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注射部位疼痛対策
注射部位疼痛と疼痛対策
本剤は皮下投与が可能なプロスタサイクリン誘導体であり、持続皮下投与を選択することで、従来のプロスタサイクリン注射療法に必要であった中心静脈カテーテルの留置が不要となります。このことによって、PAH患者のQOLが向上するばかりではなく、中心静脈カテーテル留置に伴う血流感染等のリスクを根本的に解決することができます。
しかし、国内の臨床試験で本剤の持続皮下投与を受けた症例(31例)の全例に注射部位疼痛や注射部位反応(紅斑、腫脹、熱感、硬結、瘙痒感など)が発現しました。NSAIDs内服・外用、ステロイド(局所)、局所麻酔剤、クーリング/ヒーティングなどの処置が行われましたが、13例(41.9%)が持続静脈内投与へ投与経路を変更し、4例(12.9%)が注射部位疼痛や注射部位反応のために投与を中止しました。なお、本剤の持続皮下投与を1年以上継続した症例は、4例(12.9%)でした。
これまでのところ、本剤の注射部位疼痛に関しては、発現機序は明らかになっておらず、個人の感受性が大きく影響し、患者ごとに有効な対策が異なると考えられます。以下に、実際に海外で行われている処置を紹介します。
注射部位疼痛及び注射部位反応について
本剤の持続皮下投与で最も多く発現する副作用は注射部位疼痛や注射部位反応(紅斑、腫脹、熱感、硬結、瘙痒感など)です。注射部位疼痛はしばしば重度となり、疼痛対策を必要としたり、投与の中止を余儀なくされることがあります。本剤の持続皮下投与を継続していくには、下記事項を十分に理解してもらい、患者ごとに適した有効な対策を模索していくことが重要です。また、患者の不安や恐怖を和らげたり、薬剤処置などによる疼痛管理を手助けするために、心理的なサポートを継続していくことが大切です。
- 注射部位疼痛は個人によっても、また、注射部位によっても異なります。注射部位は、個人によって、注射に適した部位と、痛みを鋭敏に感じるような注射に適さない部位があります。
- 新たな部位に注射を開始してから2~5日が最も強く疼痛を感じ、その後は和らぐという報告があります。
- 注射部位疼痛と本剤の投与速度に関連がないという報告があります。