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  • タイプ
  • B

理想の体型を追求し、
激しい筋トレと食事管理を
行っているが、痛風発作を
繰り返している患者さん

筋力トレーニングや高強度の無酸素運動、サウナ習慣などがある
比較的若年~中年の健康意識がとても高い男性

理想の体型を追求し、激しい筋トレと食事管理を行っているが、痛風発作を繰り返している患者さん

痛みも腫れもなくなったら
大丈夫なのでは?

運動も食事も気を付けているのに
尿酸値が高いのは不思議

脱・自己中断のための最初の一手

① 病態と生活習慣の関係をできるだけ具体的に把握

このタイプの患者さんでは、運動の仕方によっては血清尿酸値が上昇することがあることを知らない場合が多いため、まずは聞き取りで見逃さないことが大切です。また、運動についてはその努力を否定せずに認めた上で、血清尿酸値上昇に関わる要素を一緒に整理していく姿勢も重要です。特に短時間の激しい運動は血清尿酸値が上昇するといわれており1)、運動の種類、頻度、強度、運動後の水分摂取や飲酒、サウナ習慣、そして食事内容なども含めて血清尿酸値に影響しうる背景を確認していく必要があります。

② 運動のつづけ方を一緒に考える

運動習慣がある患者さんに対しては、運動の継続を前提に、血清尿酸値が上がりにくい運動へ変更していくことが重要です。またスポーツ選手やボディビルディングの大会を目指しているような患者さんには、ある程度制限してもよい部分は強度を少し下げるなどの指導をします。

運動について考えてみましょう

③ 多職種連携で、聞き取りと生活改善の実行をサポート

・看護師

患者さんがどのような目的で運動を行っているのかなど、 診察室では把握しきれなかった詳細な情報などを聞き取り、運動強度の見直しを行います。

・管理栄養士

食事量、プリン体摂取量、飲酒量、水分摂取量などを具体的に聞き取って、患者さんにとって負担の少ない改善策を見つけていきます。

看護師

極端な食事・水分・塩分などの摂取や摂取制限をしているケースも想定されます。生活指導では、十分な水分摂取により尿量を確保すること、食事全体のエネルギー量やプリン体摂取量、飲酒量を見直すことを段階的に共有していきます。薬物治療を行っていてもなかなか効果が認められず、実は、高尿酸血症の原因の一つが激しい運動であったという場合もあります。早期に原因を見つけるためにも、多職種連携が有効です。

プリン体

脱・自己中断のためのモチベーションの維持

① 無症状でも、高尿酸血症にはリスクがあるという話を

痛風発作がおさまり、症状がみとめられなくなっても尿酸は蓄積している可能性があり、高尿酸血症が続くと、痛風関節炎、痛風結節、腎障害、尿路結石などのリスクがあることを伝えることが大切です1,2)。また、海外の一般住民を対象とした前向きコホート研究では、血清尿酸値高値が新規腎疾患発症リスクの上昇と関連したことが報告されています3)。さらに、近年では、痛風患者約6万例を対象とした海外での後ろ向きコホート内症例対照研究において、心血管疾患発症例では発症前120日以内の痛風発作との有意な関連が見られ、痛風により惹起された炎症が血管内のプラークの不安定化や破綻に寄与する可能性が示唆されたという報告もあります4)。こうした知見は、患者さんを過度に不安にさせるためではなく、無症状の時期から管理を継続する意義を共有するための情報として伝えることが重要です。

② 関節エコー検査を用いて、実感を

痛風発作がおさまり、無症状となった患者さんでは、血清尿酸値の数値だけで現状を実感してもらうことは難しいでしょう。そのため、関節エコー検査によって“今の状態”を可視化することは、継続支援のうえで有用です。関節エコー検査では、軟骨表面に認められる尿酸塩結晶の沈着を示唆する特徴的な像(double contour sign:DCS)として観察することができるため、高尿酸血症・痛風の治療を継続する意義について理解してもらうための補助に役立ちます。

患者指導箋も活用

患者指導箋は、血清尿酸値が高い状態では関節内に尿酸塩結晶が残り、測定値を目標値以下に維持することで尿酸塩結晶が次第に溶出していくことを説明する構成になっています。数値だけでは伝わりにくい病態を関節エコー検査などで画像を用いて共有することで、「血清尿酸値が下がった=尿酸塩結晶がなくなった」では必ずしもないことを理解しやすくなり、治療継続の動機づけにつながります。

それでも自己中断されてしまったときの再指導時の対応

受診が途切れていた患者さんが、再び来院された際は、まず「来なくなったこと」を責めるのではなく、なぜ受診の必要性を感じなくなったのかを確認することが大切です。タイプBの患者さんでは、「健康には気を付けて運動している」「痛みも腫れも落ち着いている」といった考えが、受診中断の背景にあることがあります。

そのため受診再開時には、単に血清尿酸値の数値を指摘するだけでなく、運動習慣の確認だけに留まらず種類やその強度、発汗や水分摂取の状況、食事内容に加えて飲酒習慣やサプリメント使用などを含めた生活習慣を包括的に整理し、血清尿酸値が上がりやすい要因を一緒に確認していくことが重要です。そのうえで、「今は症状がないこと」と「今後も問題が起こらないこと」は同じではないこと、また、経過を継続してみておくこと自体にも意味があることを共有し、患者さんが自分の状態を理解して客観視できるようサポートしていきます。

患者さん自身によって高尿酸血症・痛風を正しく理解していただくことでその後の受診継続に繋がると考えます。

1)日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版. 診断と治療社, 2018:74-80, 141-4.
2)日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 [2022年追補版]. 診断と治療社, 2022: 28-31.
3)Obermayr RP, et al. J Am Soc Nephrol 2008; 19: 2407-2413.
4)Cipolletta E, et al. JAMA 2022; 328: 440-50.

全国の先生方へのメッセージ

大山 博司 先生 両国東口クリニック 理事長

痛風発作を有する高尿酸血症の診療では、発作時の治療だけでなく、血清尿酸値の適切な管理と、長期的な再発防止が治療の目標であることを患者さんにも知っていただく必要があります。海外の最近の研究でも、血清尿酸値の管理目標を設定した継続治療群と、痛み症状を主体とした症状主体型治療群を比較した結果、継続治療群において、18〜24ヵ月における痛風の寛解率が高かったという報告があります1)。

タイプBの痛風患者さんは、激しい運動などにより血清尿酸値が上昇してしまっており、痛風発作がおさまった後は、「痛みも腫れもなくなったから大丈夫なのでは?」、「運動も食事も気を付けているから大丈夫」と自己判断しやすいタイプです。痛風の再発予防のためにも、無症状の時期ほど病態の理解や治療目標の共有が不十分になりやすい点に気を付ける必要があります。

重要なのは、「血清尿酸値が下がったら治療は終わり」ではなく、すでに関節内に沈着した尿酸塩結晶を消失させることの意義を説明することです。痛風患者さんの血清尿酸値を管理目標値に維持した場合でも、尿酸塩結晶の消失には3ヵ月から33ヵ月を要したという報告があり2)、無症状であっても治療継続の意義が失われるわけではありません。こうした時間軸を患者さんと共有しておくことが、自己判断による治療の離脱を防ぐ上でも有用と考えられます。

痛風発作 再発予防を目指した治療の3つのポイント

治療の中断を繰り返したり、高尿酸血症の治療管理が十分でないまま長年が経過している症例では、発作が連続して起きるだけでなく、多関節に及んで慢性関節痛を来し、日常生活や就労にも大きな支障を生じるほど重症化することがあります。痛みがある時だけ対症療法的に対応するのではなく、長期的に血清尿酸値を適切に管理していくことが結果的には生命予後にも良い影響を与えうることを、早い段階から患者さんと共有しておきたいところです。
症状の有無だけで判断せず、「今、何のために管理しているのか」を繰り返し丁寧に伝えることが、自己中断を防ぐ第一歩になると考えられます。

1)Moses A, et al. Lancet Rheumatol 2026; 8(5): e336-45.
2)Pascual E, et al. Ann Rheum Dis 2007; 66(8):1056-8.

3) 日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 2022年追補版 診断と治療社 2022 : 4, 28-31
4) 日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会編:「高血圧管理・治療ガイドライン 2025」ライフサイエンス出版、 P142-3、 POINT10e
を参考に作成

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2026年9月作成

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