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Information
開発の経緯
高尿酸血症は持続すると痛風関節炎(痛風)をもたらしてQOLの低下を招きます。また高尿酸血症は、痛風だけでなく腎障害や心血管イベントの発症と関連する可能性も示唆されつつあるため、痛風、高尿酸血症患者における血清尿酸値の低下は重要です。痛風、高尿酸血症の治療においては、生活習慣の是正を原則に、薬物療法もまた重要な位置を占めています。
他方、近年は尿酸の排泄機構、特に尿酸トランスポーターの解明が進み、腎臓の近位尿細管において尿酸の再吸収にはURAT1(Urate transporter 1)が、分泌にはABCG2(ATP-binding cassette sub-family G member 2)やOAT1(Organic anion transporter 1)、OAT3(Organic anion transporter 3)等が働いていることが明らかとされました。また、尿酸は腎臓だけでなく腸管からもABCG2を介して分泌されることも示されています。したがって、URAT1阻害作用が強く、かつABCG2、OAT1及びOAT3に対する阻害作用との乖離が大きいURAT1選択的な尿酸再吸収阻害薬を開発することで、効率的に尿酸の排泄を促進し、血中尿酸値を低下させることが期待できます。
ユリス錠(一般名:ドチヌラド)は選択的なURAT1阻害作用を有し、さらに肝障害の原因と考えられるミトコンドリア毒性やCYP2C9阻害による薬物相互作用の少ない薬剤を目指して株式会社富士薬品にて創製された、選択的尿酸再吸収阻害薬(Selective Urate Reabsorption Inhibitor:SURI)です。
ドチヌラドの国内における開発は2009年より進められました。痛風、高尿酸血症患者を対象とした臨床試験は、後期第Ⅱ相試験までは株式会社富士薬品が実施し、第Ⅲ相試験からは株式会社富士薬品と持田製薬株式会社が共同で実施しました。その結果、ドチヌラドの有効性及び安全性が確認されたため、「痛風、高尿酸血症」を効能・効果として製造販売承認申請を行い、2020年1月に製造販売承認を取得しました。