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心電図クイズ

東京女子医科大学 編

労作時息切れを主訴に受診した86歳の女性

難易度

出題:
  • 東京女子医科大学 循環器内科 助教 
    稲垣 裕介 先生
症 例
86歳,女性
主 訴
労作時息切れ
現病歴
頸動脈狭窄に対するステント留置後,高血圧,脂質異常症を他院でフォローされていたが,経過中に労作時息切れが出現し,徐々に歩行速度の低下を自覚するようになり,当院紹介受診となった。来院時に安静時の胸部症状は認めなかった。紹介受診時の12誘導心電図を図1に示す。
既往歴
左頸動脈ステント留置,左乳がん術,左人工股関節置換術
家族歴
父親が高血圧
内服薬
クロピドグレル硫酸塩錠75mg/日,シルニジピン10mg/日,バルサルタン80mg/日,ロスバスタチン2.5mg/日,
エソメプラゾールマグネシウム水和物カプセル10mg/日
身体所見
身長153cm,体重69.4kg,BMI 29.65,血圧144/74mmHg,脈拍69回/分・整 遅脈,SpO298%(室内気)
胸部聴診
収縮期駆出性雑音 Levine (2RSB最大),呼吸音正常
血液検査
WBC 4,680/μL,Hb 10.2g/dL,Plt 14.0×104/μL,BUN 24.5mg/dL,Cre 0.74mg/dL,AST 23IU/L,ALT 17IU/L,LDH 211IU/L,
HbA1c 5.7%,NT-proBNP 1,143pg/mL
胸部X線写真
心胸郭比55%,肺うっ血なし,胸水なし

図1.来院時12誘導心電図

高電位,strain patternのST低下,収縮期駆出性雑音

重症大動脈弁狭窄症による左室肥大

解 説

本症例の心電図所見と診断について

本症例は,左室高電位に加えてstrain patternのST低下の心電図所見であり,理学所見で遅脈および頸部に放散する収縮駆出性雑音を認めたことから大動脈弁狭窄症が疑われる。

本症例の経過と治療について

経胸壁心エコー検査では,左室駆出能は保持されているものの,全周性左室肥大所見および高度石灰化を伴う重度の大動脈弁の開口制限を認めた(弁口面積0.62cm2最高血流速度4.5m/sec,平均圧較差49.6mmHg)。一方,冠動脈CT検査では,冠動脈に有意狭窄を示唆する所見は認めなかった。高齢の症候性重症大動脈弁狭窄症の症例であり,年齢に加えて併存疾患から外科的介入は高リスクと考えられ(STSスコア6.05),ハートチームカンファレンスで経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)で治療する方針とした。両側大腿アプローチによるブロック麻酔・静脈麻酔下で手技を行い,自己拡張型弁を留置し合併症なく終了。術後エコーでもパラメータの改善が得られ(有効弁口面積2.52cm2最高血流速度1.8m/sec,平均圧較差8.1mmHg),有意な弁周囲逆流もないことを確認し,術後5日で退院。1カ月後の外来では息切れ症状が改善し,12誘導心電図では左室肥大の改善を認めた(図2)。

外科的大動脈弁置換術と同様に,TAVIによる介入後の各種画像検査や心電図での左室肥大所見の改善は,心血管イベント発生率の低下と関連することが報告されている1~3)本症例では,術後1カ月で左室肥大の改善が確認され,良好な転帰が期待される。

文献
  1. 1)Lindman BR, et al. JACC Cardiovasc Interv 2014; 7: 662-73.
  2. 2)Tanaka T, et al. J Cardiol 2021; 77: 346-52.
  3. 3)Généreux P, et al. J Am Coll Cardiol 2022; 80: 783-800.

図2.TAVI施行前後の12誘導心電図