投与終了時の投与前値からの血清尿酸値低下率(平均値±標準偏差)はスライドの通りで、プラセボ群で-2.83±8.19%、ユリス®0.5mg群で21.81±11.35%、1mg群で33.77±9.82%、2mg群で42.66±13.16%、4mg群で61.09±8.75%と、用量反応性が検証されました([検証的解析項目]p<0.001、Jonckheere-Terpstra検定)。
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Pick Up
2024年06月11日公開(2024年07月23日一部改訂)
尿酸の約70%は腎臓から排泄されるため、尿酸排泄が低下する慢性腎臓病(CKD)では、高尿酸血症を認めることが多いとされています1)。また近年、高尿酸血症は腎機能障害を有する患者において、さらに腎機能を悪化させる独立したリスクファクターであることも指摘されており2)、その関連が注目されています。
そこで今回は、CKDを伴う高尿酸血症患者における尿酸コントロールの意義についてご紹介します。
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血清尿酸値と
腎機能障害の関係
ガイドラインでの記載
『CKDステージG3b~5診療ガイドライン2017(2015追補版)』における、CKD患者の高尿酸血症と腎機能の関係についての記載をご紹介します2)。
該当ガイドラインのCQ2では、CKDステージG3b以降の患者の尿酸コントロールについて、「無症候性であっても血清尿酸値が7.0mg/dLを超えたら生活指導、8.0mg/dL以上から薬物療法開始を推奨」し、「治療開始後は6.0mg/dL以下に維持することが望ましい」としています2)。
また解説では、Isekiらは、eGFR 45mL/分/1.73m2未満の腎機能障害を認める群において、高尿酸血症がeGFRのさらなる低下の独立したリスクファクターであること、さらに、7.0mg/dL以上の尿酸値(女性においては6.0mg/dLでも)はESKD(末期腎臓病)の独立したリスクファクターであることを報告している、と記されています2)。
国内での研究結果
一般男性を対象とした国内研究において、血清尿酸値が高値になるにつれ腎機能障害発症リスクが高まる可能性が示唆されました3)。血清尿酸値区分別に腎機能障害発症リスクを検討したこの研究では、血清尿酸値4.0~4.9mg/dLでの腎機能障害発症の調整済みハザード比を1とした場合、6.0~6.9mg/dLでは1.24[95%CI(信頼区間):1.09-1.41 ]、7.0mg/dL以上では1.23[95%CI:1.08-1.41]であり、血清尿酸値と調整済ハザード比の傾向検定の結果、p<0.01でした(Cox比例ハザードモデル)3)。
腎障害を有する
高尿酸血症の治療
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2022年追補版)』の「第2章 治療 5 腎障害」では、腎障害合併患者での高尿酸血症の治療について「尿酸降下薬として原則として尿酸生成抑制薬を使用する」こととされています4)。
ドチヌラド(ユリス®錠)については、「他の尿酸トランスポーターに影響しないことからその有効性について注目されている」と記載されています4)。
ユリス® クイズ
ユリス®錠が選択的に阻害するトランスポーターは
次のうちどれでしょう?
- URAT1
- ABCG2
- OAT1
答え
1
URAT1
ユリス®錠はURAT1選択性が高く、ABCG2、OAT1、OAT3を介した尿酸分泌経路は阻害せず※、URAT1を介した再吸収経路を阻害する選択的尿酸再吸収阻害薬(Selective Urate Reabsorption Inhibitor:SURI)です5,6)。
※in vitro試験におけるURAT1阻害比(各トランスポーターのIC50/URAT1のIC50)5,6)
ABCG2:112倍、OAT1:110倍、OAT3:35.5倍
「禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。
後期第Ⅱ相試験は一部承認外の用法及び用量による成績が含まれますが、用量反応検証試験として実施されたため掲載します。
ユリス®錠開発時の臨床試験成績:
後期第Ⅱ相試験(用量反応検証試験)7,8)
7)社内資料:用量反応検証試験・後期第Ⅱ相臨床試験[2020年1月23日承認、CTD 2.7.6.14、CSR FYU-981-006(資料5.3.5.1-2)]〔承認時評価資料〕
8)Hosoya T, et al. Clin Exp Nephrol 2020; 24: S53-61[利益相反]本研究は株式会社富士薬品の資金により行われた。本論文の著者のうち4名は株式会社富士薬品の社員である。著者には、本研究に関する株式会社富士薬品のアドバイザーでありコンサルタント料等を受領している者が含まれる。
試験デザインはスライドのとおりで、痛風を含む高尿酸血症患者さんにユリス®錠を12週間投与し、投与終了時の血清尿酸値低下率や安全性などを評価しました。
血清尿酸値低下率
安全性
本試験での副作用発現率は、プラセボ群6/39例(15.4%)、ユリス®0.5mg群6/40例(15.0%)、1mg群8/42例(19.0%)、2mg群7/39例(17.9%)、4mg群7/40例(17.5%)でした。
その他、本試験の詳細な安全性の成績はスライドをご覧ください。
6. 用法及び用量
通常、成人にはドチヌラドとして1日0.5mgより開始し、1日1回経口投与する。その後は血中尿酸値を確認しながら必要に応じて徐々に増量する。維持量は通常1日1回2mgで、患者の状態に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日1回4mgとする。
実臨床における、
CKD合併高尿酸血症患者を対象とした
ユリス®錠の影響と安全性
自治医科大学附属さいたま医療センターからの報告9)
9)Yanai K, et al. Drug Des Devel Ther 2023 ; 17 : 3233-48
CKDステージG3~5合併の高尿酸血症(血清尿酸値≧6.0mg/dL)患者を対象とした、自治医科大学附属さいたま医療センター腎臓内科による単施設後ろ向き観察研究です。既存治療にユリス®錠を追加投与したユリス®群と追加投与しないコントロール群で、血清尿酸値とeGFRを、ユリス®錠を追加投与する前後12ヵ月間で比較検討しました。また本試験のLimitationとして、スライドのような点が挙げられます。
高尿酸血症(血清尿酸値≧6.0mg/dL)が持続する場合、ユリス®錠群ではユリス®錠を増量しましたが、既存治療に尿酸降下薬が含まれるケースでは、尿酸降下薬は増量しませんでした。
最終的な解析対象は、ユリス®錠群、コントロール群共に34例でした。
血清尿酸値の推移
投与開始1ヵ月後から12ヵ月後まで、ユリス®群ではコントロール群に比べて血清尿酸値が有意に低下しました(名目上のp<0.05、Student’s t-test)。
[参考情報]eGFRの推移
投与開始1年前~1年後までeGFRはスライドのように推移しました。
安全性
試験期間中、いずれの群においても痛風発作は認められませんでした。
ユリス®錠服用44例のうち2例が有害事象(発熱、悪心)によりユリス®錠の服用を中断しました(※この2例は、組み入れ基準不適合として試験対象から除外されました)。
論文中に記載された有害事象は上記のみでした。
ユリス®錠の安全性情報は、電子添文をご参照ください。
6. 用法及び用量
通常、成人にはドチヌラドとして1日0.5mgより開始し、1日1回経口投与する。その後は血中尿酸値を確認しながら必要に応じて徐々に増量する。維持量は通常1日1回2mgで、患者の状態に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日1回4mgとする。
7. 用法及び用量に関連する注意
尿酸降下薬による治療初期には、血中尿酸値の急激な低下により痛風関節炎(痛風発作)が誘発されることがあるので、本剤の投与は0.5mg1日1回から開始し、投与開始から2週間以降に1mg1日1回、投与開始から6週間以降に2mg1日1回投与とするなど、徐々に増量すること。なお、増量後は経過を十分に観察すること。
やまき内科クリニックからの報告10)
10)山木万里郎ほか:Ther Res 2022 ; 43 : 851-8[利益相反]著者には、持田製薬株式会社より講演料を受領している者が含まれる。
CKDステージG4/5合併の高尿酸血症患者を対象とした、やまき内科クリニックによる単施設後ろ向き観察研究です。ユリス®錠を24ヵ月間投与した時の血清尿酸値と腎機能への影響と安全性を検討しました。
本試験の試験概要はスライドのとおりで、eGFRが30未満の高尿酸血症患者で、ユリス®錠を投与していた10例について、ユリス®錠投与後の血清尿酸値とeGFRを後ろ向きに検討しました。
血清尿酸値の推移
ユリス®錠投与前に比べて投与6ヵ月後では有意差が認められなかったものの、投与12ヵ月後、24ヵ月後では有意に低下しました(名目上のp<0.05 vs. ユリス®錠投与前、Wilcoxonの符号付順位和検定)。
[参考情報]eGFRの推移
ユリス®錠投与前に比べて投与6ヵ月後において有意に低下しましたが(名目上のp=0.022 vs. ユリス®錠投与前、Wilcoxonの符号付順位和検定)、投与12ヵ月後、24ヵ月後までの最終値では有意差が認められませんでした[名目上のp=0.265(ユリス®錠投与12ヵ月後)、0.060(投与24ヵ月後までの最終値) vs. 投与前、Wilcoxonの符号付順位和検定]。
安全性
本論文中に副作用に関する記載はありませんでした。
ユリス®錠の安全性情報は、電子添文をご参照ください。
【特定の背景を有する患者に関する注意】(一部抜粋)
9.2 腎機能障害患者 9.2.1 重度の腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)
他剤での治療を考慮すること。本剤は腎近位尿細管において作用するため、腎機能障害の程度に応じて、有効性が減弱する可能性がある。特に、乏尿又は無尿の患者においては、有効性が期待できないことから、本剤の投与は避けること。
なお、臨床試験では、eGFRが30mL/min/1.73m2未満の患者は除外されている。
まとめ
- 高尿酸血症は、腎機能障害を有する患者においてさらに腎機能を悪化させる独立したリスクファクターであるとの指摘がある。
- 腎障害を有する高尿酸血症の治療については、
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2022年追補版)』に記載されている。 - 選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)であるユリス®錠は、開発時の後期第Ⅱ相試験において、血清尿酸値低下作用の用量反応性が検証され、安全性が評価された。
また実臨床下における、CKD合併高尿酸血症患者に対するユリス®錠の影響と
安全性を検討した研究結果が報告されている。
1)日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 2018 : 78-80
2)平成27~29年度日本医療研究開発機構委託研究「慢性腎臓病(CKD)進行例の実態把握と透析導入回避のための有効な指針の作成に関する研究」 腎障害進展予防と腎代替療法へのスムーズな移行 CKDステージG3b~5診療ガイドライン2017(2015 追補版) 日腎会誌 2017;59:1093-216
3)Toyama T, et al. PLoS One 2015;10:e0137449
4)日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 2022年追補版 診断と治療社 2022:32-5
5)社内資料:ヒトABCG2、OAT1及びOAT3発現細胞を用いた尿酸取り込み阻害試験(CTD 2.6.2.2)
6)Taniguchi T, et al. J Pharmacol Exp Ther 2019; 371: 162-70
7)社内資料:用量反応検証試験・後期第Ⅱ相臨床試験[2020年1月23日承認、CTD 2.7.6.14、CSR FYU-981-006(資料5.3.5.1-2)]〔承認時評価資料〕
8)Hosoya T, et al. Clin Exp Nephrol 2020; 24: S53-61
9)Yanai K, Morishita Y, et al. Drug Des Devel Ther 2023 ; 17 : 3233–48
10)山木万里郎ほか:Ther Res 2022 ; 43 : 851-8
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