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ユリス®錠 Pick Up

2020年07月30日公開(2022年03月01日一部改訂)

痛風関節炎の診断・治療とユリス®錠の血清尿酸値低下作用 [監修]両国東口クリニック 理事長 大山 博司 先生 痛風関節炎の診断・治療とユリス®錠の血清尿酸値低下作用 [監修]両国東口クリニック 理事長 大山 博司 先生

高尿酸血症が長年持続すると痛風関節炎や痛風結節、腎障害、尿路結石など尿酸一ナトリウム結晶が関与する臨床症状が顕性化してきます。このなかで痛風関節炎や痛風結節をきたしたものが痛風です1)
2020年5月に発売となったユリス®錠は、痛風、高尿酸血症の治療選択肢の1つとなる選択的尿酸再吸収阻害薬
(Selective Urate Reabsorption Inhibitor:SURI)です。
今回は、血清尿酸値と痛風関節炎の関連、ガイドラインに基づいた痛風の診断と高尿酸血症の治療、及び後期第相試験データが示すユリス®錠の血清尿酸値低下作用についてご紹介いたします。

  • 1)日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 2018 : 115

血清尿酸値と痛風関節炎の関連-海外の大規模前向きコホート研究より-

海外の健康成人を対象にした大規模前向きコホート研究では、血清尿酸値と痛風関節炎の関連が検討されました。
その結果、血清尿酸値区分別の痛風関節炎の発症率(例/1,000人年)は、血清尿酸値が6.0mg/dL未満で0.8でした。また、血清尿酸値6.0~6.9mg/dLで0.9、7.0~7.9mg/dLで4.1、8.0~8.9mg/dLで8.4、9.0~9.9mg/dLで43.2、10.0mg/dL以上で70.2でした。

痛風の診断-高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版より-

第 3 章 高尿酸血症・痛風の診療マニュアル 
B 診断 3 痛風

要 点

  • 痛風関節炎は関節内や関節周囲組織に沈着した尿酸一ナトリウム結晶により誘発される関節炎ないし滑液包炎である。
  • 尿酸一ナトリウム結晶は補正偏光顕微鏡下に強い負の複屈折性を示す針状結晶で、関節液中の白血球に貪食された尿酸一ナトリウム結晶の検出が確定診断となる。
  • 化膿性関節炎との鑑別や感染合併を否定するためには関節液採取と顕微鏡検査が必要である。
  • 痛風発作中の血清尿酸値は低いことがあり血清尿酸値の診断的価値は高くない。
  • 非侵襲的画像診断では関節エコー、dual energy CTでの結晶沈着の可視化が有用である。
  • 日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 2018:99-101
参 考尿酸一ナトリウム結晶の画像所見

顕微鏡での鏡検像(補正偏光顕微鏡下)

尿酸一ナトリウム結晶が、針状の負の複屈折性結晶として観察される。

関節エコー画像

関節滑膜に層状に沈着した尿酸塩結晶は、関節軟骨の低エコー域を挟んで高ないし等エコーレベルの不整な線状エコー画像(double contour sign:DCS)として描出される。

  • 画像:大山 博司 先生(両国東口クリニック 理事長)ご提供

高尿酸血症の治療-高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版より-

第 3 章 高尿酸血症・痛風の診療マニュアル 
C 治療 3 高尿酸血症

要 点

  • 高尿酸血症の治療では、心血管病など生命予後に関係する肥満、高血圧、糖・脂質代謝異常などとともに、高尿酸血症の発症に関連する生活習慣を改善することが最も大切である。
  • 痛風関節炎を繰り返す患者や痛風結節を認める患者は薬物治療の適応となり、血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持するのが望ましい。
  • 痛風関節炎を誘発させないために、尿酸降下薬は最小量から開始すべきで、必要に応じてコルヒチンカバーを併用する。
  • 無症候性高尿酸血症への薬物治療の導入は血清尿酸値8.0mg/dL以上を一応の目安にするが、適応は慎重にすべきで、現時点で得られているエビデンスや薬物の副作用について情報を患者に示し納得のうえで開始することが望ましい 。
  • 日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 2018:114-7

監修コメント

両国東口クリニック 理事長大山 博司先生

痛風関節炎は関節内に析出した尿酸塩結晶が引き起こす急性関節炎であり、その確定診断のためには、顕微鏡下で関節液中の白血球に貪食された尿酸一ナトリウム結晶を検出することがgolden standardとされています。
近年では、関節超音波検査(Bモード画像)が痛風関節炎の診断において低侵襲・低コストで簡便性に優れるなどの利点を有するとされています。特に関節軟骨の表面の関節滑膜に層状に沈着した尿酸塩結晶は、「double contour sign:DCS」と呼ばれる特徴的な所見を呈するため、他の疾患との鑑別に有用です。
また、痛風治療においては、血清尿酸値を長期にわたって6.0mg/dL以下に維持することが求められるため、患者一人ひとりにとって適した薬剤を選び、適切に血清尿酸値をコントロールする必要があります。関節超音波検査による関節内尿酸塩結晶沈着の可視化は、治療介入が必要な患者への説明や、治療継続の指導の際のツールとしても有用とされ、今後の臨床現場における普及が期待されています。
今回ご紹介した内容が、先生方の痛風診療の一助になりましたら幸いです。

「禁忌を含む使用上の注意」等は添付文書をご参照ください。

ユリス®錠の血清尿酸値低下作用

後期第相試験(用量反応検証試験)

後期第相試験は一部承認外の成績が含まれますが、
用量反応検証試験として実施されたため掲載します。

  • 社内資料:用量反応検証試験・後期第相臨床試験[2020年1月23日承認、CTD 2.7.6.14、CSR FYU-981-006(資料5.3.5.1-2)]〔承認時評価資料〕
  • Hosoya T, et al. Clin Exp Nephrol 2020 ; 24 : S53-61
  • [利益相反] 本研究は株式会社富士薬品の資金により行われた。本論文の著者のうち4名は株式会社富士薬品の社員である。
  • 著者には、本研究に関する株式会社富士薬品のアドバイザーでありコンサルタント料等を受領している者が含まれる。

ドチヌラドは、後期第相試験において、痛風を含む高尿酸血症患者を対象として用量反応性の検証及び安全性が検討されました。

投与終了時の血清尿酸値低下率(主要評価項目;FAS解析対象、LOCF)

ドチヌラド0.5mg群~4mg群において、用量反応性が検証されました。

投与終了時における投与前値からの血清尿酸値低下率(平均値±標準偏差)は、プラセボ群で−2.83±8.19%、ドチヌラド0.5mg群で21.81±11.35%、1mg群で33.77±9.82%、2mg群で42.66±13.16%、4mg群で61.09±8.75%であり、ドチヌラドの用量反応性が検証されました([主解析]p<0.001、Jonckheere-Terpstra検定)。
また、群間比較では、いずれの群間においても有意差が認められました(ドチヌラド1mg群vs. 2mg群:p=0.002、その他の群間:p<0.001、Tukey-Kramer検定)。

投与終了時の血清尿酸値6.0mg/dL以下の達成率
(副次評価項目;FAS解析対象、LOCF)

ドチヌラド0.5mg群~4mg群において、用量反応性が認められました。

投与終了時における血清尿酸値6.0mg/dL以下の達成率は、プラセボ群で0.0%、ドチヌラド0.5mg群で23.1%、1mg群で65.9%、2mg群で74.4%、4mg群で100.0%であり、ドチヌラドの用量反応性が認められました(p<0.001、Cochran-Armitage検定)。

安全性(SP解析対象)注)

痛風関節炎を除く副作用(臨床検査値異常を含む)及び痛風関節炎の副作用は、プラセボ群で15.4%及び0.0%、ドチヌラド0.5mg群で12.5%及び2.5%、1mg群で14.3%及び4.8%、2mg群で15.4%及び7.7%、4mg群で10.0%及び7.5%に認められました。

痛風関節炎を除く副作用(臨床検査値異常を含む)は、プラセボ群で6/39例(15.4%)、ドチヌラド0.5mg 群で5/40 例(12.5%)、1mg 群で6/42 例(14.3%)、2mg 群で6/39例(15.4%)、4mg 群で4/40例(10.0%)に認められました。
そのうち、2例以上に発現した副作用は、プラセボ群で尿中β2ミクログロブリン増加2/39例(5.1%)、ドチヌラド1mg群でβ‒NアセチルDグルコサミニダーゼ増加3/42例(7.1%)、2mg群で尿中β2ミクログロブリン増加、β‒NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、白血球数増加各2/39例(5.1%)、4mg群で尿中β2ミクログロブリン増加、β‒NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、α1ミクログロブリン増加各2/40例(5.0%)でした。
ドチヌラド0.5mg群では、四肢不快感、γ‒グルタミルトランスフェラーゼ増加等が各1/40例(2.5%)に認められました。
死亡例を含む重篤な副作用は認められず、投与中止に至った痛風関節炎を除く副作用は、プラセボ群で尿中β2ミクログロブリン増加が1例に認められました。

一方、痛風関節炎の副作用は、ドチヌラド0.5mg群で1/40例(2.5%)、1mg群で2/42例(4.8%)、2mg群で3/39例(7.7%)及び4mg群で3/40例(7.5%)に認められ、プラセボ群では認められませんでした。
投与中止に至った痛風関節炎の副作用は、ドチヌラド 1mg群で1例に認められました。

  • 注)本薬の薬理効果により血清尿酸値の急激な変動に伴い痛風関節炎が誘発される可能性があることから、痛風関節炎に関しては他の有害事象と別集計とした。

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