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Information
開発の経緯
トラムセット®配合錠は、1錠中にオピオイド(非麻薬)「トラマドール塩酸塩」37.5mgと解熱鎮痛剤「アセトアミノフェン」325mgを配合した本邦初の鎮痛剤である。
トラマドール塩酸塩はドイツ、Grünenthal GmbH社が開発したオピオイド(非麻薬)で、μオピオイド受容体に対する作用及びモノアミン再取り込み阻害作用により、鎮痛効果を示すと考えられている1)~4)。
アセトアミノフェンは1940年代から汎用されているアニリン系解熱鎮痛剤で、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)とは異なり、末梢でのシクロオキシゲナーゼ阻害作用は弱く、主に中枢神経系で鎮痛作用を示すと考えられている5)。
米国R.W.Johnson Pharmaceutical Research Institute社(現Johnson&Johnson Pharmaceutical Research & Development社)は、作用機序の異なるこの2つの鎮痛剤を併用することにより、多様な疼痛疾患に有効性が期待できることに着目し、配合錠の開発を行った。以後、数々の臨床試験を経て、トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠は世界68の国と地域で承認されている(2020年8月当時)。
本邦ではヤンセンファーマ株式会社が臨床試験を実施し、非オピオイド鎮痛剤で治療困難な非がん性慢性疼痛及び抜歯後の疼痛に対して効能・効果をもつ治療剤として、2011年4月、承認を取得した。
- 1)満島隆, 他:日薬理誌, 68:437, 1973
- 2)Hennies, H.H., et al.:Arzneim. –Forsch./Drug Res., 38:877, 1988
- 3)Driessen, B., et al.:Br. J. Pharmacol., 105:147, 1992
- 4)Bamigbade, T.A., et al.:Br. J. Anaesth., 79:352, 1997
- 5)Warner, T.D., et al.:Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 96:7563, 1999