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痛風列伝 vol.8
痛風と尿路結石の
2つの激痛に襲われたニュートン
痛風になるも晩年まで学問の意欲は衰えず
万有引力の法則の発見であまりにも有名なイギリスのアイザック・ニュートンも、痛風であったと伝えられています。
ニュートンは晩年まで歯が丈夫で、80歳をすぎても失くした歯は1本だけ。そのおかげで食べることに不自由しなかったせいか、血色が良く、眼鏡も必要とせず、学問への情熱も衰えを知りませんでした。
しかし、そのようなニュートンも、亡くなる2年前に痛風にかかり、亡くなった84歳のときに痛風を再発したとの記述が残っているなど、痛風に悩まされていたのは確かなようです。
尿路結石の痛みで部屋が揺れるほど苦しむ
実は、ニュートンは晩年、腎臓から尿道までの間に結石ができる尿路結石も発症していました。結石があっても無症状のこともありますが、結石によって尿管がつまると七転八倒するような激しい痛みに襲われる場合も多々あります。
悲しいかなニュートンは痛みが出るケースのほうだったらしく、死の数年前には石畳を走るときの振動で尿路結石の痛みが増すのをおそれ、馬車には乗らなくなったそうです。また、尿路結石によって激痛に見舞われたニュートンが苦しんで暴れたせいで、ベッドだけでなく部屋全体が揺れるようだったとの記録もあります。尿路結石の痛みが、いかにすさまじかったのかがうかがい知れます。
もしかしたら高尿酸血症だったのかもしれない
痛風と尿路結石の2つに罹患したニュートンですが、もしかしたら、彼は高尿酸血症だったのではないでしょうか。それは、高尿酸血症は痛風や尿路結石の発症リスクを上昇させるからです。
ヒトの細胞の中にある遺伝子をつくっている核酸や、食事などに含まれるプリン体の分解産物が尿酸です。尿酸の約3分の2は腎臓から尿に溶け出して排泄され、残りの3分の1は腸管から糞中へ排出されます。この尿酸の腎・腸管からの排泄量が少ない、または体内で尿酸がつくられすぎた、あるいはその両方が起こると血液中の尿酸が増え、正常値を超えて高くなってしまうと高尿酸血症になります。
高尿酸血症は痛風を生じる必須条件とされていますし、尿中に排泄される尿酸の量が増えると、尿路結石になりやすくなるといわれています。
いずれにしろ、ニュートンが死を迎えるまでの数年は、痛風と尿路結石による痛みとの闘いの日々であったようです。
- 参考文献
- 島尾 永康著「ニュートン」(岩波新書) 201-203,213 1979
日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 2018
