持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

ご利用の注意

・このサイトに掲載している情報は、弊社医療用医薬品を適正にご使用いただくためのものであり、広告を目的とするものではありません。

・日本国内の医療関係者(医師、薬剤師等)を対象としております。
 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

・このサイトで提供している以外の弊社医療用医薬品の情報をお求めの方は、弊社MR、またはくすり相談窓口までお問い合わせください。

会員限定コンテンツのご利用について

会員の方

会員限定コンテンツのご利用には
medパスIDが必要となります。

会員登録されていない方

対象の職種をお選びください。
会員限定コンテンツ以外を
ご利用いただけます。

会員限定コンテンツのご利用には
medパスIDが必要となります。

新規会員登録はこちら

※外部サイトへ移動します
medパスのご紹介はこちら

医療関係者ではない方(コーポレートサイトへ

持田製薬株式会社

医療関係者向けサイト

ご利用の注意

・このサイトに掲載している情報は、弊社医療用医薬品を適正にご使用いただくためのものであり、広告を目的とするものではありません。

・日本国内の医療関係者(医師、薬剤師等)を対象としております。
 国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

・このサイトで提供している以外の弊社医療用医薬品の情報をお求めの方は、弊社MR、またはくすり相談窓口までお問い合わせください。

対象の職種をお選びください。

医療関係者ではない方(コーポレートサイトへ

心電図クイズ

熊本大学大学院 編

胸痛で搬入された79歳の女性

難易度

出題:
  • 熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器内科学講座 講師 
    坂本 憲治 先生
症 例
79歳,女性
主 訴
前胸部痛と嘔気
現病歴
発症当日朝9時ごろ,前胸部痛を自覚して覚醒し,嘔気も伴った。12時ごろに受診したかかりつけ医より循環器専門医に紹介。同院での心電図で図1に示す心電図変化を認めたため,急性冠症候群の疑いで当大学病院救急外来に紹介搬入となった。
既往歴
心疾患の既往なし
家族歴
特記事項なし
生活歴
缶ビール500mL/日,喫煙なし
身体所見
血圧132/68mmHg,脈拍60回/分・整
胸部聴診
音,音なし,心雑音なし,呼吸音正常
血液検査
WBC 7,200/μL,Hb 13.0g/dL,BUN 20.2mg/dL,Cre 0.63mg/dL,AST 32IU/L,ALT 24IU/L,LDH 269IU/L,LDL-C 176mg/dL,HDL-C 54mg/dL,TG 90mg/dL,CK 125IU/L,CK-MB 18IU/L,BNP 79.1pg/mL,高感度トロポニンT 0.4622ng/mL
心エコー図検査
壁中間部から心尖部にかけて無収縮域を認める。左室駆出率52%

図1.来院時12誘導心電図

胸部誘導の陰性T波

たこつぼ型心筋症

解 説

本症例の心電図所見と診断について

急性心筋梗塞後,あるいは重症心筋虚血発作の直後や再灌流が得られた急性期症例において,虚血領域に対応する心電図誘導に陰性T波(冠性T波)を認めることがある。本症例に関しても,比較的典型的な症状と心電図変化から急性冠症候群が疑われ,当院救急治療室(ER)に搬入された。冠動脈造影の結果,左右冠動脈に有意狭窄は認められず,典型的な左室造影の所見(図2)から上記診断に至った。
血液検査では高感度トロポニンTの上昇が認められるが,重症のたこつぼ型心筋症においてはCK(CK-MB)を含む心筋逸脱酵素の上昇を認めることがあり,血液検査での鑑別は困難である。ERで心エコーを行えば,たこつぼ様の壁運動異常を同定できた可能性はあるが,急性冠症候群との連絡や思い込みが正確な壁運動評価を妨げる場合もあり注意を要する。

図2.左室造影

図3.左冠動脈造影

また,本症例の左前下行枝(LAD)は心尖部から一部下壁まで灌流するwrapped LADと呼ばれる冠動脈支配を呈しており(図3),LAD中間部を責任病変とする心筋梗塞でも類似した壁運動低下を来たす可能性がある。しかしながら心筋梗塞の場合,左室基部の過収縮は伴わないため,鑑別が可能であった。
心電図上の前壁梗塞との鑑別点として,たこつぼ型心筋症ではV1誘導およびaVR誘導に陰性T波を認めにくいとする報告があり1)本症例の心電図もそれに一致する。第2病日の心電図を図4に示す。時間経過とともに陰性T波が巨大化し,QT延長を認める点もたこつぼ型心筋症に特徴的である。たこつぼ型心筋症の発症契機として「情動的ストレス」が知られているが,特に高齢者では契機が明らかでない場合もしばしば経験する。

文献
  1. 1)Kosuge M, et al. Eur Heart J Acute Cardiovasc Care 2012; 1: 349-57.

図4.第2病日の12誘導心電図