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Information
開発の経緯
胆汁酸は、肝臓でコレステロールから合成される物質です。
肝臓で合成された後、胆汁の主成分として胆嚢に蓄えられ、食事に伴って胆嚢から胆管を経て十二指腸へ分泌され、食物脂肪の消化、吸収に関与します。
分泌された胆汁酸は腸肝循環により小腸で約95%が再吸収され、門脈を経由して肝臓に戻り再び胆汁中に分泌されます1)。一方、再吸収されなかった胆汁酸は大腸へ到達します。
大腸管腔内で胆汁酸が増加すると、胆汁酸の働きによって大腸管腔内へ水分が分泌され、また消化管運動が促進することが知られています2,3)。
グーフィス®錠5mg(一般名:エロビキシバット水和物)は胆汁酸トランスポーター阻害作用を有するエロビキシバットを有効成分とする経口慢性便秘症治療薬※です。
グーフィス®錠5mgは、高脂血症改善薬の探索において見出された化合物を基に構造展開された低分子化合物です。
エロビキシバットは、回腸末端部にあって胆汁酸の再吸収に関わるトランスポーターであるIBAT(ileal bile acid transporter)を特異的に阻害する作用を有しています4)。
エロビキシバットのIBATに対する作用によって胆汁酸再吸収が阻害され大腸へ到達する胆汁酸が増加すれば、大腸管腔内への水分の分泌、消化管運動が促進すると考えられます。
これらのことから、エロビキシバットはこれまでにない作用機序により便秘に対する治療効果を発揮する可能性をもつと考えられ、2012年4月、味の素製薬株式会社(現EAファーマ株式会社)は、慢性便秘症治療薬として開発に着手しました。
本邦では2013年4月に第Ⅰ相試験、2014年7月に後期第Ⅱ相試験、2015年10~11月に第Ⅲ相試験及び長期投与試験が開始され、持田製薬株式会社との共同開発を経て有効性及び安全性が評価されました。
その結果、グーフィス®錠5mgは、慢性便秘症治療薬※として2018年1月に製造販売承認を取得しました。
- ※:器質的疾患による便秘を除く
- 1)小西孝宜、鍋谷圭宏:外科と代謝・栄養2013;47(1):41-43
- 2)Mekhjian HS, et al.:J Clin Invest 1971;50:1569-1577
- 3)Bampton PA, et al.:Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 2002;282:G443-449
- 4)Acosta A, Camilleri M:Ther Adv Gastroenterol 2014;7(4):167-175
(著者のCamilleriはエロビキシバットの創薬会社であるアルビレオ社より研究助成金を受領している。)