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Information
作用機序
ジエノゲストは、プロゲステロン受容体を選択的に活性化することによりプロゲステロン作用を示します(ステロイドホルモン受容体に対する作用及び文献1~6)。ジエノゲストの子宮内膜症に対する有効性及び子宮腺筋症に伴う疼痛の改善に関わる薬理作用機序は以下の通りと考えられています。
(1)卵巣機能抑制作用
視床下部-下垂体に作用することによる排卵抑制作用
健康成人女性8例を対象とした臨床薬理試験7)において、ジエノゲスト群の7例中1例で排卵期に相当する血中エストラジオール濃度の上昇があったものの、LHサージ及び血中プロゲステロン濃度の上昇が観察されませんでした。また、子宮内膜症患者129例を対象とした臨床試験8)で、散発的に血中エストラジオール濃度の上昇があったものの全例で血中プロゲステロン濃度の上昇が観察されませんでした。これらの結果から、ジエノゲストは視床下部ー下垂体に作用してLHサージを抑制することにより排卵を抑制すると考えられています。
卵胞の発育を抑制することによるエストラジオール産生抑制作用
子宮内膜症患者を対象とした臨床試験で、ジエノゲストは反復投与により卵胞発育を抑制し8)、サルに単回投与することにより主席卵胞を閉鎖させたと推定されました9)。ジエノゲストはヒト及びサルにおいて、卵胞期の血中LH及びFSH濃度の基礎値に影響することなく月経周期に伴う血中エストラジオール濃度の上昇を抑制しました7、9、10)。これらの結果から、ジエノゲストは主席卵胞に作用し、その発育を抑制することでエストラジオール産生を抑制すると考えられています。
(2)子宮内膜細胞増殖抑制作用
ジエノゲストは子宮内膜細胞に対し増殖抑制作用を示しました11)。
子宮内膜症は、エストロゲン依存性の疾患であり、月経周期に伴って上昇する血中エストロゲン濃度に依存して子宮内膜症組織が増殖し、月経のたびに炎症と強い疼痛を引き起こしながら病態が進展すると考えられています。ジエノゲストは卵巣機能抑制作用及び子宮内膜細胞と同じく子宮内膜症細胞に対する増殖抑制を示すことにより、子宮内膜症に伴う疼痛の軽減及び病巣の縮小・萎縮を示すと考えられています。
ステロイドホルモン受容体に対する作用
(1)プロゲステロン受容体に対する選択性の検討(in vitro)
ヒトステロイドホルモン受容体結合能12~15)
ジエノゲストはプロゲステロン受容体(PR)に対する結合能が高く、次いでアンドロゲン受容体(AR)に対する結合能を示し、グルココルチコイド受容体(GR)、エストロゲン受容体(ER)α、βに対する結合能は弱い結果でした。
子宮内膜細胞増殖抑制作用
(1)子宮内膜細胞の増殖抑制作用(in vitro)11)
ヒト培養子宮内膜間質細胞(一群3例)を、溶媒(対照群)あるいは試験物質(ジエノゲストは10−8~10−6mol/L、ダナゾールは10−7~10−5mol/L、プロゲステロンは10−9~10−7mol/L)存在下で4日間培養した後、細胞数を測定し、対照群の細胞数に対する各処置群の細胞数の割合(細胞数百分率)を算出しました。
対照群では培養開始時の細胞数と比較して培養終了時の細胞数が増加し、細胞増殖が認められました。ジエノゲストは10−7mol/L(31ng/mL)以上の濃度でヒト培養子宮内膜間質細胞の細胞増殖を抑制しました。
- 1)持田製薬社内資料:薬理試験-エストロゲンを投与したラットの子宮重量増加に及ぼす影響-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 2)持田製薬社内資料:薬理試験-エストロゲンを投与したラットにおける子宮重量増加抑制作用の機序検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 3)持田製薬社内資料:薬理試験-ウサギ子宮腺の発達に及ぼす影響(McPhail試験)-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 4)持田製薬社内資料:薬理試験-ラットを用いたアンドロゲン作用の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.3)
- 5)持田製薬社内資料:薬理試験-ラットを用いたグルココルチコイド作用の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.3)
- 6)持田製薬社内資料:薬理試験-ラットを用いたミネラルコルチコイド作用の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.3)
- 7)持田製薬社内資料:臨床薬理試験-健康成人女性におけるホルモン動態試験-(2007年10月19日承認、CTD2.7.6.5)
- 8)持田製薬社内資料:臨床薬理試験-子宮内膜症患者におけるホルモン動態試験-(2007年10月19日承認、CTD2.7.2)
- 9)Sasagawa, S. et al.:J. Endocrinol. Invest. 2008;31(7):636-641
[利益相反]著者のうち4名は持田製薬株式会社の社員である。 - 10)持田製薬社内資料:薬理試験-反復経口投与によるサルの生殖内分泌に及ぼす影響-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 11)持田製薬社内資料:薬理試験-ヒト子宮内膜間質細胞の増殖に及ぼす影響-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 12)持田製薬社内資料:薬理試験-ヒトプロゲステロン受容体に対する結合能の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 13)持田製薬社内資料:薬理試験-ヒトエストロゲン受容体に対する結合能の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 14)持田製薬社内資料:薬理試験-ヒトアンドロゲン受容体に対する結合能の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 15)持田製薬社内資料:薬理試験-ヒトグルココルチコイド受容体に対する結合能の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 16)持田製薬社内資料:薬理試験-ヒトミネラルコルチコイド受容体に対するアゴニスト活性およびアンタゴニスト活性の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 17)持田製薬社内資料:薬理試験-ヒトプロゲステロン・アンドロゲンおよびグルココルチコイド受容体に対するアゴニスト活性の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2)
- 18)持田製薬社内資料:薬理試験-ヒトエストロゲン受容体に対するアゴニスト活性の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)
- 19)持田製薬社内資料:薬理試験-ヒトアンドロゲンおよびグルココルチコイド受容体に対するアンタゴニスト活性の検討-(2007年10月19日承認、CTD2.6.2.2)