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クリニック訪問記

2024年03月19日公開

vol.3医療法人眠りとこころのYOUクリニック有吉祐睡眠クリニックのタイトル画像

 北九州市小倉北区にある有吉祐睡眠クリニックは、「日本睡眠学会専門医療機関(旧名称:睡眠医療認定医療機関)」に認定された日本では数少ないクリニックです。大学病院レベルの睡眠医療を提供するため、日本睡眠学会の認定を受けた専門医や検査技師が診療や検査に携わっているほか、専任の臨床心理士によるカウンセリングも行っています。また、同クリニックでは、睡眠に関連するメンタルの問題にも積極的に取り組んでいます。今回は、「睡眠に関するご相談であれば、どんなお悩みでもお伺いする」ことを基本ポリシーとする院長・理事長の有吉祐先生に、同クリニックの特徴や地域の睡眠センターとして果たすべき役割と取り組みなどについてお話を伺いました。

施設紹介

■ 医療法人眠りとこころのYOUクリニック 有吉祐睡眠クリニック

福岡県北九州市小倉北区香春口1丁目13-1 メディックス三萩野2F

https://you-sleepclinic.com

有吉 祐 先生
(医療法人眠りとこころのYOUクリニック 有吉祐睡眠クリニック 院長・理事長)

地図の画像

2003年に北九州市初の
「日本睡眠学会専門医療機関」として開業

有吉祐先生の画像

有吉 祐先生
(有吉祐睡眠クリニック 院長・理事長)

 私は佐賀医科大学(現:佐賀大学医学部)を卒業後、久留米大学神経精神科に入局し、そこで「眠り」に興味を持ったことをきっかけに睡眠医療を専門としました。その後、精神科病院で10年間にわたり精神医療について研鑽を積み、2003年に地元である小倉に、北九州市初の「日本睡眠学会専門医療機関」として、有吉祐睡眠クリニックを開業しました。
 開業当初は睡眠を専門としたクリニックだとあまり認識されていなかったので、メンタルクリニックとして精神疾患の診療を中心に行っていましたが、現在ではほとんどの患者さんが睡眠障害を主訴として受診されています。

睡眠障害の患者さんを多く診療
―最近は中高生の患者さんが急増―

有吉祐先生のアイコン画像

 北九州市はもともと「北九州工業地帯」として知られる工業都市で、いわゆるブルーカラーの方が多い地域です。しかも北九州市には産業医科大学があり産業医が多いこともあって、うつ病などで就業が困難になった方が受診するケースが多いと感じています。また、北九州市は精神科病院が充実していることから、当院で重症の精神疾患患者さんを診療することは少なく、主に睡眠障害の患者さんの診療にあたっています。
 睡眠障害の患者さんの中には精神疾患を合併しているケースも多く、特にうつ病患者さんでは不眠症などの睡眠障害がほぼ必発です。また最近は、概日リズム睡眠障害の患者さんに神経発達症(発達障害)が認められることが多い印象です。
 特筆すべきは、ここ十数年で中学生や高校生の概日リズム睡眠障害の患者さんが急増していることです。これは、近年普及してきたスマートフォンやタブレットが発するブルーライトによって概日リズムが乱れているのではないかと考えられます。中学生・高校生の概日リズム睡眠障害患者さんの急増は、日本全国で見られる現象ではないでしょうか。

大学病院レベルの睡眠医療を提供できる「地域の睡眠センター」

有吉祐先生のアイコン画像
検査室の画像

検査室。完全個室の落ち着いた雰囲気で快適に検査を
受けられる。

 当院の最大のコンセプトは、「地域の睡眠センター」の役割を果たすことと考えています。それはすなわち、大学病院レベルの睡眠医療を提供することです。当院は、日本睡眠学会専門医療機関のうち「睡眠障害全般の医療」を行うA型であり、ナルコレプシーやレム睡眠行動障害のような特殊な睡眠障害の診断もできる検査技術・設備を有しています。検査のためのベッドが3台あり、そこで終夜睡眠ポリグラフ(polysomnography:PSG)検査や反復睡眠潜時検査(multiple sleep latency test:MSLT)、覚醒維持検査(maintenance of wakefulness test:MWT)を行っています。このほか、カウンセリングルームが多いことも当院の特徴として挙げられます。

施設内の画像

施設内は間接照明で暗めに。そこには有吉祐先生の
メッセージが込められている。

 当院は施設内の照明を暗めにしています。これは良質な睡眠をとるためには光の調整が重要であり、「寝る前は副交感神経優位な状態をつくるために、間接照明で落ち着いた雰囲気にしてください」という私からのメッセージが込められています。

「コンビニ」の要素と「専門店」の要素を併せ持つクリニックとして

有吉祐先生のアイコン画像
施設入り口の画像

有吉祐睡眠クリニックの入口。「睡眠クリニック」は
患者さんにとっても受診しやすい。

 当院を受診された患者さんからは、「メンタルクリニックは少し抵抗感があるけれど、睡眠クリニックなら受診しやすい」といったお声をいただくことがあります。このような受診のしやすさは、睡眠障害や精神疾患を早期診断・治療するためには、重要なポイントだと考えています。
 私は開院当初より、クリニックには、精神症状でお困りの新規の患者さんをなるべくお待たせしない「コンビニ」的な要素が必要だと考えています。現実的には難しいことも多いのですが、それでも新規の患者さんを極力待たせないための努力を今でもしています。しかし、一方で睡眠検査はそういうわけにはいきません。当院はいわば睡眠医療の「専門店」ですので、睡眠検査については、患者さんにお待ちいただいてでもしっかり行うことをモットーにしています。

臨床検査技師や臨床心理士などの専門スタッフが多数在籍

有吉祐先生のアイコン画像

 現在、睡眠総合専門医/睡眠指導医である院長の私と神経発達症治療を得意とする副院長の医師2名体制で診療しています。その他、看護師、事務スタッフ(社会福祉士の有資格者を含む)、臨床検査技師、臨床心理士といった総勢23名(2023年9月現在)の医療スタッフが在籍しており、多職種によるチーム医療を行っています。チーム医療は、私一人ではとても抱えきれない患者さんにも対応できたり、私の至らないところを補ってくれたりするので、患者さんにより適切な医療を提供することができ、とてもやりがいを感じます。
 なかでも、臨床検査技師が4名、臨床心理士が6名(常勤2名、非常勤4名)在籍していることは当院の大きな特徴だと思います(2023年9月現在)。臨床検査技師はPSG検査の実施・解析を行うとともに、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)を行う数多くの患者さんのデータや経過を管理しています。臨床心理士は心理検査[神経発達症の患者さんに対するWAIS(ウェクスラー式知能検査)など]やカウンセリングを行っています。
 医療スタッフ間での情報共有には、主に電子カルテのチャット機能を活用しています。加えて、毎朝各職種の代表者によるミーティングを行ったり、月に1回はスタッフ全員が集まるミーティングを行ったりと、さまざまな方法でスタッフ間の情報共有と相互理解に取り組んでいます。

地域の睡眠医療を担うクリニックとして、
一般市民への啓発や高校との連携も推進

有吉祐先生のアイコン画像
市民公開講座の画像

北九州下関睡眠呼吸障害研究会主催
による市民公開講座の案内。

 北九州市には多くのメンタルクリニックがありますが、クリニックごとの役割分担ができています。その中での当院の役割は、睡眠障害の患者さんと、睡眠障害を合併している精神疾患の患者さんの治療だと考えています。
 そこで地域の睡眠医療を担うクリニックとして、近隣の日本睡眠学会専門医療機関である霧ケ丘つだ病院の先生と立ち上げた「北九州下関睡眠呼吸障害研究会」で市民公開講座を開催したり、地域からの講演依頼を積極的にお受けしたりして、一般市民への啓発活動を行っています。また、地域の高校へ睡眠に関する授業をしに行ったり、校医を務めたりと、学校との連携にも取り組んでいます。

高齢の不眠症患者さんは、
「早く寝ないこと」「縦の生活」が指導のポイント

有吉祐先生のアイコン画像

 私が不眠症の患者さんにいつもお願いしているのは、「早く寝ないこと」です。特に高齢患者さんでは、生活リズムが前倒しになって入床時刻が早過ぎることが多いので、「早く寝ようとはせず、夜10時過ぎまでは寝室に入らないでください」と伝えています。
 また、高齢の方では、昼間についつい横になって眠ってしまう結果、夜に眠れなくなってしまうこともあります。そこでこうした患者さんには、日中に横にならない生活、すなわち「縦の生活」を送ることを勧めています。そうお話しすると、足の悪い患者さんから「座るのも大変だから、横になりたい」と言われることもありますが、そのようなときは座り心地のよい椅子を用意していただき、椅子に座って「縦の生活」を送っていただくように指導しています。
 また、中学生や高校生の概日リズム睡眠障害の患者さんには、スマートフォンを寝室に持ち込まないように指導しています。親がスマートフォンについて注意しても聞く耳を持たないにもかかわらず、我々が注意すると聞き入れてくれるケースも多いようです。そのようなときには「よく守れたね」と十分に褒めることで、その後の治療をスムーズに行えるようになると思います。

医療スタッフの知識のアップデートも積極的に

有吉祐先生のアイコン画像

 医療スタッフは、知識のアップデートに積極的に取り組んでいます。睡眠に関する総合的な学会である日本睡眠学会はもとより、職種ごとに存在する学会の学術集会などに参加し、新しい知識のシャワーを浴びています。また、私がそうした場で演者や座長を務めさせていただくことがあるので、その際は医療スタッフも参加します。このほか、臨床心理士が集まって心理ミーティングを定期的に実施するなどして、勉強の場を設けています。

診断は検査結果に基づき、
治療は専門医と臨床心理士が両輪になって行う

有吉祐先生のアイコン画像

 精神疾患の診療において、当院で特徴的ではないかと考えている点が2つあります。
1つは、診断を各種検査結果に基づいて行っていることです。これは神経発達症でも睡眠時無呼吸症候群やレム睡眠行動障害などの睡眠障害でも同様です。隠れた疾患を見逃さないために、私が昔から重視している点です。
 もう1つは、専門医による診療だけでなく臨床心理士によるカウンセリングを積極的に行っていることです。特にうつ病で休職している患者さんの治療は、専門医と臨床心理士が両輪となって取り組んでいます。その際、私は臨床心理士のスタッフに「患者さんが困っている現在の状況を打開するための『作戦会議』のようなカウンセリングをしていただきたい」とお願いしています。カウンセリングの基本は患者さんの悩みを傾聴することですが、患者さんの中には「聞いてもらいたい悩みはない」という方もいらっしゃいます。傾聴ももちろん大事なのですが、現状の打開策について患者さんと話し合う場を提供したいのです。

今後

展望

地域の睡眠センターとしての発展と、
新たな治療法への取り組み

 地域の睡眠センターとしての役割を果たしながら、副院長の専門である神経発達症の治療にもより注力していきたいと考えています。また、不眠症に対する認知行動療法やウェアラブルデバイスを用いた治療など、新しい治療法にも大変興味があるので、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

有吉祐先生の画像

2024年3月作成

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