であって、病気ではないことから生じると考えられます。また、痛みは他人と比較できないことから、当の本人も自分の痛みを当たり前だと思ってしまうことが多いです。このようなそれぞれの無理解が、月経痛に悩む女性が医療につながる機会を遅らせ、症状の進行を招く要因になるため、本人を含めて社会全体が月経困難症や子宮内膜症について正しく理解していくことが必要です。
一方、本人の周囲に理解者がいる場合には産婦人科受診につながりやすいですが、そこで大切なのは、単に痛みを取り除く治療のみで終わらせないことだと私は考えています。確かに、月経困難症の治療薬を使用すれば痛みには対処できますが、そもそも患者さんが自分の病気や身体について理解できていなければ、治療を適切に継続していくことは難しく、長い目でみて患者さんのためにならないと思うからです。治療にはあくまでも患者さんが主体的に参画することが重要であり、その前提としてまず患者さん自身に病気や治療をよく理解してもらうことが必要になるのです。つまり、私たち医療者は、患者さんが治療に対する“やる気スイッチ”を自分で見つけ、自分で押すために、情報提供やコミュニケーションを通して患者さんをエンパワーメントする必要があるのです。