- 医療関係者向けホーム
- 医療関連情報
- 内視鏡クイズ
- スコア編
- 自治医科大学編 Q2


スコア編
IBDの内視鏡的活動性スコアを評価してみよう
自治医科大学編
クローン病初発患者さんのSES-CDスコアは?
難易度:★★☆
【監修】
自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門 教授 矢野 智則 先生
【出題・写真提供】
自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門 助教 大和田 潤 先生
22歳 男性 クローン病、小腸大腸型
- 幼少期の頃から、お腹の調子が悪いことが時折あり、下痢になりやすかった。
- 半年前から腹痛と下痢を繰り返すようになり、2週間前くらいから近医で処方された内服薬を服用するも、症状は治まらなかった。
- 最近では症状が頻回となり、時折便に血も混ざるようになったとのことで、内視鏡像を撮ることとなった。内視鏡像によると、回腸に狭窄がみられ通過不能であった。
- 罹病期間
- :初発
- 合併症
- :なし
- 家族歴
- :特記事項なし
- 治療歴
- :整腸剤
- 併用薬
- :抗菌薬、NSAIDsの服用はなし
- 排便回数
- :1日5回以上
- 顕血便
- :時折、血便を認める
- 体温
- :37.5℃
- 脈拍数
- :90/分
- 血液検査
- :WBC 5,500/μL Hb 11.6g/dL CRP 4.74mg/dL 赤沈 38mm/h Alb 3.4g/dL
● 5部位(回腸、右結腸、横行結腸、左結腸、直腸)における内視鏡像、および潰瘍・病変範囲

症例情報や内視鏡像(上図)を参考に、
この方のSES-CDスコアを考えてみてください
回腸 | 右結腸 | 横行結腸 | 左結腸 | 直腸 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
潰瘍の大きさ(0~3点) [Size of ulcers] |
3 | 3 | 3 | |||
潰瘍面積(0~3点) [Ulcerated surface] |
1 | 2 | 2 | 1 | ||
病変面積(0~3点) [Affected surface] |
1 | 2 | 2 | 1 | ||
狭窄の有無(0~3点) [Presence of narrowings] |
0 | 0 | 0 | 0 |
参考
SES-CD(Simple endoscopic score for Crohn’s disease)の算出方法1)
小腸-大腸をあらかじめ5つの部位に定義し、それぞれの部位について内視鏡評価を実施する。
回腸 | 回腸部は観察可能な範囲までをスコア化する。回腸スコアには回盲弁あるいは回腸結腸吻合部を含まない。 |
---|---|
右結腸 | 右結腸部には回盲弁、盲腸、肝彎曲までの上行結腸が含まれる; 回盲部に限局したクローン病の場合、この部位においてスコア化する。 |
横行結腸 | 横行結腸部は肝彎曲と脾彎曲の間の部位と定義される。 |
左結腸 | 左側結腸部には下行結腸(脾彎曲~)と直腸S状結腸接合部までのS状結腸までが含まれる。 |
直腸 | 直腸部は直腸S状結腸接合部から末端部までと定義される。 |
上記の5部位ごとに、下記4つの評価項目をそれぞれ0~3点の4段階でスコア化する。
評価項目2) | SES-CD各スコア:0〜3点 | |||
---|---|---|---|---|
0点 | 1点 | 2点 | 3点 | |
潰瘍の大きさ(0〜3点) [Size of ulcers] |
なし | アフタ様潰瘍 (Φ0.1~0.5cm) |
潰瘍 (Φ0.5~2cm) |
大潰瘍 (Φ>2cm) |
潰瘍面積(0〜3点) [Ulcerated surface] |
なし | <10% | 10〜30% | >30% |
病変面積(0〜3点) [Affected surface] |
なし | <50% | 50〜75% | >75% |
狭窄の有無(0〜3点) [Presence of narrowings] |
なし | 1箇所、通過可能 | 多発、通過可能 | 通過不能 |
Φ:直径
1) 厚生労働省研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)
『第二版 炎症性腸疾患の疾患活動性評価指標集』 令和2年3月 p29
2) Daperno, M. et al.:Gastrointest. Endosc. 2004;60(4):505-512