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クリニック訪問記

2023年12月19日公開

vol.01医療法人しもでメンタルクリニックのタイトル画像

 札幌市にあるしもでメンタルクリニックは、本院(中の島本院)と、そこから車で4分ほど離れた分院(平岸分院)の2クリニック体制で精神科診療に取り組んでいます。中の島本院は外来診療とデイケアを組み合わせた多機能型メンタルクリニックとして、また平岸分院は児童精神科も標榜するメンタルクリニックとして、お互いの強みを活かしながら幅広い年代の患者さんの心の悩みに対応しています。そこで、しもでメンタルクリニック理事長・中の島本院院長の下出道弘先生と、副理事長・平岸分院院長の下出崇輝先生のお二人に、しもでメンタルクリニックの特徴や取り組みなどについてお話を伺いました。

施設紹介

■ 中の島本院

北海道札幌市豊平区中の島2条1丁目3−25 カムオンビル

■ 平岸分院

北海道札幌市豊平区平岸1条12丁目1−30 メディカルスクエア南平岸 2階

https://www.shimode.com/

下出 道弘 先生(医療法人 しもでメンタルクリニック 理事長、中の島本院 院長)
下出 崇輝 先生(医療法人 しもでメンタルクリニック 副理事長、平岸分院 院長)

地図の画像

外来診療とデイケアを組み合わせ、一貫した治療を目指し開院

下出道弘先生の画像

下出道弘先生
(理事長、中の島本院 院長)

下出道弘先生:
 私が開院した2001年当時は、精神疾患の主たる診療の場が入院から外来へと移行する時期でした。私はそれまで精神科病院に勤務しており、デイケアを担当・運営していたので、「外来診療とデイケアを組み合わせれば、クリニックで一貫した治療が可能になるのでは」と考えました。そこで開院にあたっては、クリニックの半分のスペースを外来診療に、残りの半分のスペースを小規模デイケア施設にしました。その後、現在の地にビルを新築して移転した際には、デイケアに十分なスペースが取れるよう、1階に外来診療のスペースと調剤薬局を設け、2階に約100坪のデイケアルームを設置しました。このようにして中の島本院では、一般精神科の初期治療からデイケア・就労支援施設を通じての慢性期治療まで、一貫した治療体制をとることができています。

児童思春期の患者さんのケア充実に向け2クリニック体制に

下出道弘先生のアイコン画像

下出道弘先生:
 こうした経緯を経て、精神疾患を一貫して治療する体制を構築できたのですが、日々の診療の中で、児童思春期の患者さんのケアがまだ十分ではないと感じていました。そのようなとき、精神科専門医であるとともに、日本児童青年精神医学会認定医・子どものこころ専門医である現在の副理事長が地元に戻ってくることになりました。そこで「札幌市子ども発達支援総合センター」にも近い平岸地区に、副理事長が院長として診療にあたる分院を開設しました。現在、分院では小児(原則6歳以上)やその保護者を含む成人の患者さんを診療しています。こうして、本院と分院の2クリニック体制で、小児から高齢者までの幅広い年代の心の悩みに応える体制を整えることができました。

下出崇輝先生のアイコン画像

下出崇輝先生
(副理事長、平岸分院 院長)

下出崇輝先生:
 本院と分院の緊密な関係を利用して、分院から本院へのデイケア通所、就労訓練、本院から分院へのお子さんの受け入れなど、相互に連携しながら診療に取り組んでいます。

児童精神科医療の地域連携―札幌市全体の児童精神科医療に参加―

下出崇輝先生のアイコン画像

下出崇輝先生:
 平岸分院は児童精神科を標榜していることもあり、北海道のさまざまな地域から、小児の患者さんのご家族がインターネットで調べて受診されます。加えて平岸分院は、札幌市が行っている「さっぽろ子どものこころのコンシェルジュ事業」にも参加しており、この事業を通じて受診される患者さんもいらっしゃいます。この事業は「さっぽろ子どもの心の診療ネットワーク事業」の一つで、札幌市10区それぞれの主幹となる医療機関が、小児の患者さんの状態に合った適切な医療機関を案内(コンシェルジュ)するというものです。
 もちろん、札幌市内の児童精神科の先生方とは連絡を密に取らせていただいていますし、児童相談所や家庭児童相談室等の行政、学校との情報交換も頻繁に行っています。平岸分院では、幼稚園や保育園の年長さんに相当する6歳以上の小児から診療しています。心の悩みを抱える小児は身体疾患も合併していることが少なくありませんので、近隣の小児科の医療機関との連携も行っています。

院内環境への配慮と社会復帰を目指したデイケア・就労支援
―癒しの要素も取り入れて―

下出道弘先生のアイコン画像

下出道弘先生:

患者さん同士が視線を合わせずにすむ待合室の画像

患者さん同士が視線を合わせずにすむ待合室

 しもでメンタルクリニックでは、バリアフリー化や感染症対策はもちろん、患者さんが安心して受診できる環境づくりに取り組んでいます。例えば中の島本院は大通りに面していますが、道路からクリニック入口までのエントランス部分を長くし、プライバシーに配慮しています。また待合室には、患者さん同士が視線を合わせなくてよいようデザインされた椅子を配置しており、落ち着いて診察をお待ちいただけます。この椅子は副理事長が考案したオリジナルのものです。

患者さん同士が視線を合わせずにすむ待合室の画像

コンサートや発表会も行っているデイケアルーム
「カムオンHALL」

 中の島本院の特徴であるデイケアでは、ウォーキング、社会生活技能訓練(SST)のほか、音楽療法、アロマテラピー、手工芸など、癒しの要素も取り入れています。デイケアルームは「カムオンHALL」と名付け、グランドピアノを設置して音楽療法に活用するほか、一般にも開放し、地元の交響楽団メンバーによるコンサートや若手音楽家による発表会なども行っています。東日本大震災の際にはチャリティーコンサートを行い、復興の一助としました。こうした地域との文化交流が、一般の方々に対する精神科医療の普及啓発につながることを期待しています。

 本院のすぐそばには、指定就労継続支援B型事業所として、カフェ「パティスリー楽」を開設しています。この施設では、パンやケーキの製造・調理、接客販売を通じて、患者さんの社会復帰の支援にも取り組んでいます。

落ち着いた待合室と、広い空間でプレイエリアのある診察室

下出崇輝先生のアイコン画像

下出崇輝先生:

1世紀前の古材を利用したカウンターテーブルで、ぬくもりのある待合室の画像

1世紀前の古材を利用したカウンターテーブルで、
ぬくもりのある待合室

 平岸分院では児童思春期の患者さんが多いことから、特にお子さんが安心して受診できる環境になるよう整備・配慮しました。例えば待合室には中の島本院と同じ椅子を設置したほか、1世紀前の古材を利用したカウンターテーブルを設けるなど、木のぬくもりが感じられる落ち着いた空間づくりを心掛けました。

診察室内のプレイエリアの画像

診察室内のプレイエリア

 診察室は、患者さんが落ち着けるようにゆとりを持たせた広い空間にしました。これは、就学している小児の患者さんを治療するためには学校の教職員との面談が必要不可欠であり、複数名でカンファレンスを行えるようにするためでもあります。また、診察室内にプレイエリアを設けたことも特徴です。プレイエリアには二つの目的があります。一つは、小児の患者さんを診察する際には、普段の生活の中でのお子さんの遊び方や保護者との関わり(アタッチメント)の観察が重要なので、プレイエリアをそのような観察の場とすることです。もう一つは、小児の患者さんの保護者(ご両親や祖父母)が心の悩みを抱えていることがあるので、そのような保護者を診察する際にお子さんが安心して待つことができる場とすることです。

事務職も含めた実践的なスタッフ教育

下出道弘先生のアイコン画像

下出道弘先生:
 しもでメンタルクリニックには、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士、音楽療法士、受付・事務職員など、さまざまな職種のスタッフが在籍しています。スタッフは中の島本院と平岸分院の両方に勤務できるので、例えば中の島本院のスタッフが長期休暇を取ったり資格取得のため職場を離れたりする際には、平岸分院のスタッフがサポートに入るといったことが可能です。このことはスタッフの福利厚生につながっていると考えます。
 中の島本院のスタッフ教育は、看護師長によるOJTが中心となっています。加えて、例えば私が診療記録を確認して気づいたときは、スタッフに直接「私には患者さんからこのような訴えがありましたが、その点を確かめましたか?」「次回の受診について話しましたか?」などと尋ねるようにしています。こうした日常的なコミュニケーションが実践的なトレーニングになり、スタッフ全体のスキル向上に寄与できているのではないかと考えています。

下出崇輝先生のアイコン画像

下出崇輝先生:
 平岸分院も、スタッフ同士が密にコミュニケーションを取り合いながらスキルアップしていく体制ができています。またポイントとして、事務職員にも疾患に関する知識をしっかり持ってもらうことが挙げられます。事務職員は電話や受付で最初に患者さんに接する重要なスタッフですので、受付業務の中で気づいたことをスタッフ全員に共有してもらうと、その後の対応がスムーズになることがあります。

さまざまな手法による精神疾患治療
―児童精神科では丁寧な聴取が重要―

下出道弘先生のアイコン画像

下出道弘先生:
 精神疾患の治療にあたっては、精神療法や薬物療法、デイケア、カウンセリングなどさまざまな手法を取り入れています。近年は深夜までスマートフォンを見ている方が多いのか、概日リズムが崩れて睡眠障害を訴える患者さんが増えている印象があります。そのような場合は、朝はしっかり起きて朝日を浴びる、昼は身体を動かす、夜は決まった時間に就寝する、といった睡眠衛生指導を行っています(私はこれを「睡眠サイクル指導」と呼んでいます)。睡眠薬は、睡眠衛生指導だけでは改善が不十分な場合に、少量を処方しています。

下出崇輝先生のアイコン画像

下出崇輝先生:
 児童精神科での診療は、患者さんが何に困っているかをしっかり丁寧に聴取することからすべてが始まります。それにより、支援や治療の道筋が見えてきます。治療を始める際には、たとえ患者さんがまだ小児であったとしても、必ず本人に説明して同意を得るようにしています。そのために、小児でも疾患や治療について理解できるよう、資料を見せながら、理解力に合わせた説明をするよう心掛けています。
 また児童精神科では、患者さん本人への治療だけでなく、家族や学校との環境調整など対応すべき点が非常に多岐にわたりますので、しっかり話し合い・整理をしながら治療に取り組んでいく必要があります。

今後

展望

親しみやすい精神科医療を、
地域とともに

下出道弘先生の画像

下出道弘先生:
 精神疾患の早期発見・早期治療が今以上に進むよう、精神科医療の敷居を低くし、患者さんが気軽に訪れて相談できるようにしたいと考えています。今よりも親しみやすい精神科医療の実現に貢献できるよう、私なりに取り組んでいきたいと思います。

下出崇輝先生:
 中の島本院と連携して、幅広い年齢層の方々を継続的に支援していけるクリニックを目指していきたいと考えています。そのためには、診療のクオリティをより高めるとともに、近隣の児童精神科の先生方のご指導もいただきながら、地域連携をしっかり進めていきたいと思います。

下出崇輝先生の画像

2023年12月作成

17445-1 79 GT