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- トレプロスト®吸入液
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Information
製品特性
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1本剤はプロスタグランジンⅠ2誘導体であり、血管拡張作用と血小板凝集抑制作用を有するトレプロスチニルを有効成分とする吸入液です。
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2肺に薬剤を直接届け、非侵襲的な投与が可能な吸入液です。薬液を噴霧粒子径約2.0μmの霧状に飛散させる携帯型ネブライザを用いて吸入を行います。
- 超音波式ネブライザ TD-300/Jネブライザの取扱説明書参照
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3〈肺動脈性肺高血圧症〉
通常、成人には、1日4回ネブライザを用いて吸入投与を行います。1回3吸入(トレプロスチニルとして18μg)から投与を開始し、忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で、1回3吸入ずつ、最大9吸入(トレプロスチニルとして54μg)まで漸増します。3吸入の増量に対して忍容性に懸念がある場合は、増量幅を1又は2吸入とすることも可能です。忍容性がない場合は減量し、1回最小量は1吸入とします。
〈間質性肺疾患に伴う肺高血圧症〉
通常、成人には、1日4回ネブライザを用いて吸入投与を行います。1回3吸入(トレプロスチニルとして18μg)から投与を開始し、忍容性を確認しながら、3日以上の間隔で、1回1吸入ずつ、最大12吸入(トレプロスチニルとして72μg)まで漸増します。忍容性がない場合は減量し、1回最小量は1吸入とします。 -
4アンプルはブローフィルシール技術によって成型されたプラスチックアンプルを採用しています。
手であけられるプラスチックアンプルを使用しています。
1日4回の吸入投与のうち、最初の吸入の際に薬液1アンプル全量をネブライザに移し、4回目の吸入が終了した際にネブライザ内に残った薬液は廃棄頂きます(1回の投与量に関わらず、1日1アンプル使用します)。 -
5国内の臨床試験においてPAH患者を対象に行った反復投与では、12週時に本剤1回の投与量が9吸入(54μg)であった患者でトレプロスチニル投与後10分に血漿中濃度(平均値±標準偏差)は最高値(0.99±0.56ng/mL)に達し、消失半減期は平均0.72時間でした。
国内の臨床試験においてILD-PH(CPFEを含む)患者を対象に行った反復投与では、16週時に本剤1回の投与量が12吸入(72μg)であった患者でトレプロスチニル投与後10分に血漿中濃度(平均値±標準偏差)は最高値(1.91±0.94ng/mL)に達し、消失半減期は平均0.95時間でした。 -
6PAH患者を対象とした国内第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験において下記の結果が得られました。
主要評価項目:12週時におけるPVRIの変化率
PVRIのベースラインからの変化率の最良値(平均値±標準偏差[両側95%信頼区間])は、−39.4±25.5%[-52.6,-26.3%]でした。変化率の平均値の両側95%信頼区間における上限値は0を下回り、PVRIの低下が認められました(検証的ではない解析、ただし、承認の根拠となった有効性の成績である)。
- ・投与前におけるベースラインからの変化率は、-19.2±26.8%[-33.0, - 5.4%]
副次評価項目:12週時におけるmean PAPの変化量及び変化率
mean PAPのベースラインからの変化量及び変化率の最良値(平均値±標準偏差[両側95%信頼区間])は、それぞれ−8.3±6.8mmHg[−11.8, −4.8mmHg]及び−21.7±19.7%[-31.9, - 11.6%]でした。変化量及び変化率ともに、平均値の両側95%信頼区間における上限値は0を下回り、mean PAPの低下が認められました*。
- ・投与前におけるベースラインからの変化量及び変化率は、−4.0±6.1mmHg[−7.1, −0.9mmHg]及び−10.1±18.5%[-19.6, - 0.5%]
- 持田製薬社内資料:国内第Ⅱ/Ⅲ相試験(トレプロスト吸入液:2022年12月23日承認、CTD 2.7.6.8)<承認時評価資料>
副次評価項目:ピーク時6分間歩行距離の変化量
ベースラインからの変化量の平均値[両側95%信頼区間]は、初回投与時で6.8m[−4.5, 18.1m]、6週時で19.4m[6.1, 32.6m]、12週時で24.8m[7.2, 42.3m]、24週時で28.1m[11.1, 45.1m]、32週時で28.2m[0.7, 55.7m]、40週時で43.4m[14.7, 72.1m]、52週時で36.3m[7.0, 65.6m]と推移しました。
初回投与時において両側95%信頼区間は0を跨ぎ、有意な変化は認められませんでした*。
6週時以降の評価時期において両側95%信頼区間における下限値は0を上回り、ピーク時6分間歩行距離の延長が認められました*。副次評価項目:12週時におけるトラフ時6分間歩行距離の変化量
ベースラインからの変化量の平均値±標準偏差[両側95%信頼区間]は17.8±35.5m[−0.5, 36.0m]と、変化量の平均値の両側95%信頼区間は0を跨ぎ、有意な変化は認められませんでした*。
- *検証的ではない解析
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7ILD-PH(CPFEを含む)患者を対象とした国内第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験において下記の結果が得られました。
主要評価項目:16週時におけるPVRIの変化率
PVRIのベースラインからの変化率の最良値(平均値±標準偏差[両側95%信頼区間])は−40.1±27.7%[−53.1, −27.2%]※1でした。両側95%信頼区間の上限は、事前に規定した閾値+7%を下回り、トレプロスチニルの有効性が確認されました(検証的ではない解析、ただし、承認の根拠となった有効性の成績である)。
主要評価項目:16週時におけるピーク時6分間歩行距離の変化量
ピーク時6分間歩行距離のベースラインからの変化量(中央値[両側95%信頼区間])は13.0m[−15.0, 49.0m]※2でした。本試験の中央値[両側95%信頼区間]を海外第Ⅱ/Ⅲ相試験におけるトレプロスチニル群の中央値[両側95%信頼区間](6.0m[0.0, 14.0m])※2と比較した結果、各試験における中央値の両側95%信頼区間は互いの中央値を含み、本試験と海外第Ⅱ/Ⅲ相試験の成績の類似性が確認されました(検証的ではない解析、ただし、承認の根拠となった有効性の成績である)。
副次評価項目:16週時におけるmean PAPの変化量及び変化率
mean PAPのベースラインからの変化量及び変化率の最良値(平均値±標準偏差[両側95%信頼区間])は、それぞれ−7.6±7.2mmHg[−11.0, −4.2mmHg]※1及び−21.6±19.0%[−30.5, −12.8%]※1でした。
- ・投与前におけるベースラインからの変化量及び変化率は、0.4±6.3mmHg[−2.6, 3.4mmHg]※1及び1.2±20.1%[−8.2, 10.6%]※1
- 持田製薬社内資料:国内第Ⅱ/Ⅲ相試験(トレプロスト吸入液、CTD 2.7.6.2)<承認時評価資料>
副次評価項目:ピーク時6分間歩行距離の変化量
ベースラインの6分間歩行距離(中央値)は326.5mでした。主要期において、4週時、8週時及び12週時におけるピーク時6分間歩行距離のベースラインからの変化量(中央値[両側95%信頼区間])はそれぞれ0.0m[−30.0, 20.0m]※3、0.5m[−15.0, 27.0m]※2及び−3.3m[−20.0, 33.0m]※2でした。
継続期Ⅰにおいて、24週時、32週時、40週時及び52週時におけるピーク時6分間歩行距離のベースラインからの変化量(中央値[両側95%信頼区間])はそれぞれ31.0m[−34.0, 51.0m]※3、1.0m[−28.0, 58.5m]※3、5.0m[−42.0, 56.0m]※3及び−7.5m[−50.0, 25.0m]※4でした。副次評価項目:16週時におけるトラフ時6分間歩行距離の変化量
ベースラインからの変化量の中央値[両側95%信頼区間]は0.0m[−25.0, 28.5m]※2でした。
- ※1 欠測データを+7%又はLOCFで補完
- ※2 データが欠測した場合、6分間歩行試験未実施の理由が死亡、又は間質性肺疾患もしくは肺高血圧症の悪化に伴うものである場合、測定値を0mで補完した。その他の場合はLOCF(代入可能なデータがない場合、BOCF)で補完した。
- ※3 補完なし
- ※4 欠測データをLOCF(代入可能なデータがない場合、BOCF)で補完
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8重大な副作用として、血圧低下、失神、出血、血小板減少、好中球減少、甲状腺機能亢進症が報告されています。
主な副作用は、咳嗽、咽喉刺激感、呼吸困難、悪心、頭痛、浮動性めまいでした。
電子添文の副作用及び臨床成績の安全性の結果をご参照ください。
略語一覧
- CPFE:気腫合併肺線維症
- PVRI:肺血管抵抗係数
- mean PAP:平均肺動脈圧
2024年9月作成
17050-6/N5 B2 GMJ