- 医療関係者向けホーム
- 循環器領域
- エパデールEM
- Information:開発の経緯
Information
開発の経緯
高脂血症(脂質異常症)には、高トリグリセライド(TG)血症や高コレステロール血症などがあり、冠動脈疾患や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の危険因子とされています1)。
高脂血症の治療は、本邦のガイドライン(動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版)において、食事療法および運動療法を含む生活習慣の改善をはかることから開始し、効果不十分な場合、薬物療法を考慮することとされています2)。エパデールカプセル・エパデールSは、高脂血症の薬物療法における選択肢の1つとして、1994年の効能追加※1以降臨床使用されてきました。エパデールカプセル・エパデールSの高脂血症における用法及び用量は、通常「1回900mgを1日2回又は1回600mgを1日3回」、TG異常を呈する場合には、「1回900mgを1日3回まで増量できる」となっています。一方、エパデールカプセル・エパデールSとの併用療法の選択肢として用いられるHMG-CoA還元酵素阻害薬の投与回数は、1日1回がほとんどであることから、アドヒアランスや他剤との併用における利便性の向上が期待される1日1回投与が可能な薬剤の開発が望まれていました。
本剤は、吸収性の向上を期待して既承認のエパデールカプセルとエパデールSを新たに製剤設計した自己乳化製剤です。エパデールカプセル・エパデールSの添加物の処方を変更することにより、イコサペント酸エチル(EPA-E)が消化管内において胆汁酸に依存せずに乳化分散し、吸収されると考えられます。この製剤設計により、吸収性の向上と食事の影響を受けにくくなることが期待されます。
本剤は、既承認のエパデールカプセル・エパデールSと臨床的位置づけ、有効性、安全性などが同等となることを期待して、用法及び用量のみが異なる製剤※2として臨床試験を開始しました。高脂血症(TG高値)患者を対象とした国内第Ⅲ相試験を実施し、エパデールカプセルを対照として本剤の有効性の検証および安全性の検討を行いました。また、本剤は長期間の投与が想定されることから、本剤の長期投与による安全性および有効性の検討を目的として、国内第Ⅲ相長期投与試験を実施しました。
そして2022年6月に、「高脂血症」を効能又は効果として、本邦において製造販売承認を取得しました。
- ※1 エパデールSは1999年販売開始
- ※2 エパデールカプセル・エパデールSの効能又は効果:「閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善」「高脂血症」
- 1)今野弘規ほか:日本臨牀. 2013;71:1528-1535
- 2)日本動脈硬化学会 編集:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版 伸企画:p60