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グーフィス®錠5mg Pick Up

2022年7月12日公開

先生のご所属や本記事の内容は2019年9月時点の情報に基づく

  • 監修医コメント

     胆汁酸をリガンドとするG蛋白結合型レセプターTGR5が同定されてから、胆汁酸が生体内シグナル伝達分子として糖・脂質・エネルギー代謝を調節することが多くの研究により明らかにされてきた1
     さらに、胆汁酸は腸内細菌により産生される二次胆汁酸とともに腸肝循環するため、さまざまな遠隔臓器にも代謝変動をもたらし、疾患発症、予防に関与する可能性があることが報告されている2
     古くから研究されてきたにも関わらずさらに新しい魅力をあわせもつ胆汁酸について、第1回目となる今回は、基本的な胆汁酸の種類と腸肝循環について解説を行う。

    ※TGR5:Takeda G-protein-coupled bile acid receptor 5

    1. Chiang JY: F1000Res 2017; 6: 2029, 2. 中村杏菜, 渡辺光博: 肝胆膵 2018; 77(1): 15-23

    胆汁酸とは3,4

     胆汁は脂肪の消化吸収を助ける生理的作用をもち、その作用の主成分が胆汁酸である。胆汁酸は肝臓でコレステロールから合成され、胆嚢・胆管を経て十二指腸に分泌される。脂質の吸収に関与する親水基と疎水基をあわせ持つ両親媒性のステロイドである。ミセル形成能を有することにより胆汁中でのコレステロールの溶存や小腸内での脂質の消化、吸収にも重要な役割をしている。

    3. 滝川一: 胆道 2013; 27(1): 23-28, 4. 石塚敏: 化学と生物 2014; 52(5): 301-306

    胆汁酸の種類5

     胆汁酸には、一次胆汁酸と二次胆汁酸がある。

    <一次胆汁酸>

    • 肝細胞で合成される。
    • コール酸(CA)とケノデオキシコール酸(CDCA)がある。
    • 生体内では主にグリシンやタウリンと結びついた形の抱合型胆汁酸として存在している。

    <二次胆汁酸>

    • 一次胆汁酸が腸内細菌などにより脱水酸化などの構造変換をうけたデオキシコール酸(DCA)およびリトコール酸(LCA)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)などがある。

    5. 竹山康章, 向坂彰太郎: 肝胆膵 2016; 72(5): 785-791

    胆汁酸の腸肝循環6

    <胆汁酸のリサイクル>

    • 胆汁酸は胆嚢を経て腸管に分泌されるが、その約95%が腸管上皮から吸収される。
    • 吸収された胆汁酸は門脈を経て肝臓に戻り、肝臓で効率よく取り込まれ再び胆汁中に分泌される腸肝循環を行っている。
    • 腸肝循環は、1日に8~10回行っている。

    <胆汁酸プールと排泄>

    • 体内の胆汁酸総量は胆汁酸プールサイズと呼ばれ、成人では2~4gである。
    • 大部分は腸肝循環内に存在する。
    • 胆汁酸は糞便中に300mg程度排泄され、定常状態では胆汁酸生成量にほぼ相当する。

    6. 内田清久著. 胆汁酸と胆汁. 創英社; 2009. p52

     便は、色の濃淡はあれど総じて茶色く、その理由は、胆汁である。胆汁には、赤血球からつくられたビリルビンという成分が含まれており、黄緑色をしている。このビリルビンは便の酸度によって、アルカリ性であれば黒ずんだ茶褐色、酸性であれば黄色みを帯びたオレンジ色となる。腸内にビフィズス菌や乳酸菌などが多い場合は、腸内の環境が弱酸性に保たれているため、便の色は黄色に近い色となる。
     それに対して、肉類や脂肪類を多く摂取したり、便秘など、腸内環境に変化が起こるとアルカリ性になるため、便の色が茶褐色から黒褐色になってくる。このように、便の色は健康のバロメーターのひとつである。

    日野貞雄著. ウンコによる健康診断:色と形で病気がわかる. 光文社; 1970. p2-3

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