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2020年02月12日公開(2023年3月7日一部改訂)

中等症・重症うつ病の薬物治療を整理する

薬物治療の考え方を整理する

社会医療法人あいざと会藍里病院 /
あいざと精神医療研究所 所長

大森 哲郎先生

「日本うつ病学会治療ガイドライン.大うつ病性障害」は、2012年7月に日本うつ病学会が作成した
ガイドラインです。その後、2013年9月、2016年7月に改訂版(以下、本ガイドライン)を公表しています。
今回は、本ガイドラインの「3.中等症・重症うつ病」の章に記載されている内容、
特に薬物療法を中心に解説したいと思います。

急性期における
薬物療法のポイント

本ガイドラインの基本的立場は、重症度によらず、うつ病・抑うつ状態の患者には支持的態度で接するとともに、十分な心理教育を行い、個々の患者背景に応じた適切な治療方針を取ることにあります。特に、中等症・重症のうつ病では、薬物療法がその中心的役割を担うため、抗うつ薬の使い方に留意する必要があります。本格的治療を導入する前には、患者の訴える内容を支持的に傾聴し、苦悩には共感を示し、ともに問題点を整理して、必要があれば休養を含めた日常生活上の指示を行うなどの基礎的介入を丁寧に行った上で、薬物療法やECT(modified electroconvulsive therapy)を導入するようにします。急性期における薬物療法の要点は、①治療開始前に丁寧な説明を行う、②抗うつ薬を低用量から開始する、③有害作用に注意しながら可能な限り速やかに増量する、④十分な最終投与量を投与する、⑤十分期間効果判定を待つ、ことです。さらに寛解維持期には、⑥十分な継続療法・維持療法を行い、⑦薬物療法の終結を急ぎすぎないこと、が重要です。

望ましい治療の考え方

本ガイドラインでは推奨する第一選択薬を一つに定めていません。患者さんの病像や背景、価値観を汲みつつ、それぞれの薬剤プロファイルを考慮して治療が計画されることが望ましいからです。
中等症に対しては、実臨床では、第一選択薬として新規抗うつ薬(SSRI,SNRI,ミルタザピン)がよく用いられていますが、TCA/non-TCA(ここでは、新規抗うつ薬以外の薬物でうつ病に保険適応をもつ薬物を一括してTCA/non-TCAと表記する)が用いられることもあります。新規抗うつ薬(SSRI,SNRI,ミルタザピン)はTCAに比べて抗コリン性有害作用、心・循環器系有害作用が軽減しており忍容性に優れているという考え方が主流であり、大部分の中等症や重症にはこのクラスから開始することが一般的です。もし、再発性抑うつエピソードの患者に対して過去に効果があった薬物があればその薬物を第一選択として考慮します。また、家族歴を注意深く聴取し、血縁者に効果のあった薬物も第一選択となる可能性があります。

抗うつ薬は単剤で使用し、多剤併用は行わないことを基本とします。また、第一選択薬を十分量・十分期間使用し、用量不足や観察期間不足による見かけの難治例を防止することが重要です。特に重症例の場合でECTを予定していない症例では、有害作用に注意しながら、速やかに薬物を保険診療上認められた最大用量まで増量します。薬物の代謝には個人差が大きく、患者さんによっては同じ量を服用しても血中濃度が上がりにくい可能性も考えられます。ケースバイケースで判断することですが、用量不足による無反応例や不完全寛解例があるので、有害作用に注意しながら十分な用量を使用することが重要です。第一選択薬に反応があるかどうかを判断する観察期間の長さについてもケースバイケースで決定します。例えば2週間で目処がつくこともあれば、3~4週間での見極めが困難であることも少なくありません。4~6週間、場合によっては8週間の時間をかけて、抗うつ効果が出てくることもしばしば経験します。この場合、もし可能であれば有害作用が問題とならない範囲で十分用量まで増量しておくことが望ましいでしょう。低用量で使用していると、用量不足によって反応がないのか、観察期間不足によって反応がないのか、2つの可能性を同時に考える必要が生じてしまいます。抗うつ薬を低用量で使用して反応がない場合は、有害作用が臨床上問題とならない範囲で十分量まで増量した後、4週間程度を目安に効果判定を行うのが望ましいでしょう。

ベンゾジアゼピン
受容体作動薬の併用

次に、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の併用について触れたいと思います。抗うつ薬とベンゾジアゼピン受容体作動薬の併用は、治療初期4週までは脱落率を低下させるなどの有用性が報告されています(Furukawa et al, 2001)。中等症以上のうつ病では、不安・焦燥・不眠への対処としてベンゾジアゼピン受容体作動薬が必要となることが多いと思います。
しかし、ベンゾジアゼピンが必要な場合でも、最大、抗不安薬1剤、睡眠薬1剤までを原則とします。不必要なベンゾジアゼピンが漫然と投与継続された結果、過鎮静、意識障害、脱抑制による衝動性の亢進などが起こり、一見うつ病の症状が遷延ないし悪化したように見えることがあるため、漫然と継続しないよう心掛けましょう。

初期治療が成功しない場合の
薬物療法上の対応

さて、第一選択薬による治療に成功せずECTを予定しない場合、セカンドラインの治療をどのように考えるかについて紹介します。薬物療法上の対応を考える前に、まず服薬アドヒアランスについて確認します。また、現在の診断について正しいか(一般身体疾患、処方された医薬品や物質乱用による抑うつ状態、双極性障害との鑑別など)、併存障害の見落としがないか(パーソナリティ障害、不安症や自閉スペクトラム症の併存など)について再検討することも重要です。その上で、初期治療が成功しない場合の薬物療法上の対応として、①抗うつ薬の増量、②抗うつ薬の変更、③抗うつ効果増強療法、④抗うつ薬の併用が挙げられます。

本ガイドラインでは、第一選択薬に無反応の場合は「抗うつ薬の変更」を、部分反応(一部の抑うつ症状に改善がみられるが、それ以上の改善がない場合)にとどまる場合は「抗うつ効果増強療法」を行うことを推奨しています。

抗うつ薬増強療法を
選択時のポイント

「抗うつ効果増強療法」においては、アリピプラゾールが日本で唯一抗うつ薬の増強療法の適用を有する非定型抗精神病薬です。国内で行われた臨床試験(Kamijima et al. 2013)で、6週間の短期投与試験で有効性が報告されています。一方、有害事象の頻度は、海外における有効性を支持する3本の先行研究(Berman et al. 2009:Berman et al. 2007:Marcus et al. 2008)と同様の傾向にあり、最も多かったものはアカシジアでした。米国精神医学会のガイドラインにおいても非定型抗精神病薬による抗うつ効果増強療法は、第一選択薬で効果が不十分であった場合の薬物治療選択肢の一つとして位置付けられていますが、非定型抗精神病薬による抗うつ効果増強療法を選択する場合は、リスク・ベネフィットを考慮した上で選択することが必要でしょう。

中等症・重症うつ病に対する
薬物療法のまとめ

以上を踏まえて、中等症・重症うつ病に対して推奨される治療のポイントをまとめます。中等症以上のうつ病では、まず外来で診療できるのか、入院をさせるべきなのかを判断します。そして、軽症うつ病において述べられている基礎的介入を丁寧に行った上で、薬物療法は軽症に比べてより積極的に行います。抗うつ薬を単剤で十分量・十分期間使用し、多剤併用は行わないことを基本とします。
本ガイドラインでは推奨する第一選択薬を一つに定めていませんが、新規抗うつ薬(SSRI,SNRI,ミルタザピン)やTCA/non-TCAが用いられます。新規抗うつ薬(SSRI,SNRI,ミルタザピン)は、TCAに比べて抗コリン性有害作用、心・循環器系有害作用は軽減しており忍容性に優れているという考え方が主流であり、大部分の中等症や重症はこのクラスから開始することが一般的です。
ベンゾジアゼピン受容体作動薬を併用する場合はその必要性を慎重に考慮します。中等症以上では不安・焦燥・不眠への対処にベンゾジアゼピン受容体作動薬が必要となることが多いでしょう。その場合でも、最大、抗不安薬1剤、睡眠薬1剤までを原則とし、併用期間は治療初期4週までを目安とします。セカンドライン以降の治療選択としては、第一選択薬に無反応の場合は「抗うつ薬の変更」を、部分反応にとどまる場合は「抗うつ効果増強療法」を行います。
自殺の可能性や生命危機の差し迫った(最)重症うつ病にはECTを考慮します。ECTにすみやかに反応し、寛解が得られた場合は、軽症・中等症うつ病に準じて新規抗うつ薬を主剤として維持できることもあります。

医師にとってのガイドラインとは、例えるならば船長にとっての海図にあたるものです。
注意深い観察と豊富な経験があってこそ、臨機応変な舵取りが出来ます。
ガイドラインは医師のこのような裁量権を縛るものではなく、
逆に、臨床現場はガイドライン通りに治療すればことが足りるというものでもありません。
ひとつの考え方として、道標として活用することによって、
患者さんやそのご家族にとってもお役に立つことを願っています。

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