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痛風発作の再発防止を目標に
薬物治療をしている痛風患者さん

仕事が忙しいことから生活習慣が乱れやすく、
メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症)
の男性

痛風発作の再発防止を目標に薬物治療をしている患者さん

血清尿酸値が下がったから
大丈夫だろう

痛風歴が長いから
自分で服薬の判断はできる

脱・自己中断のための最初の一手

① 病態はできるだけ具体的に

高尿酸血症は環境要因だけではなく、体質や遺伝的な理由から引き起こされることがあります1)。また、生活習慣病の管理の観点からも、できるだけ詳しく病態を把握することが肝心です。

  • 当施設では、クリアランス検査により病型を把握し、必要に応じて遺伝子検査なども組み合わせます。血清尿酸値上昇は、食生活や飲酒などの環境要因だけで決まるわけではなく、遺伝的要因も関与しうることを説明します2)。
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症、腎機能障害などを確認し、生活習慣病の管理として高尿酸血症を考慮することも重要です。近年では、痛風患者約6万例を対象とした海外での後ろ向きコホート内症例対照研究において、心血管疾患発症例では発症前120日以内の痛風発作との有意な関連が見られ、痛風により惹起された炎症が血管内のプラークの不安定化や破綻に寄与する可能性が示唆されたという報告もあります3)。痛風発作と血清尿酸値の因果関係を説明する際には、血清尿酸値が高いと痛風が起こるのだから尿酸値が下がれば良いなどと単純化して理解されないように、痛風発作が発現する仕組みを丁寧に伝えることが求められます。

② 治療には時間がかかることを“雪”にたとえて

関節内に沈着した尿酸塩結晶を「屋根に積もった雪」に例えると伝わりやすくなります。積もった雪が突然崩れると痛風発作を起こす可能性があるため、ゆっくり雪を溶かす必要があることを説明します。

Shimizu T, et al. Int J Rheum Dis. 2021; 24(3): 297-9.より改変・作図

③ 多職種連携で治療の継続をサポート

治療において、看護師や管理栄養士による生活指導は、薬物治療の有無にかかわらず重要であり、治療継続のためにも大切な役割を果たします。

・看護師

高尿酸血症の合併症、生活改善、内服薬や薬の飲み合わせについて説明・指導を行います。 発作がみられなくなった後は、治療継続の意義を見失いがちなことから、繰り返し説明や指導を行い、治療を続けられる環境づくりをサポートしてもらいます。

・管理栄養士

血清尿酸値や体重のコントロールに応じて、栄養相談を複数回に分けて段階的に行います。
生活習慣を改善する方法を具体的に伝えることで、治療の継続をサポートします。

看護師
痛風の治療と検査の流れ
大山先生ご提供

脱・自己中断のためのモチベーションの維持

関節エコー検査で、伝わりにくい“今の状態”を視覚的に

モチベーション維持の手段としては、関節エコー検査の活用が有用です。関節エコー検査では、関節内に沈着した尿酸塩結晶を可視化することができ、軟骨表面に認められる尿酸塩結晶の沈着を示唆する特徴的な像(double contour sign:DCS)として観察することができるため、高尿酸血症・痛風の治療を継続する意義について理解してもらうための補助に役立ちます。
治療を継続するなかで、そろそろ治療をやめてもよいですかと質問されてくる患者さんには、関節エコー検査で実際に関節内に尿酸塩結晶が沈着している様子を一緒に確認しながら、現状を認識してもらい治療を継続すべきか話し合うと良いでしょう。

患者指導箋も活用

患者指導箋は、血清尿酸値が高い状態では関節内に尿酸塩結晶が残り、測定値を目標値以下に維持することで尿酸塩結晶が次第に溶出していくことを説明する構成になっています。数値だけでは伝わりにくい病態を関節エコー検査などで画像を用いて共有することで、「血清尿酸値が下がった=尿酸塩結晶がなくなった」では必ずしもないことを理解しやすくなり、治療継続の動機づけにつながります。

それでも自己中断されてしまったときの治療再開時の対応

受診や治療を中断してしまった患者さんに対しては、「なぜやめてしまったの」「だめじゃないですか」といった言い方はせず、「これをきっかけにまた始めましょう」といった前向きな姿勢で話すことが大切です。
中断理由は、痛風発作がみられなくなったことによる安心感や服薬・通院の負担など、患者さんによってさまざまです。再開時には、もう一度病態を説明しながら、今も治療が必要な状態であることを共有し、続けやすい通院や指導の形を探っていきましょう。痛風発作の再発防止では、薬の処方を再開すること自体よりも、「なぜ再発防止が必要なのか」の理解を得ることが治療継続につながります。

1)Fujii W et al. J Clin Invest. 2025;135(10):e186633
2)日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版. 診断と治療社, 2018:74-7.
3)Cipolletta E, et al. JAMA 2022;328(5):440-50.

全国の先生方へのメッセージ

大山 博司 先生 両国東口クリニック 理事長

痛風発作を有する高尿酸血症の診療では、発作時の治療だけでなく、血清尿酸値の適切な管理と、長期的な再発防止が治療の目標であることを患者さんにも知っていただく必要があります。海外の最近の研究でも、血清尿酸値の管理目標を設定した継続治療群と、痛み症状を主体とした症状主体型治療群を比較した結果、継続治療群において、18〜24ヵ月における痛風の寛解率が高かったという報告があります1)。

タイプAの痛風患者さんは、痛風発作の再発防止を目標に薬物治療を行っているものの、症状がみられなくなると治療継続の意義を見失って、自己判断による中断につながりやすいタイプです。無症状の時期ほど病態の理解や治療目標の共有が不十分になりやすい点に気をつける必要があります。

重要なのは、「血清尿酸値が下がったら治療は終わり」ではなく、すでに関節内に沈着した尿酸塩結晶を消失させることの意義を説明することです。痛風患者さんの血清尿酸値を管理目標値に維持した場合でも、尿酸塩結晶の消失には3ヵ月から33ヵ月を要したという報告があり2)、無症状であっても治療継続の意義が失われるわけではありません。こうした時間軸を患者さんと共有しておくことが、自己判断による治療の離脱を防ぐ上でも有用と考えられます。

痛風発作 再発予防を目指した治療の3つのポイント

治療の中断を繰り返したり、高尿酸血症の治療管理が十分でないまま長年が経過している症例では、発作が連続して起きるだけでなく、多関節に及んで慢性関節痛を来し、日常生活や就労にも大きな支障を生じるほど重症化することがあります。痛みがある時だけ対症療法的に対応するのではなく、長期的に血清尿酸値を適切に管理していくことが結果的には生命予後にも良い影響を与えうることを、早い段階から患者さんと共有しておきたいところです。
症状の有無だけで判断せず、「今、何のために管理しているのか」を繰り返し丁寧に伝えることが、自己中断を防ぐ第一歩になると考えられます。

1)Moses A, et al. Lancet Rheumatol 2026; 8(5): e336-45.
2)Pascual E, et al. Ann Rheum Dis 2007; 66(8):1056-8.

3) 日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 2022年追補版 診断と治療社 2022 : 4, 28-31
4) 日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会編:「高血圧管理・治療ガイドライン 2025」ライフサイエンス出版、 P142-3、 POINT10e
を参考に作成

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2026年9月作成

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