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心電図クイズ

鹿児島大学 編

心室頻拍で救急搬送された54歳男性

難易度

出題:
  • 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学(現:枕崎市立病院 副院長) 
    市來 仁志 先生
症 例
54歳,男性
主 訴
動悸・気分不良
現病歴
18年前に心電図の異常を指摘され,10年前に胸痛の自覚があったが,他医での冠動脈造影にて有意狭窄はなかった。その後,海水浴後に動悸・気分不良があり,前医へ救急搬送。血圧100mmHg程度,モニター心電図にて持続性心室頻拍(VT)を認め,DCにて洞調律化。VTに対する精査・加療目的で当院へ紹介入院となった。入院時の12誘導心電図を図1に示す。
既往歴および家族歴
特記事項なし
身体所見
身長166.8cm,体重74.8kg,血圧126/72mmHg,脈拍56/分・整,心雑音なし,呼吸音異常なし,腹部異常なし,下腿浮腫なし
検査所見
採血:電解質異常なし(K:4.5mEq/L),BNP:105.0pg/mL,心臓超音波検査(LVEF 74.0%),右室は拡大し,壁運動はびまん性に低下(RVD:49mm),右室下壁心尖部側に血栓(+)(19×15mm)

図1.入院時の12誘導心電図

V1誘導のQRS終末部に注目

不整脈原性右室心筋症(ARVC)

解 説

本症例の心電図と経過

前胸部誘導(V1~4)にイプシロン波を認め,V1~6誘導(および,aVF)で陰性T波を認める。入院後に施行した胸部CT・心臓MRIにて右室拡大および右室壁への脂肪浸潤と右室壁の菲薄化を認めた。以上の所見から不整脈原性右室心筋症(arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy;ARVC)と診断した。心室頻拍(VT)時の12誘導心電図は記録されておらず,モニター心電図の記録のみであり,左脚ブロックパターンであるかの確認はできなかった。

VTに対してカテーテルアブレーションや植え込み型除細動器(ICD)の植え込みを検討していたが,心エコーにて右室下壁に血栓を認めたため,ワルファリン内服とともにアミオダロンの内服を導入した。その3カ月後に血栓の消失を認め,アミオダロン内服下にはVT再発を認めておらず,経過観察中である。

ARVCについて

ARVCは,病理学的に右室主体の心筋の脂肪浸潤と線維化を認め,右室の拡大と機能低下および右室起源の心室性不整脈を特徴とする疾患である。進行すれば,左室への脂肪浸潤も認める。ARVCの30~50%程度は家族性に発症し,心筋細胞間の接着に関与するデスモゾーム関連遺伝子の異常によりデスモゾーム機能不全を来すと考えられている。

心電図での右側前胸部誘導(V1~3)におけるイプシロン波が脱分極異常所見としてARVCに特徴的とされるが,約30%に認められるのみである。2010年にARVCの改正診断基準()が発表されており,大項目2つ,あるいは大項目1つおよび小項目2つ,あるいは異なるカテゴリーからの小項目4つで確定診断とされる1)。本症例も大項目2つ(イプシロン波,V1~6:陰性T波)を満たして,ARVCと診断できた(図2)。治療としては,右心不全に対する利尿薬を中心とした薬物治療,VTに対する薬物治療(アミオダロンなどの群抗不整脈薬が中心)および非薬物治療(カテーテルアブレーションやICD植え込み)が行われる。心肺蘇生例や,血行動態が不安定なVT,失神の既往例などでは,年間不整脈リスクが8~10%と高く,ICD植え込みが必須と考えられている。

文献
  1. 1)Marcus Fl, et al. Eur Heart J 2010; 31: 806-14.

表.ARVCの診断基準(心電図所見における大項目)

図2.前胸部誘導心電図