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痛風列伝 vol.4
極限まで冷やして癒した
「血液循環説」のハーベイ
近代生理学の父もかかった痛風
医療関係者である読者の皆さんの中には、17世紀に「血液循環説」を唱えた医師ウイリアム・ハーベイの名前を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
血液は心臓から出て、動脈経由で体の各部を流れた後、静脈経由で再び心臓へ戻るとした血液循環説は、当初、大きな波紋を呼び、反対意見も多く上がりました。しかし次第にその正当性が認められ、今では近代生理学の父とも呼ばれるようになったハーベイですが、彼はしばしば痛風に悩まされていました。
死にそうになるほど両足を冷やす
さすがに画期的な説を唱えた偉人、痛風の痛みに襲われたときの対処法も実にユニークと言えるものでした。たとえば極寒の冬には、鉛の板でできた家の屋根に上って座り、さらに水を張った桶に裸足の両足を浸し、冷たくて死にそうになったところでストーブのそばに行きました。すると、不思議なほど痛みがやわらいだそうです。
実はヒポクラテスも提唱した治療方法
一見、無謀にも思える治療方法ですが、実は、現在でも通用すると考えられるヒポクラテスの痛風についての記述の中に、その裏づけを見ることができます。彼は、「痛風による関節の痛みは、たいていの場合、冷水を十分に注ぎかけると軽減され、腫れも治まってくる」と述べているのです。
ちなみにハーベイは開業医をしていた時期があり、患者にはかの有名なフランシス・ベーコンがいました。ベーコンも痛風でしたので、もしかしたら痛むところを極限に冷やす治療方法をハーベイから勧められ実践していたかもしれません。
- 参考文献
- オーブリー著『名士小伝』(冨山房百科文庫) 209,212 1979
木原 弘二著「痛風 ヒポクラテスの時代から現代まで」(中公新書) 51 1990
