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- 第1回 P値の解釈、正しいのはどちら?
獨協医科大学埼玉医療センター 麻酔科 教授浅井 隆
P値の解釈、正しいのはどちら?
高血圧を有する婦人科病棟の患者において新しい降圧薬Xの効果を調べたところ、グラフのようになりました。
新薬Xの投与60分後の血圧は、30分後と比べてP値が小さいため、新薬Xは60分後が30分後に比べより強く血圧を低下させた、と解釈してよいと思います。
確かにP値は投与60分後のほうが30分後に比べて小さいけれど、グラフを見る限り30分後と60分後で血圧にあまり差がないから、60分後に血圧をより強く下げたとは解釈できないのではないでしょうか?
Bさんの解釈のほうが正しい
解説
P値とは仮説検定の結果です。この例では、“新薬Xの投与前と投与30分後、あるいは60分後に血圧に差があるか”どうかの検定となりますが、統計を用いて帰無仮説、すなわち「“投与前後に血圧に差がない”が棄却されるかどうか」の検定をします。そしてP値が設定した有意水準値(一般的に0.05)未満の場合、帰無仮説が棄却され、“有意差あり”と解釈します。この例の結果からは、 “新薬Xの投与により、投与30分後あるいは60分後に血圧を有意に低下した”、と解釈できます。
注意しないといけないのは、「仮説検定で示されたP値は“有意差ありかなしか”を示すのみで、差の程度は示さない」ことです。そのため、「P値が小さいから血圧をさらに下げた」との解釈はできません。AさんはP値の解釈を間違えている可能性があります。図からすれば、投与30分後と60分後に血圧にあまり差がなく、したがって、Bさんの解釈のほうが正しいと言えます。
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