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- Clinical Study(間質性肺疾患に伴う肺高血圧症):海外第Ⅱ/Ⅲ相試験 試験の概要
Clinical Study海外第Ⅱ/Ⅲ相試験(間質性肺疾患に伴う肺高血圧症)
承認外の用法及び用量が含まれますが、承認時評価資料のため紹介します。
試験の概要「海外第Ⅱ/Ⅲ相試験1,2)(間質性肺疾患に伴う肺高血圧症)」
- 1)持田製薬社内資料:海外第Ⅱ/Ⅲ相試験(トレプロスト吸入液、CTD 2.7.6.1)<承認時評価資料>
- 2)Waxman A, et al.: N Engl J Med. 2021; 384(4): 325-334[利益相反:本試験はUnited Therapeutics社の支援により実施]
「禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。
試験デザイン
多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験
目的
ILD-PH患者を対象に、トレプロスチニルを16週間投与したときの有効性及び安全性を検討した。
対象
- 18歳以上の男女
- 割付前6ヵ月以内に実施したコンピュータ断層撮影(CT)において、びまん性実質性肺疾患の所見を認め、WHO臨床分類第3群肺高血圧症と確定診断された、間質性肺疾患又はCPFEを有する患者
- 右心カテーテル検査の結果:安静時平均肺動脈圧≧25mmHg、肺動脈楔入圧≦15mmHg、肺血管抵抗>3Wood単位(240dyn・sec/cm5)
- 6分間歩行距離≧100m
- 割付前30日以上にわたって、肺疾患に対する慢性薬物療法(ピルフェニドン、ニンテダニブなど)の用法及び用量に変更がなく、かつ至適用量で治療を受けている患者
- 結合組織病を有する場合、ベースラインにおける努力肺活量(以下、FVC)が70%未満の患者
なお、ベースラインの安静時において、10L/minを超える酸素を投与されている患者は除外した。
投与方法
トレプロスチニル又はプラセボを1日4回、1回1~12吸入(6~72μg)、TD-100ネブライザを用いて16週間吸入投与した。
1回の吸入量は3吸入(18μg)から開始し、患者の忍容性に問題があると判断した場合は1回量を1吸入(6μg)又は2吸入(12μg)に減量した。患者の忍容性に問題がないと判断した場合は、1回量として1吸入(6μg)ずつ漸増し、目標用量である9吸入(54μg)及び最高用量である12吸入(72μg)まで増量した。
肺疾患に対する慢性薬物療法(ピルフェニドン、ニンテダニブなど)を併用許容薬として、試験参加前と同じ用法及び用量で経口投与した。
評価項目
- a:その他の評価項目
- b:副次評価項目
- c:喘息及び慢性閉塞性肺疾患向けの疾患特異的な健康関連QOLだが、間質性肺疾患患者を対象とした肺機能、6分間歩行距離及び呼吸困難の重症度等と相関が見られたことも報告されている3)
- 安全性評価項目
有害事象(副作用)、呼吸機能検査、他
- 3)Chang JA, et al.: Chest. 1999; 116(5): 1175-1182
解析計画
有効性の解析対象集団はITTとした。
主要評価項目では、16週時におけるピーク時6分間歩行距離のベースラインからの変化量は、要約統計量を算出し、ベースラインの6分間歩行距離(カテゴリ)を調整因子とした、Cochran-Mantel-Haenszel検定の拡張の枠組みであるノンパラメトリックANCOVAを用いて両群間の比較を行った。また、Hodges-Lehmann法に基づく両群間の差の中央値の算出も行った。データが欠測した場合、6分間歩行試験未実施の理由が死亡、又は間質性肺疾患もしくは肺高血圧症の悪化に伴うものである場合、測定値を0mで補完した。その他の場合はLOCF(代入可能なデータがない場合、BOCF)で補完した。
副次評価項目及びその他の評価項目では、各評価時期における6分間歩行距離、NT-proBNP濃度及びSGRQのベースラインからの変化量について、要約統計量を算出し、6分間歩行距離はベースラインの6分間歩行距離(カテゴリ)を調整因子としたノンパラメトリックANCOVA、NT-proBNP濃度及びSGRQはANCOVAを用いて両群間の比較を行った。6分間歩行距離については、Hodges-Lehmann法に基づく両群間の差の中央値の算出を行い、データが欠測した場合は主要評価項目と同様の方法で補完した。NT-proBNP濃度については、LOCFで補完した。SGRQについては、欠測値の補完を行わずに、16週時における各スコアのベースラインからの変化量を従属変数、投与群を固定効果、ベースラインの各スコアを共変量としたANCOVAを用いて両群の比較を行った。
間質性肺疾患増悪までの時間及び以下に定義する臨床症状悪化までの時間についてはKaplan-Meier推定を行い、ベースラインの6分間歩行距離(カテゴリ)による層別log-rank検定を用いて両群間の比較を行った。臨床症状悪化までの時間については、投与群及びベースラインの6分間歩行距離(連続量)を説明変数とした比例ハザードモデルによる両群間のハザード比の算出も行った。また、イベント発現率を算出した。
- 死亡(原因は問わない)
- 心肺症状悪化のための入院
- 肺移植
- 原疾患の悪化に伴い、6分間歩行距離が2回連続でベースラインから15%を超えて短縮した場合
安全性解析対象集団は、治験薬を投与された患者とした。安全性解析対象集団はITTと同一であった。呼吸機能検査について、要約統計量を算出した。
患者背景
- 例数(%)又は平均値±標準偏差
- a:症例報告書に間質性肺疾患の臨床分類として「剥離性間質性肺炎」と記載されたため、「その他」に分類された
曝露状況
- 例数(%)
- a:海外第Ⅱ/Ⅲ相試験で規定した1回最大投与量は12吸入であり、治験実施計画書からの逸脱に該当
- 例数(%)
- a:海外第Ⅱ/Ⅲ相試験で規定した1回最大投与量は12吸入であり、治験実施計画書からの逸脱に該当
6. 用法及び用量(抜粋)
〈間質性肺疾患に伴う肺高血圧症〉
通常、成人には、1日4回ネブライザを用いて吸入投与する。1回3吸入(トレプロスチニルとして18μg)から投与を開始し、忍容性を確認しながら、3日以上の間隔で、1回1吸入ずつ、最大12吸入(トレプロスチニルとして72μg)まで漸増する。忍容性がない場合は減量し、1回最小量は1吸入とすること。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
- 7.2 本剤の吸入にはTD-300/Jネブライザを使用すること。[14.1 参照]
2024年9月作成
17050-6/N5 B2 GMJ