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- ディナゲスト錠0.5mg
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Information
開発の経緯
ディナゲスト錠0.5mgの有効成分であるジエノゲストは、イエナファーム社(現Bayer AG社のグループ会社)にて合成された新規の19-ノルテストステロン誘導体であり、第4世代プロゲスチンに分類されています。
国内では持田製薬が子宮内膜症治療剤として開発に着手し、ディナゲスト錠1mgの販売名で2007年に「子宮内膜症」、2016年に「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」の効能又は効果にて製造販売承認を取得しています。また、ディナゲストOD錠1mgが2014年に「子宮内膜症」、2016年に「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」の効能又は効果にて製造販売承認を取得しています。
月経困難症は月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状で、具体的な臨床症状は、多く認められる順に下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、いらいら、下痢及び憂うつであり①、女性の生活の質や就労に大きな影響を及ぼすと考えられています。
月経困難症は器質的な疾患を原因としない機能性月経困難症と、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などの器質的な疾患を原因とする器質性月経困難症に分類されています②。
機能性月経困難症に対する治療は薬物療法であり、産婦人科診療ガイドラインには非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(以下、LEP製剤)、レボノルゲストレル放出子宮内システムの使用、漢方薬あるいは鎮痙薬の投与が記載されています③。
器質性月経困難症に対しては、原疾患の治療の必要性を検討し、必要な場合は治療(薬物療法、手術療法)を優先します②、④。原疾患の治療を要しない場合は、機能性月経困難症に対する治療と同様の薬物療法を優先します⑤。
ジエノゲストは卵巣機能抑制作用(排卵抑制及びエストラジオール産生抑制作用)及び子宮内膜細胞増殖抑制作用を有しており、月経困難症治療薬であるLEP製剤と同様の作用機序により月経困難症に対する疼痛改善効果が期待されることから、月経困難症の効能又は効果の取得を目的とした開発を行いました。
その後、国内の第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験及び長期投与試験の結果、月経困難症に対する本剤の有効性及び安全性が検討され、2020年1月に「月経困難症」の効能又は効果で製造販売承認を取得しました。
- ①日本産科婦人科学会 編:産科婦人科用語集・用語解説集. 改訂第4 版.;日本産科婦人科学会,2018;60
- ②百枝 幹雄 他;新女性医学大系: 中山書店 1998:371-374
- ③日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会編:産婦人科診療ガイドライン‐婦人科 外来編2020;日本産科婦人科学会,2020; 106-107
- ④青野 敏博 他:産婦人科外来処方マニュアル 第4 版.:医学書院 2013;68-69
- ⑤百枝 幹雄:臨床婦人科産科 2018;72(4):79-81