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心電図クイズ

東京大学 編

息切れを訴えた80歳女性

難易度

出題:
  • 東京大学医学部附属病院 循環器内科 特任臨床医 
    磯谷 善隆 先生
症 例
80歳,女性
主 訴
息切れ
現病歴
78歳時より左室肥大を指摘されていたが,無症状であったため治療介入せず経過観察となっていた。労作時の息切れが増悪し,前医を受診。心不全の精査加療目的に当院紹介受診となった。来院時の12誘導心電図を図1に示す。
既往歴
乳がん,脂質異常症,血尿
家族歴
特記事項なし
主な内服薬
エナラプリル5mg/日,フロセミド20mg/日,スピロノラクトン25mg/日,カルベジロール20mg/日,エソメプラゾール20mg/日,
ロスバスタチン2.5mg/日
身体所見
血圧110/56mmHg,脈拍76回/分・整,身長157cm,体重42kg
胸部聴診
音,音なし,心雑音なし,呼吸音正常
血液検査
WBC 6,600/μL,Hb 11.2g/dL,Plt 16.5×104/μL,BUN 21.6mg/dL,Cre 1.12mg/dL,AST 59IU/L,ALT 44IU/L,LDH 224IU/L,
Na 141mEq/L,K 4.7mEq/L,Cl 103mEq/L,BNP 378.7pg/mL,トロポニンI 26.7pg/mL
心エコー図検査
心室中隔壁厚14mm,左室後壁厚14mm,左室拡張末期径35mm,左室収縮末期径28mm,左室駆出率55%,有意な弁膜症は認めない。

図1.来院時12誘導心電図

前胸部誘導でのQRS波形

野生型トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTRwt)

解 説

本症例の心電図所見と診断について

本症例ではPQ間隔が延長しており,V1~V3誘導で異常Q波の所見を認めた。冠動脈に有意狭窄を認めず偽梗塞パターンと考えられた。左室肥大を来す二次性心筋症鑑別のために各種検査を施行した。心エコー図検査における左室ストレイン解析では,心基部と比べて心尖部の動きが保たれる“apical sparing pattern”を呈した。ピロリン酸シンチグラフィで心臓にGrade 3の集積を認め,心臓MRI検査では左室心筋に全層性,または一部内膜側に遅延造影像が認められた。心筋生検でトランスサイレチン型のアミロイド沈着が認められた。遺伝子検査によりATTRwtの診断となった。

心アミロイドーシスを来す主要な病型は,全身性免疫グロブリン軽鎖(AL)アミロイドーシスとATTRwtを含むトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)に大別される。それぞれについて有効な治療手段・薬剤が開発されており,適切な診断の重要性が強調されている。

心アミロイドーシスの代表的な心電図所見として低電位が挙げられるが,ALアミロイドーシスでは23~64%と比較的高頻度に認められるのに対し,ATTR-CMでは13〜40%とそれほど高くない。そのため低電位はアミロイドーシスのスクリーニングとして推奨されていない。一方で,冠動脈疾患がないにもかかわらず,異常Q波やR波増高不良を認める所見は偽梗塞パターンと呼ばれ,ATTR-CMでは18〜71%と比較的高頻度に認められる。本症例においては低電位の所見はなかったが,偽梗塞パターンの所見は認められた。

また房室ブロック,脚ブロックを含む伝導障害も心アミロイドーシスに特徴的な所見であり,本症例でもPQ時間の延長を認めた。その他,心房細動やQT時間延長も心アミロイドーシスによく認められる所見である。

本症例の経過と治療について

本症例では診断確定後にトランスサイレチン四量体安定化薬であるタファミジスの内服を開始した。開始から約2年経過しているが,臨床的に心不全増悪を来すことなく,現在も外来通院を続けている。血尿については尿管鏡尿管・膀胱生検にて心筋と同様にトランスサイレチン型アミロイドが検出された。

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