MES編
MESを評価してみよう
36歳時に生物学的製剤の投与開始後、症状が改善したが寛解とならず、
治療効果判定目的で内視鏡検査を行いました。
この方のMayo内視鏡スコア(MES)は?
難易度:★☆☆
【監修】
東京医科歯科大学病院 光学医療診療部 教授 大塚 和朗 先生
【出題・写真提供】
東京医科歯科大学 消化器内科 講師 清水 寛路 先生
37歳 女性 潰瘍性大腸炎患者
- 34歳:
- 某年2月に全大腸炎型潰瘍性大腸炎を発症。潰瘍性大腸炎治療薬の内服を開始した。症状の改善が乏しく、同年9月に薬剤を変更して寛解導入を行ったが、薬剤の減量にて再燃した。同年11月より他剤の併用を開始した。NUDT 15はArg/Cysであった。
- 35歳:
- 白血球数が少なかったため、薬剤の増量が難しく、再燃を繰り返し、寛解を維持できなかった。
- 36歳:
- 下痢7~8行、血便(+)、腹痛が悪化し、中等症と考えられた。改善がないため、生物学的製剤の投与を開始したところ、症状は改善し、軟便が2~3回となったものの、月に1回程度の軽度の腹痛と少量の血便が見られ、寛解に至らなかった。
- 37歳:
- 治療効果判定目的で、内視鏡検査を行った。
- 罹病期間
- :3年
- 病型
- :全大腸炎型
- 合併症
- :なし
- 家族歴
- :特記事項なし
- 併用薬
- :抗菌薬、NSAIDsの服用はなし
- 排便回数
- :3回
- 顕血便
- :(+)たまにわずかな血液が付着
- 体温
- :36.7℃
- 脈拍数
- :80/分
- 血液検査
- :Hb 12.6g/dL
CRP 0.11mg/dL
LRG(ロイシンリッチα2グリコプロテイン) 17.6μg/mL
MES 3(重症)
解説
軽度発赤し、血管透見像が消失した浮腫状の粘膜を背景に、浅い地図状の潰瘍が多発しています。
したがって、この方は、MES 3(重症)と考えられました。
<MESの判断基準>
粘膜所見 | スコア |
---|---|
正常または非活動性所見 | 0 |
軽症(発赤、血管透見像の減少、軽度脆弱) | 1 |
中等症(著明に発赤、血管透見像の消失、脆弱、びらん) | 2 |
重症(自然出血、潰瘍) | 3 |
厚生労働省研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)『 第二版 炎症性腸疾患の疾患活動性評価指標集』 令和2年3月 P9