持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

ご利用の注意

・このサイトに掲載している情報は、弊社医療用医薬品を適正にご使用いただくためのものであり、広告を目的とするものではありません。

・日本国内の医療関係者(医師、薬剤師等)を対象としております。
 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

・このサイトで提供している以外の弊社医療用医薬品の情報をお求めの方は、弊社MR、またはくすり相談窓口までお問い合わせください。

会員限定コンテンツのご利用について

会員の方

会員限定コンテンツのご利用には
medパスIDが必要となります。

会員登録されていない方

対象の職種をお選びください。
会員限定コンテンツ以外を
ご利用いただけます。

会員限定コンテンツのご利用には
medパスIDが必要となります。

新規会員登録はこちら

※外部サイトへ移動します
medパスのご紹介はこちら

医療関係者ではない方(コーポレートサイトへ

持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

ご利用の注意

・このサイトに掲載している情報は、弊社医療用医薬品を適正にご使用いただくためのものであり、広告を目的とするものではありません。

・日本国内の医療関係者(医師、薬剤師等)を対象としております。
 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

・このサイトで提供している以外の弊社医療用医薬品の情報をお求めの方は、弊社MR、またはくすり相談窓口までお問い合わせください。

対象の職種をお選びください。

医療関係者ではない方(コーポレートサイトへ

このコンテンツは役に立ちましたでしょうか?

ご回答いただき
ありがとうございます

引き続き、持田製薬医療関係者向け
サイトをご利用ください

クリニック訪問記

2025年06月10日公開

vol.6あかりクリニックのタイトル画像

 岡山県岡山市にあるHIKARI CLINICは、リワークプログラムや成人の神経発達症患者さんの支援のほか、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)、バーチャルリアリティ(VR)を活用したカウンセリングなど、多様な手法による精神疾患治療を実践しています。クリニックのデザインやスタッフの患者さんへの接遇、チーム体制など、細部にまでこだわりをもって取り組んでいる同クリニック院長の遠迫憲英先生に、クリニックの特徴や精神疾患の治療に対する考え方、多様な治療方法の実践、スタッフ教育などについてお話を伺いました。

施設紹介

■ 医療法人啓光会 HIKARI CLINIC

岡山県岡山市北区下石井2丁目1-18
OGW岡山下石井ビル2F

https://hikariclinic.jp/

遠迫 憲英 先生
(医療法人啓光会 HIKARI CLINIC 院長)

地図の画像

自身が目指す精神科医療を実践するために開業

遠迫憲英先生の画像

遠迫 憲英 先生
(HIKARI CLINIC 院長)

 私は父が医師だったため、幼い頃からいずれは医業を継ぐだろうと漠然と考えていました。本格的に医師になることを考え始めた高校生の頃、私は音楽や宇宙、哲学、サブカルチャーなど「精神」に比較的近い領域に強い関心を持っていたことから、医師になるなら「精神」という内宇宙を探求したいと考え、精神科医になることを目指しました。
 川崎医科大学精神科学教室に入局して精神療法を専門に学んだ後は、岡山県の精神科単科病院である河田病院に勤務して研鑽を積みました。河田病院では力動的精神療法やチーム医療について学ぶ傍ら、急性期治療病棟を立ち上げるプロジェクトに参加し、入院期間の短縮に努めました。河田病院では重症の患者さんを診療する機会が多く、人の心の奥深い部分に触れるという貴重な経験をすることができました。そして2009年、自分が目指す精神科医療を実践したいと考え、地元である岡山県岡山市にHIKARI CLINICを開業しました。

ホームページは医師と患者さんの
良好な関係構築のためにも重要

遠迫憲英先生のアイコン画像
HIKARI CLINICホームページの画像

HIKARI CLINICホームページ。
検索結果の上位に表示されるよう、SEO対策も行っている。

 当院を受診される患者さんの多くは、ホームページを閲覧したことをきっかけに来院されます。そのため、患者さんは20~50代といったデジタルに親和性の高い世代が多く、また比較的女性が多く受診されます。岡山県内の方が大半ですが、中には広島県や兵庫県、四国地方から瀬戸内海を渡って受診される患者さんもいらっしゃいます。
 ホームページを制作することのメリットは、患者さんが事前に当院の特徴を知ることができる点だと思います。当院の治療方針や医師のパーソナリティ、設備などに関する情報を掲載しているので、閲覧した患者さんは「ここは自分に合っていそうだ」「治療方針に共感できる」など、あらかじめクリニックや医師との相性を判断することができます。患者さんにとってもクリニックにとっても、ミスマッチな状態で診療を行うのはよい結果につながりづらいので、ホームページによる情報発信は重要ではないかと考えています。そのためホームページにはSEO(Search Engine Optimization)対策を行い、患者さんがキーワード検索したときに検索上位に当院のホームページが表示されて見つけやすいようにしています。

「治療的な空間」をコンセプトとしたデザイン
~伊勢神宮になぞらえた「内宮」と「外宮」~

遠迫憲英先生のアイコン画像

 河田病院勤務時に急性期治療病棟を立ち上げるプロジェクトに携わったとき、患者さんにとって「治療的な空間」、つまりそこに居るだけで落ち着ける空間、あるいは来院すると調子がよくなったり励まされたりするような空間とはどのようなものか、熱心に調べたり勉強したりしました。そういった背景から、開業にあたっては「治療的な空間」をクリニックのデザインのコンセプトに掲げました。そしてホテル「ザ・ペニンシュラ東京」等のデザインで著名な故・橋本夕紀夫氏の協力を得て作り上げたのが、当院の2つの治療空間である「内宮」と「外宮」です。
 朝日が昇る東側に位置する内宮は、丸みを帯びたデザインで、女性的・子宮的で優しく包み込んでくれるような空間にしています。一方で西側に位置する外宮は、直線的で男性的なデザインで、より社会に近いイメージの空間にしています。これらはいずれも伊勢神宮になぞらえており、神様にお祈りをする「内宮」で患者さんの診療などを、商売繁盛といった現世的な願い事をする「外宮」でリワークプログラムなどを行っています。

外宮の画像

内宮。曲線的なデザインで
患者さんがゆったりと診察を待つことができる。

外宮の画像

外宮。直線的で患者さんが
社会とつながることをイメージしたデザイン。

ミーティングや勉強会を通じ、
クリニック全体の状況を全員で共有

遠迫憲英先生のアイコン画像

 当院は、医師3名、看護師1名、臨床心理士/公認心理師2名、ソーシャルワーカー1名、事務長1名、事務職員4名で運営しています(2024年10月時点)。
 3名の医師がそれぞれ1日3名の新患患者さんを診察することを原則としており、初診の患者さんであっても比較的早めに予約をとることができるようにしています。
 また、ソーシャルワーカーが在籍していることが当院の大きな特徴です。これは、患者さんがしっかりと回復するためには、治療的な介入だけでなく、家族の調整や行政との連携、ときには訪問看護やヘルパーの利用手続きなどが必要になるからです。ソーシャルワーカーはそうした役割を一手に引き受けてくれる、欠かすことのできない存在です。当院のソーシャルワーカーは、就労移行支援事業所や岡山県精神科医療センターと日頃から積極的に連携をとっているので、しっかりとした協力体制を構築することができています。

スタッフ全員で取り組む
「医療接遇」と「知識習得・情報共有」

遠迫憲英先生のアイコン画像

 スタッフ全員で取り組んでいることの一つが「医療接遇」です。クリニックにはサービス業の側面もあると考え、日頃から患者さんに寄り添った対応をとるよう意識しています。これは、とりもなおさず「自分が行きたいと思うクリニック」「行ってよかったと思えるクリニック」を目指した結果の取り組みです。
 もう一つは精神医学に関する知識の習得と情報共有です。これは、事務職員も含めた全職種のスタッフが、チーム医療の中でそれぞれの役割を果たすうえで必要不可欠だからです。具体的には、毎朝全職員によるミーティングを10~15分間行い、週に1回は勉強会を30分程度行います。勉強会は、その時々の関心事に関する書籍を読んでディスカッションする、抄読会のような形式で行うことが多いです。また、懸念や疑問を持っているスタッフにはそのことを積極的に発言してもらって皆でそれについて考える、グループワークのような形式で行うこともあります。

「リワークプログラム」で
患者さんの復職の後押しと診療スキル向上

遠迫憲英先生のアイコン画像

 うつ病の治療において「休養」は重要な選択肢の一つですが、一方で休職したあとに休養ばかりしていては、症状が回復しても復職できずに失職するケースや、復職してもすぐにうつ病が再燃するケースが少なくありません。そうした問題を感じていたときにリワークプログラムに出会い、取り入れることにしました。
 リワークプログラムにおいては、まずはしっかりと休養しますが、ある程度改善したら少しずつ活動性を高め、生活リズムを規則正しくしたり人に会う練習をしたりといった、職場に戻るために必要なトレーニングを行います。また、リワークプログラムは「これができるようになったから、次はこれをやってみましょう」という風に目標を設定しながら改善を促していくので、患者さん自身が改善していくことを実感できますし、我々もその様子を見届けることができ、ひいてはうつ病診療のスキル向上にもつながります。このようにリワークプログラムは、なかなか復職できない患者さんを後押しする手法として大きな意義があると考えています。
 ただ、リワークプログラムを行っても改善せず、社会復帰できない患者さんも少なくありません。そういう患者さんは神経発達症の可能性があります。そこで当院では、成人の神経発達症患者さんに対する取り組みとして、対人関係やコミュニケーションなどのライフスキルを身につけ、生きづらさの軽減や就労継続を支援するサポートプログラム、HAG(Hikari Autism support Group)を週に1回実施しています。HAGでは、全10回のプログラムの中で患者さんが疾患に対する理解を深め、自分自身の行動を振り返り、仲間を作り、より自分らしい生き方を見つけることを目指します。

精神疾患に対して様々な方法で取り組む

遠迫憲英先生のアイコン画像

 精神疾患の薬物療法においては、患者さんにとって必要かつ適した薬剤をしっかり使うことを心がけています。薬物治療の効果が速やかに得られた場合や、患者さんから副作用に関する訴えがない場合は、その患者さんに適した薬剤と判断します。一方で、患者さんが副作用で困っているようであれば、その患者さんには適していない薬剤と判断して別の薬剤への変更を検討します。ただし、その場合でも効果が得られているようであれば、効果と安全性のバランスを鑑みながら、1ヵ月程度は継続して様子をみるようにしています。また薬物療法について私が大事にしているのは、「自分や家族が病気にかかったとき、その薬剤で治療をしたいか」という視点です。これにより、医師としての立場だけでなく、患者さんの立場で薬剤の長所・短所を考えることができるようになるので、とても大切なことだと思います。
 非薬物療法に関しては、患者さんの心理的・社会的問題に対応するためのカウンセリングを重視しています。また最近ではrTMSによる治療を自由診療で行っており、薬物療法に抵抗感のあるうつ病患者さんや薬剤では効果不十分な難治性のうつ病患者さんの治療に用いています。
 こうした従来の治療のほか、当院では様々な取り組みを行っています。その一つが、フローティング・タンク「COCOON」です。フローティング・タンクは人体と同じ温度の塩水に満たされており、その中に入って塩水に浮かんでもらうと、肌の感覚がなくなります。さらにタンクのハッチを閉じると音も光も遮断されるので、五感がない状態に近くなって深いリラクゼーションを得ることができます。もう一つが、VRを活用したカウンセリング「HIKALY」です。遠方の患者さんや来院が難しい患者さんにもカウンセリングの機会を提供することができるだけでなく、VRによる奥行きのある空間でのカウンセリングは、様々な可能性を秘めていると考えています。もちろん通常のビデオチャットを用いたオンラインでのカウンセリングも可能です。

今後

展望

スピリチュアルな観点を併せ持ち、
精神疾患の治療に貢献したい

 私はこれまで、その時々に生じた課題を克服するための取り組みや、純粋に興味のあることに取り組んできました。その結果がrTMSやVRカウンセリング、COCOON、HIKALYなどを導入した今の当院の姿です。
 現在の医療は科学技術がベースになっていますが、人間の心の中にあるスピリチュアルな部分を無視しては、人や疾患の本当の姿を捉えられないのではないかと思います。そこで今後は、スピリチュアルな観点も併せ持った形で、精神疾患の治療に貢献できないかと考えています。マイナーな考え方かもしれませんが、精神疾患に対するアプローチの一つとして認識してもらえるようなきっかけを作ることができたら、と思います。

遠迫憲英先生の画像

2025年6月作成

17810-1 28 GT