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心電図クイズ

旭川医科大学 編

左室肥大を指摘されて,労作時呼吸困難を認める74歳男性

難易度

出題:
  • 旭川医科大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野 
    坂本 央 先生
症 例
74歳,男性
主 訴
労作時呼吸困難,浮腫
現病歴
70歳時に労作時の息切れを自覚して近医を受診し,左室肥大を指摘された。軽労作での呼吸困難が増悪して下腿浮腫が出現したため,当科紹介となり入院となった。心電図モニターにて発作性心房細動,3秒以上の洞停止,および10連程度の非持続性心室頻拍の散発を認めた。心エコー図ではびまん性の左室肥大,拡張障害所見を認め,収縮能も低下していた(左室駆出率35%)。入院時心電図(図1),胸部X線写真(図2),心臓MRI(シネ画像・ガドリニウム遅延造影画像,図3)を示す。

図1.入院時心電図

図2.胸部X線写真

図3.心臓MRI

びまん性の両室肥大

診断:左軸偏位を伴う完全左脚ブロック,心アミロイドーシス
治療:両室ペーシング機能付き植え込み型除細動器(CRT-D)移植

解 説

心拍数80/分の異所性心房調律,QRS軸は-66度と左軸偏位,完全左脚ブロック波形でQRS幅138msであった。心臓MRI(図3)では両室肥大を認め,遅延造影画像にて左室心筋に心内膜側から連続する全周性の遅延造影を認める他に,右室心筋にも遅延造影像を認める。広範な遅延造影像はwhite heartといわれ,心アミロイドーシスに特徴的な所見である(遅延造影域はアミロイド沈着による細胞外液分画増加を反映する所見と考えられ,病理組織学的にアミロイド蛋白の分布を反映している)。右室心内膜下心筋生検ではコンゴーレッドの主成分であるダイロン染色(図4A)にて心筋間質に大量のアミロイド沈着を認め,抗transthyretin(TTR)抗体を用いた免疫染色陽性で(図4B),TTR遺伝子変異を認めないため,野生型ATTR心アミロイドーシスと診断した。
アミロイド沈着による見かけ上の心肥大を呈する心アミロイドーシスの心電図所見としては低電位,軸偏位,脚ブロックが特徴的である。Rahmanらは,前胸部誘導の低電位と心室中隔肥厚の組み合わせにより感度72%,特異度91%で心アミロイドーシスと診断できたと報告している1)

図4.右室心内膜下心筋生検

一方,心筋細胞肥大に伴い左室肥大を来す疾患(高血圧性心疾患,肥大型心筋症など)の心電図所見ではR波の増高やST変化などが見られるため,鑑別のポイントとなる。アミロイドは刺激伝導系にも沈着するため,心室内伝導障害,全ての部位でのブロックを認めうる。心房細動を高率に合併し,致死的心室性不整脈も合併する。本症例でも洞不全症候群,発作性心房細動,非持続性心室頻拍を合併していた。
野生型ATTR心アミロイドーシスに対する確立した疾患修飾療法はまだない。本症例はニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類度,左室駆出率35%と低下,完全左脚ブロックを伴い,洞不全症候群と非持続性心室頻拍を合併しているため,両室ペーシング機能付き植え込み型除細動器(CRT-D)移植術の適応と判断した。両室ペーシング(左室→右室)によりQRS幅は138→132msと縮小し(図5),胸部X線写真でも心胸郭比63%(図2)→56%(図6)と改善した。CRT-D移植後,バックアップペーシングにより,β遮断薬や群抗不整脈薬(アミオダロン)の内服導入が可能となった。

文献
  1. 1)Rahman JE et al. J Am Coll Cardiol 2004;43: 410-5.

図5.CRT-D後,心電図

図6.CRT-D後の胸部X線写真